戦略 2018/05/05

僕がその商品をムキになって探した理由


From:藤岡将貴

先日、大阪のなんばに買い物に出かけた時のこと。あるファッションビルに入ると、なにやら行列が。行列の先を見ると、「生クリーム専門店」「大阪初上陸」と書いてあります。ゴールデンウィークの日曜ということもあって、お昼前だったんですが、そのお店の前には長い行列ができていました。

生クリーム専門店とありますが、見た感じアイスクリーム屋のようでした。真冬でも毎日アイスを必ず1つ食べるほどのアイスクリーム好きの僕らは、すかさず列の最後尾に並びました。僕らの後ろにも、ビルの警備員に行列を整理させられるほど、お客さんはどんどん並んでいきました。僕たちは、列に並んで待ちながら、4つほどあるメニューのどれにしようか?と相談しながら、順番が来るのを待っていました。


でも、ここで僕はあることに気づきました。それは、、、


回転が遅いんです。メニューはたったの4つだけです。注文に時間がかかるものでもありません。それに、言ってもアイスですから、せいぜいソフトクリームをコーンにクルクル巻くか、アイスをカップに入れるくらいのもんです。注文から商品を出すまでに、そんなに時間がかかるわけでもありません。

なのに、なんでこんな回転が遅いんだろう…と、よーく見てみると、、、理由がわかりました。まず、ソフトクリームを作る機械が1つしか動いていません。見れば機械は2つあるんですが、なぜか、1つしか使っていないんです。また、レジも1台しかありません。それに、奥の方に何名かスタッフがいるようなんですが、なぜか、店頭に出ているのは2名だけ。レジに1名と、注文が入った商品を作る人が1名。そりゃ、回転が遅いわけです。回転が遅いから、列が長くなってしまう、というわけです。

もし、このお店のレジが2台以上あって、ソフトクリームを作る機械が複数同時に動いていたら、、、列に並ばなくてもすぐに買うことができたら、、、行列がなかったら、、、このソフトクリームを僕たちは「食べたい」と思わなかったかもしれません。行列ができていたから、つまり、すぐに買えない状況にあったから、並んででも「食べてみたい!」と思ったんだと思います。(実際、味の方は…まぁ、特別美味しいと言うほどでもなく、普通に美味しい、てくらいでした^^;)


人はすぐに手に入らないと、もっと欲しくなる


こんなふうに、”欲しいのにすぐに手に入らない”という状況になると、人はそれだけで不思議と「もっと欲しい!」「今すぐ欲しい!」「並んでも欲しい!」という気持ちにさせられてしまいます。

僕はつい最近も、そんなことがありました。今月、子どもが産まれる予定の僕らは、抱っこ紐を買おうと、インターネットでいろいろ見ていました。だいたい、どれも、色が黒とか紺とかグレーのものが多いなかで、1つだけ真っ白の抱っこ紐があったんです。

「おお!めちゃかっこいい!」自分が抱っこ紐をつけて子どもを抱っこしている姿を想像したときに、この真っ白の抱っこ紐はかなりイケてると(笑)しかも、あまり他の人が使っているのを見かけない海外のブランドのものでした。奥さんも気に入ってくれたので、早速購入しようと、アマゾンや楽天で探してみるも、、、どこも売り切れ、品切れ、販売終了の文字が…。こうなると、もう意地でもどこか売ってるところを見つけてやろうと、必死になって探しました。見つけたらソッコー買ってやる。そんな勢いです。値段なんて見ていません(笑)


「需要よりも1台少なく作れ」


欲しいものが手に入らないと、もっと欲しくなる。この人間の衝動を意図的に引き起こしているのが、フェラーリです。イタリアの高級車のフェラーリは、需要見込みよりも1台少ない台数しか作らない、なんて話を聞いたことがあります。需要があっても、限定数以上作らないことが、クルマの希少価値をさらに高めて、手に入れ損ねた人が、次のチャンスではより熱心に購入しようとする、ということを狙ってブランディングしている、というんです。

