説得力の秘訣：人を魅了して影響力を持つ方法

社長の仕事術 2019/01/13

From:ダン・ケネディ

バーバラ・ウォルターズが毎年選ぶ「最も魅力的な10人」で、2012年に選ばれたのは次の人たちでした。

俳優/監督のベン・アフレック、大ヒットしたリアリティーテレビ番組「ハニーブーブーがやってくる」でスターとなった7歳のアラナ・トンプソン、ニュージャージー州知事クリス・クリスティ、オリンピック金メダリストのガブリエル・ダグラス、『50 Shades of Grey』（邦題『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』）著者のE・L・ジェイムズ、ボーイズ・バンドのワン・ダイレクション、元国務長官のヒラリー・ローダム・クリントン、アニメーター兼映画監督としてマルチな才能を発揮するセス・マクファーレン、英国王室のヘンリー王子、そして、米陸軍大将のデヴィッド・ペトレイアスです。

長年、私はなにが特定の人物や会社を取り分け魅力的にするのかについて興味を抱いてきました。例えば、ハニーブーブーとして知られるアラナ・トンプソンがミット・ロムニーより魅力的に映るのはなぜでしょうか？

あなたや私がウォルターズの決めたランキングをどう思うかはさて置き、大切なポイントをここで考えましょう。それは、なぜある特定の人物や会社に興味を引かれるのかという点です。

消費者に何かを買ってもらうために説得をしたり、どのような目的であろうとも何らかの好意的な注目を集めたいのであれば、あなたが魅力的であることはとても重要です。

この点に疑問を持つ人はオンラインの動画サイトで一大旋風を巻き起こした「江南スタイル」のことを考えてみて下さい。これは2012年7月にリリースされた韓国人アーティストPSY（サイ）の曲ですが、当時のインターネットでは史上初となる再生合計回数10億回を超えて話題になりましたね。

ほかの動画や人物、ビジネスやイベントなどは数週間か数日間、場合によっては数時間後には忘れ去られてしまう中で、なぜこの曲だけはこれほど多くの人々の心を捉えたのでしょうか？

自分自身をより魅力的で興味深い人間にすることは、人々を説得する近道になります。彼らをワクワクさせて好印象を残したリ、影響力を持ちながら好意的な注目を集めることができるからです。

ここで次のような疑問が生じます。魅力的な人々に共通する特徴はあるのでしょうか？自分をより魅力的にするために、どのような方法が可能なのでしょうか？何らかのプロセスがあるのでしょうか？

今までの人生で出会ってきた人々について、しばらく考えてみましょう。その中で印象に残ってる人がいるとしたら、なぜその人は鮮明にあなたの記憶に残っているのでしょうか？

魅力的な人の特徴など主観的な判断になりやすい、ウォルターズのランキングはそれを裏付けることになるだろうと、大半の人は言うかもしれませんね。

結局のところ、彼女のランキングに入っている人物全員の共通点を見つけるのは難しいです。それでも、いくつかの共通点は必ずあるはずですよ。

例えば、ガブリエル・ダグラス、ヒラリー・ローダム・クリントン、E・L・ジェイムズは全員、「何かを成し遂げた最初の人」です。ダグラスはオリンピックで総合優勝を果たした最初のアフリカ系アメリカ人体操選手になりました。クリントンは、どの前任の国務長官よりも多くの国を訪問しましたし、E・L・ジェイムズは著書の『50 Shades of Grey』を史上最速で『Harry Potter』（邦題『ハリーポッター』）シリーズを上回る6000万部売り上げました。

しかし、ランキングに入っている10人全員が何かを成し遂げた最初の人だったわけではありません。生涯一度も最初に何かを成し遂げたことがなくても魅力的な人物を、私は幾人か知っています。

そして、彼らは皆ある程度の「セレブ感」を持っています。信頼性に関しては、ペトレイアス将軍がFBIの調査によって不倫が発覚し、CIA長官を辞任したので共通点として当てはまりませんね。

それでも、信頼できるという理由で魅力的になれる人はいます。

文学修士およびC.S.P.（Certified Speaking Professional＝認定プロ講演者）の資格保持者で国際的に知られた作家であるデイビット・ホーサガーが、大学院で信頼に関する研究を行いました。経済的に成功し、長年顧客の人生に重要で好ましい影響を与え続け、ユニークであると定義されるトップリーダーや組織についての研究で、ホーサガーはひとつの共通項を見出したのです。

その共通点は何だと思いますか？「信頼」なのですよ。信頼とは測定困難なソフトスキルなどではなく、組織の戦略や目標に組み込むことができる測定可能な能力であることが判明したのです。

私は自著『妥協なく売るためのブランディング戦術23』（ダイレクト出版）の中で、ウォーレン・バフェットの秘密を暴露しました。それは、バフェットが興味を持ち買収したくなるような企業は信頼を積み上げてきたということです。彼は、信用を得るために尽力した企業を買収するのです。

以上のように相反する特徴もあるので、魅力を定義することは困難です。私はニューヨークタイムズ社のベストセラー作家で、『Fascinate!』（邦題『魅きよせるブランドをつくる７つの条件‐一瞬で魅了する方法』）の著者でもあるサリー・ホッグスヘッドの研究にとても興味をそそられてきました。（事実私は彼女と、マーケティング・メッセージを劇的に改善するための新しいプロセスを共同研究しています。このプロセスに関しては、スーパー・カンファレンスで紹介する予定です。）

サリーは12万人を対象に検証を行い、人を魅了する7つのトリガー（誘因）と49の典型的な性格タイプを特定しました。また、一人一人が独自の「ファシネーション・フィンガープリント」（自分だけの魅了ポイント）を持っており、対面、またはメディアを通してコミュニケーションを取ったり、影響を与えたり、販売をしたりとほぼすべての効果を高めるのに利用できることを明らかにしました。

人は各々異なる主要トリガーを持っています。そう考えると、魅力的な人物ランキング一覧から特徴を引き出すのがなぜ難しいのか説明がつきますね。

7つのトリガーとは、権力、欲望、神秘性、威信、警告、悪徳、信頼になります。

例えば、主要トリガーが権力である人は人を率いる支配力によって、主要トリガーが信頼である人はロイヤリティを築くことによって人を魅了します。

自分の長所・短所とともに、これらのトリガーや自分の「ファシネーション・フィンガープリント」も把握しておくと、好意的な注目を集めてより魅力的になるための能力を向上させることができます。このように人を魅了する力を持つことは、ひいては影響力を持つための近道になるのです。

－ダン・ケネディ