経済 2018/05/07

スペインとイタリアで異なる国内事情 -前編-




国家の特権は国軍と通貨発行権です。


EUは国境を越えた共通通貨であるユーロを導入し、その発行と管理を所管する組織として欧州中央銀行が誕生しました。


この欧州中央銀行の下で金融ばかりでなく財政政策も1つの政策として統一されることになれば、宮崎さんのおっしゃるように、各国の経済主権の放棄につながります。


欧州中央銀行(ECB)はEUの中心国であるドイツの影響下にありますが、各国は金利の設定を通じて自国の国益を守らなければいけません。


本来、経済力の弱い国は通貨を切り下げることで輸出促進と輸入抑制を図り、国民経済のバランスをとります。


しかし、通貨発行権が制限され、欧州中央銀行に従わざるを得ない状態となり、こうした国々は国益を考えた経済政策を実行できなくなりました。


特にイタリアではEUに対する怨嗟の声が強くなっており、国内でEU離脱派が多数を占めつつあります。与党であるイタリア民主党はEU残留派ですが、それ以外の政党はすべてEU懐疑派です。


私はイギリスに続いてEUを離脱する可能性があるのは、イタリアだろうと見ています。


ロシアがバルト諸国に侵攻する可能性はないでしょうが、EUの下で国家解体とアナーキー化は確実に進行しています。早い段階でEUを離脱した国々が国家再建に向けた成果を残すことになるでしょう。


2017年9月1日発行藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』第4章 世界の大変貌 中国、EU、ロシア、そして極東ーP167




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