経済 2018/04/03

中東では米露の利害が一致




次に、中東と東アジアをめぐる米露関係について解説したいと思います。

前述のように、米露両国は石油産出国として国益の一致する面があり、中東問題でも利害関係が一部一致しています。


オバマ政権時代、アメリカとサウジアラビアの関係は国交断絶寸前でした。第六代国王アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズはアメリカの対イラン政策に反発し、石油を増産することでアメリカの石油産業に打撃を与えました。


しかし、トランプは伝統的な同盟国としてサウジアラビアとの関係を尊重すると表明しています。サウジアラビアでは2015(平成27)年からサルマルーン・ビン・アブドゥルアズィーズが新国王になり、アメリカでも2017(平成29)年に大統領が交代したことで、両国の関係は劇的な変化を遂げたわけです。


前述のように、現在の米露両国はIS打倒で利害が一致しており、大産油国であるアメリカ、ロシア、サウジアラビアの三カ国が石油を軸とした一つのレジームを形成していることになります。この三カ国が協調することで、石油価格を高い方向に持っていこうという狙いです。アメリカは原油生産コストが高いため、1バレル50ドルから60ドルのほうが安定します。おそらく近未来にはアメリカはかつてのような石油輸出国になるはずです。


2017年9月1日発行藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』第4章 世界の大変貌 中国、EU、ロシア、そして極東ーP139




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