経済 2018/06/11

憲法改正をめぐる各党の思惑




なお、安倍首相は今年(2017年)5月の憲法記念日に、改憲派の会合のためのビデオ・メッセージを寄せています。その中で憲法第9条に第3項を付け加え、自衛隊の存在を明記すると述べています。これは連立与党である公明党の「加憲論」に配慮した結果であり、政局に投げた石というべきです。


また、高等教育無償化は日本維新の会が主張してきたものであり、それを安倍首相が憲法改正の論点として取り上げていることは、日本維新の会との関係を意識したためでしょう。


元来、公明党が憲法改正に消極的である以上、安倍首相としては日本維新の会を取り込むことで、憲法改正を国会で発議するための環境を整えようとしているのでしょう。


2016(平成28)年12月、カジノを含む統合型リゾートの整備を政府に促すIR法案が国会を通過しました。これは日本維新の会が以前から主張していたものであり、それを安倍政権・自民党が支持したことは、日本維新の会に対する相当のサービスです。前大阪市長・橋下徹氏の本音も安倍首相との提携にあると思われます。


今後、安倍政権は公明党、日本維新の会との関係を意識しながら、憲法改正案を具体化していくと思います。憲法9条の第3項の付加は、望ましくはないが、何もしないよりはマシでしょう。


201791日発行藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』6章 北朝鮮有事と日本の対応(政治・軍事・経済)ーP223





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