経済 2017/12/06

韓国の現状は危機的




アメリカが北朝鮮を先制攻撃する可能性は低いと思います。そもそも空母の位置は高いレベルの国家機密であり、それを公開しているのは、北朝鮮を威圧することが主眼です。

アメリカの攻撃型原子力潜水艦は一隻につき、トマホーク・ミサイルを約150発搭載しており、3時間あれば平壌を火の海にすることができます。実際にアメリカが北朝鮮を攻撃するならならば、空母艦載機による空爆ではなく、シリアと同じようにミサイル攻撃で戦端を開くはずです。


むしろ私が危機的に見ているのは韓国の現状です。


30年前、すなわち、冷戦時代の韓国であれば、アメリカの空母が来ただけで安堵感を抱いていたはずです。しかし、THAAD配備問題でも明らかなように、現在の韓国では「米軍がいるから、北朝鮮との戦争になる」という倒錯した論理になっている。これは完全に北朝鮮の宣伝が韓国国内に浸透している証拠です。米韓同盟をもとにして、今回の危機に対処しようという主張は韓国では極めて少数派です。


私が興味深いと思ったのは4月12日付の「朝鮮日報」に発表されたソヌジュン論説委員の論説「米空母が来るといってなぜ我々が怯えるのか」です。アメリカがシリア攻撃によって北朝鮮に明確なシグナルを送ったのに、なぜ同盟国である韓国が逃げるのか。「北爆説によって北朝鮮よりも深い恐怖に陥って動揺し、反対する韓国」では米国の戦略は成り立たない。「敵国を脅そうとした時に同盟国がまず怯えるというのなら、どんな強攻策も通じない」というものです。全くの正論です。


私の知る限り、こうした主張は鮮論説委員の社説以外にもいくつかありましたが、韓国国内のほとんどは米軍の存在が戦争の原因になるというものでした。


しかし、アメリカ以外にどこの国が韓国を守るのか。そもそも私は北朝鮮が韓国や日本を先制的に攻撃することは絶対にないと思っています。北朝鮮としても、アメリカと直接戦争になるような口実を作りたくないからです。


日本の一部にはアメリカが日本を見捨てるという意見もありますが、そうした見方は誤りです。もし、同盟国である日本が攻撃されているのにアメリカが報復しなければ、アメリカは国際社会における超大国としての地位を失うことになるからです。



藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』
第1章 北朝鮮はどこまで暴走するかーP48





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