タイトルの力


From:ダン・ケネディ

私は高校生のとき、“The Importance Of Being Earnest”(邦題:真面目が肝心)という演劇に出演しました。このタイトルにあるearnest(真面目)という言葉は、性格を表わすものだと思っていましたが、登場人物の名前だということがわかりました。

通販ビジネスの達人メルビン・パワーズは、かつて、本で最も重要な部分はタイトルだ、と私に言いました。

本のタイトルが効果的であれば、中身を読まなくてもタイトルを見るだけで何か得られるものです。例えば、“Think and Grow Rich”(邦題:思考は現実化する)、“Magic Of Thinking Big”(邦題:大きく考えることの魔術)、トニー・ルブルスキの“Mind-Capture Advertising”(仮邦題:心をつかむ広告)などです。タイトルを見たら、「そうか、思考する必要があるんだ!」「大きく考える必要があるんだ!」「人々の注意を集めて興味をもってもらえる広告にする必要があるんだ」ということがわかります。

スピードと簡潔さという誰もが望むことを見事に伝えるタイトルもあります。“One-Minute Manager”(邦題:1分間マネジャー)などです。ワンダ・サイクスは、同じ1分間シリーズの本“One-Minute Lover”(仮邦題:1分間で恋人)の著者とデートをしたことがあると言っていました。

卓越さを表わすタイトルには、“Ultimate Sales Letter”(邦題:究極のセールスレター)や“Ultimate Marketing Plan”(邦題:究極のマーケティングプラン)などがあります。主張やポジションを表わすタイトルもあります。「Renegade Millionaire System(レネゲイド・ミリオネア・システム、レネゲイドは改宗者という意味)」や「No B.S.(屁理屈なし)マーケティング・レター」などです。

しかし、これは知識を売る商品や本だけに当てはまることではありません。あるいは、無料レポートなど、見込み客を生み出すためのオファーとなる文章のタイトルだけに当てはまることでもありません。

実際は、あらゆるものに当てはまります。

会社名にも当てはまります。Budget Rent A Car(バジェットレンタカー)という名前は低価格(budget)というポジションが伝わります。Avis(エイビス)やHertz(ハーツ)という会社名では伝わりません。ですから、会社名とそのポジションが結びついて頭に浮かぶようにするために、さらなる努力が必要だと思います。

商品名にも当てはまります。私は、自分が命名した除草剤の商品名Kills Weeds Dead(Weedsは雑草)に満足しています。これは、ブラックフラッグという虫除けスプレーの宣伝文句kills bugs dead(虫の息の根を止める)をもじったものです。このスプレーは、商品名よりも宣伝文句のほうが優れていると思います。男性向け雑誌に関して言えば、「ペントハウス」(マンションの最上階にある豪華な部屋)よりもヒュー・ヘフナーの「プレイボーイ」のほうがずっと良い名前です。

レストランのメニュー名にも当てはまります。「自家製ミートローフ」などです。私が普段買い物をするスーパーの総菜コーナーでは、「メルチのマカロニサラダ」と「おばあちゃんのマカロニサラダ」という2種類のマカロニサラダが販売されています。私の非公式な調査では、誰もがおばあちゃんのマカロニサラダを選ぶという結果になりました。

保証を表わす方法にも当てはまります。「空の容器満足保証」(訳注:不満足の場合は商品を使い切っていても返金保証)対「満足保証」。モノをマーケティングするときにも当てはまります。「無料の録音メッセージ」対「消費者意識に関する無料の録音メッセージ」。

何かにタイトルをつけるときは(それが本であれ、商品、サービス、プロセス、ビジネス全体、保証、オファーであれ)タイトルを通じて伝えたいこと、知らせたいことは何か、考えるべきです。


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