そして、ダン・ケネディもこれをセールスで意図的に使っています。それが、ケネディの「テイク・アウェイ・セリング」という方法です。簡単に手に入らない状況を作ること。ダン・ケネディは著書の「億万長者の不況に強いセールス戦略」の中で、

「何かが手に入りにくければ入りにくいほどその価値は上昇し、それだけ人はそれを欲しがるようになる。そして私の販売手法は、顧客が欲しがるのものを売り、私が売るものを欲しがる顧客に売ることだけに自分の時間を使うということだ。」

と言っています。


貧しかったドッグトレーナーが裕福になったエピソード


では、具体的にどんなふうに手に入りにくい状況を作るのか?その例として、貧しかったドッグトレーナーが裕福になった1つのエピソードをご紹介します。

「あるセミナーの休憩時間にエリザベス・Rという女性につかまって、彼女の抱える問題を聞かされたことがある。彼女は才能も能力もあるドッグトレーナーだった。彼女の学業証明書や推薦状は立派なもので、パンフレットもイカしていた。

住んでいるのは高級住宅地区だ。だが働く時間が長いわりに収入がひどく低かった。「いくらの料金でやってるのか?」と尋ねてみた。「1時間当たり20ドルです」と彼女は答えた。また、彼女は犬の訓練をする際、自ら顧客の家に足を運ぶということだった。私は彼女にこう言った。

「君はプロフェッショナルだ。犬の専門家だ。料金を3倍にし、客に犬を連れてこさせ、新規の客は犬に特別IQテストを受けさせてからしか受け付けないようにしなさい。最初の相談にも料金を請求し、犬がトレーニングに応えられるだけの基本的な知能と適切な態度を身につけているかをテストする。新規の客は来てもらうまで少なくとも1週間は待たせなさい。

それから、前に客になったことのある人全員に、すぐに手紙を送りなさい。過去の仕事依頼を感謝したうえで、現在仕事が多過ぎて新たな仕事は引き受けを制限せざるを得ないと知らせること。今の客にも同じような手紙を送り、こちらの手紙では以後6ヶ月に限り今の料金で仕事を引き受けることを付け加える。電話には出ない。そしてもっといい服を着なさい。

(中略)

セミナーから数ヶ月後、エリザベスから短い手紙が来た。それには、初めて月1万ドルの収入があり、翌年は10万ドル以上の収入が得られるだろうという自信がついた、と書いてあった。」


需要が供給より大きくなるやいなや、成功が途方もなく容易になる


あなたが忙しければ忙しいほど、たくさんの人があなたのサービスを求めるようになります。あなたへのアクセスが難しければ難しいほど、なんとしてもあなたに連絡を取りたい、と思うようになります。あなたからの供給が下がれば下がるほど、あなたへの需要は増えて、高い料金を支払うことへの抵抗感も消えます。

そして、ダン・ケネディは、実際にこのような状況が実現する前から、そのような状態を装って、そのイメージを育てるようにしていた、と言います。例えば、オフィスにいても、かかって来る電話には出なかったり。名刺を欲しいと言われても渡さなかったり。「あなたのそのやり方を自分のビジネスに応用するのは難しい。そんなことをしたら、お客さんは他に行ってしまう。」と最初はケネディのやり方に批判的だったほとんどの人は、その後、考え方が変わって、収入を大きく増やしている、と言います。

ぜひ、あなたのビジネスでもこの「テイク・アウェイ・セリング」を取り入れてみてはどうでしょうか?うまくいけば、今すぐ欲しい、ちょっと高くても欲しい、面倒でも今すぐ買いにいきます、という人が現れるようになるかもしれません。僕が真っ白の抱っこ紐を今すぐにでも欲しいと、躍起になって探したように。。。

-藤岡将貴

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