あなたはどうする?フライトキャンセルされた時
From:ロイス・クルーガー
コヴィー博士は、世界を旅するのが大好きな人でした。世界を旅をするときは、忙しくしているのが好きな人でした。いろいろなものを見て、周りに何があるか、全てを見たいと求めた人でした。
あるとき、私たちはシンガポールに行きました。そこで大きなイベントがあり、コヴィー博士の講演があったんです。
私もコヴィー博士と一緒に行きました。日程的な調整もあり、まずソルトレイクシティからサンフランシスコに行って、サンフランシスコから香港に行き、そして香港からシンガポールに行きました。24時間以上かかった長距離フライトでした。でも、コヴィー博士は飛行機で寝るのが上手だったので、それは問題ありませんでした。
さて、シンガポールに行く日になりました。私はコヴィー博士と出張に行くのがすごく楽しみだったんです。そして、飛行機に乗りました。最初のサンフランシスコへのフライトはスムーズでした。次に香港に行こうと、国際線ターミナルに行ったとき、香港に着く直前にアナウンスメントがあったんです。
「香港からシンガポールのフライトはキャンセルされました」。
それがアナウンスされたとき、私はとても不安になりました。というのは、その日の香港からシンガポールのフライトは、その1本しかなかったからなんです。次の日の14時に、シンガポールでコヴィー博士の講演があるのに。
航空会社はホテルを取ってくれました。私たちは香港ですごくいいホテルに泊まったんですが、私は眠れませんでした。
私は空港カウンターに行って「何とかならないか」と交渉したのですが、もはやできることといったら、翌日朝早く空港に行って、なるべく早くスタンバイリストに載って、最低でもコヴィー博士の分の1席だけはシンガポールまで確保できないか、と頑張るくらいだったのです。
私が乗れるシンガポールまでのフライトは、バンコク経由のフライトを見つけました。ただ、それだと14時には間に合わない。準備をしていたら間に合わないし、何かがあったら、もうアウトなのです。
私たちは、なんとか元気を出していこうと努めました。コヴィー博士も、家族何人かと一緒にいたんですが、良い時間を過ごしていました。
そうしたら、コヴィー博士が100ドル札を何枚か私に渡して、こう言ったんです。「ロイス、なんとかこのフライトに乗れるように、誰かから席を買ってくれ。」
このような主体性に、私はびっくりしました。まさかそんな手を使うなんて、思ってもいなかったんです。そんなお願いしたことすらないので、私は正直、躊躇しました。
どんなふうにやるんだろう。うまくいくのかな。大丈夫かな。
するとコヴィー博士は、「もうチケットを持ってる人がいるんだから、 その人に何100ドルかを渡して、次のフライトとかバンコク経由のフライトと 代わってもらえばいいじゃないか。 相手にしてみれば、急いでいなければ2~3時間遅れるだけで、 しかもお金がもらえるんだぞ」と。
空港に着いた私は、色々な人に話しかけました。その人たちに「このお金で席を譲って頂けませんか」と聞きまわるわけです。コヴィー博士からは、とにかく行ってこい、積極性を持って行ってこい、と言われたんです。
私はそうか、そうか、、、と思いながら聞き回ったんです。すると、20分位色々な人に話しかけているうちに、最終的に席を交換してくれる人を見つけました!
ちなみに、コヴィー博士はコヴィー博士で、色々な人に聞きまわっていましたが、私は席を交換してくれる人を見つけたとき、コヴィー博士に大きく手を振って、航空券とお金を交換し、カウンターの人にもオーケーをもらって、コヴィー博士を飛行機に乗せました。
私はバンコク経由でシンガポールに向かい、コヴィー博士は直行便でシンガポールに行きました。
あとから、コヴィー博士が時間どおりに着いた、と聞きました。14時ぎりぎりに着いたそうです。空港できちんとピックアップしてもらって。
コヴィー博士は、講演会のためにちゃんと衣装も着ていたので、間に合ったそうです。私が着いたときは、14時を過ぎていて、イベントはスタートしていました。私はホテルに行って、着替えて、最終的に2時間ぐらい遅れて行きました。コヴィー博士の講演を聞きながら、この24時間のことを考えました。
そして、自分自身に質問したんです。もし、私がコヴィー博士だったら、こんな方法を思い付いただろうか?たぶん思い付かなかっただろうな…と。
でもコヴィー博士は、いろいろな選択肢を考えて、代替案を考えて、主体性を発揮したんです。
私たちの人生において、不可能に思えることはたくさんあります。そこから抜け出すことはできないとすら思うかもしれません。でも、主体性を持って考え、意思をもってそのチャレンジに立ち向かえばきっと解決できるんです。そう、コヴィー博士がシンガポールへのチケットを手に入れたように。
これが、私がコヴィー博士の主体性を体験した瞬間でした。この他にも、何回も博士の主体性を見たことがあります。
それが理由で、彼はフラストレーションを感じることもありました。もちろん、誰にだって感情がありますし、困難なことだってあります。
主体性を理解しない人に対して、コヴィー博士がいらいらすることもありました。ただ仕事をするだけではない。遂行するだけではない。選択の自由を使うんです。
コヴィー博士は、ヴィクトール・フランクルの話をよくしていました。なぜ、ナチスの収容所から生き延びることができたのか。それは、フランクル博士は頭脳と肉体を使って自分の状況をきちんと理解したからなんです。
私たちは、いろいろな困難に直面します。健康の問題であったり、お金があり過ぎる…お金がなさ過ぎる…など、色々な悩みが生まれるわけです。すると、「どうしたらいいか分からない」となる。
でも、主体性を発揮し、主体性の力を正しく学び、使えば、人生はより良いものになっていくし、困難も乗り越えていけると思います。
あなたが、主体性という原則を学んだことを、きっとコヴィー博士は嬉しく思うでしょう。外に出ていって、しっかりと主体性を発揮する。影響できるものに対して影響を与える。取り組む。ネガティブなことに振り回されないで、やるべきことをやる。私たちは、そのような人間に なるべきだと思うんです。
本当に必要なことを達成するために、そのような資質が必要だと思います。
聞いてくださって、ありがとうございました。