価格を上げながらも、お客さんに「安い!」と思ってもらえる方法
From:藤岡将貴
先月末のこと。うちの奥さんが、とある理由で仕事を辞めることになりまして。9年間働いていた職場だったこともあり、辞める際に職場の同僚にプレゼントの品を買う、というので、一緒に大阪のなんばに行った時のことです。
「どんなものを買うの?」と聞いたところ、どうもこれまでに辞めていった人たちは、お菓子だったり、メモ帳など仕事中に使えるちょっとしたものだったり。だいたい500円から1000円くらいのものを渡していた、とのこと。そんなん、職場の人数分のお菓子の詰め合わせを1つ買って、それだけ渡せばいいじゃん!て思ったんですが、どうもそれじゃダメらしく。ちゃんと、人数分個別に買うと言ってきかないんです。
それで、「なんばCITY」や「なんばパークス」の雑貨店を何件か見て周りました。ハンカチやら、ハンドクリーム、入浴剤、顔のパック、などなど。いろいろ見たんですが、オシャレでありながら、500円から1000円程度に抑えるというのが、これがなかなかどうして難しく。
実は僕も雑貨を見て周るのはもともと大好きなので、最初は「めんどくせーなー」と思っていたんですが、そのうち、「いや、これは子供っぽい」「もっと大人のセンスを感じるものがいい」「『さすがのチョイスやな』と思わせるものにせなあかん」と、だんだん僕の方がなぜかこだわるようになってしまい(笑)。そんなこんなで、その日は結局いいものが見つからず。翌週、今度は梅田に買いに行くことになったんです。
そして、梅田の「LUCUA」にあるお店を何件か見て周っていたところ、、、
ついに発見しました!
とある1件の雑貨店で、ついに「これだ!」と思える商品を見つけたんです。それは、こんなオシャレなイラストが書かれたチョコレートに、ボールペンがセットになっていて。それが透明の袋にパッケージされて、リボンがついている。そんな商品でした。
おそらくたいていの人がもらって嬉しいであろうチョコレート。しかも、フレーバーが13種類もあって、フレーバーごとにそれぞれオシャレなイラストが入っている。サイズもまぁまぁあって、安っぽさを感じさせない。それだけじゃなく、ボールペンがセットになっていることで、知性すら感じさせる。オシャレと知性。それでいて、食べて美味しいチョコレートという実用性も兼ね備えている。まさに完璧なチョイス。と思ったわけです(笑)
そして、なによりこの商品が良かったのは、その価格でした。なんと500円。僕たちは「安い!」と思って、これに即決したんですが、、、
ここにあなたがビジネスで使える1つのテクニックが隠されていたんです…
つまり、こういうことです。お客さんが感じる価値を価格よりも高くすることで、お客さんに「安い!」と感じてもらうことができる、ということです。
お客さんが感じる価値を価格よりも高くする1つの方法としては、商品が本来持つ価値をきちんとお客さんに伝えること。つまり、商品の特徴ではなく、ベネフィットを伝える。ということですね。
ですが、価格よりも高い価値を感じさせるもう1つの方法があります。これは、まったく別の角度からの方法です。それが、”パッケージ”です。今回、僕と奥さんは、チョコレートとボールペンの500円のセットを「安い!」と感じました。でも、よくよく考えてみると、おそらくチョコレートの価格はせいぜい200円程度。ボールペンは100円くらいでしょう。実際の価格は違うかもしれません。でも、GODIVAではなく、普通の雑貨店に売っているチョコレートです。ペンも普通の黒のボールペンですから、僕らが感覚的に感じる価格はそんなもんです。合わせて300円程度。そう冷静に考えると、500円という価格は高く感じます。でも、それが、透明の袋にセットでパッケージされて、リボンがされることで、300円程度だと思われる商品が、500円でも「安い!」と思ってしまったわけなんです。
これが「フレーミング」と言われるものです。
例えば、ルーブル美術館に飾られている絵と、路上販売されている絵。もしどちらにも同じ絵が売っていたとしたら、どちらに高いお金を払うでしょうか?もちろんルーブル美術館に展示されている方ですよね?それも、何千倍も高いお金を払うでしょう。つまり、同じ商品をどんなフレーム(枠)で飾るかによって、受け取る知覚価値がまったく変わる、ということなんです。
それは、商品だけではありません。例えば、音声のコンテンツがあったとします。それを、そのままmp3の音声として流すのと、スライドを作って、要点や重要なポイントをスライドで強調したり、イメージ画像を入れたりするのとでは、感じる価値はまったく違いますよね?話しているテキストはまったく同じだとしても、スライド付きの方が「いい話を聞いた」「価値の高い情報を聞いた」と思うはずです。
他にも、例えば、セミナーを録画したものを「DVD」として売るのと「オンライン講座」として売るのとでは、その価値はまったく異なるでしょう。一般的に「DVD」と言ったら、せいぜい3000円程度。でも「オンライン講座」と言えば10万円以上で売ることも可能なわけです。その差、実に33倍です。
実は結構おろそかにしがちな「フレーミング」。でも、これにちょっと手を加えるだけで、価格よりも高い価値を感じてもらえるんです。ぜひ、あなたのビジネスでも意識してみてください。それだけで、僕らが300円程度のチョコとペンを500円でも「安い!」と思って買ったように、あなたも価格を上げながらも「安い!」と思ってもらえることもできるはずですので。
-藤岡将貴