ライバル:2人の若い商人の話
From:山田光彦
今日は昔話。
まったく違う仕事のやり方をする、ある2人の若い商人の話をしようと思います。
ちょっと仕事に役立つ話にもなっていますので、息抜きがてら気軽に読んでみてください。
「ふざけるな!」
新米商人の菊次郎(きくじろう)はこう叫んだ。
菊次郎は魚を売り買いする商人のところで働く新米商人。
なんですが、同じような仕事をしている新米商人の官兵衛(かんべえ)が自分の3倍も小判をもらっていると知って、ムカついて、こう叫んでしまったんです。
あまりにもムカついた菊次郎は主人に直接聞いてみることにした。
菊「なんで、僕の小判がアイツの1/3なんですか!おかしいでしょう!」
主「まあ、待て。言いにくいことなんだが、それでも理由を知りたいか?」
菊「もちろんです!すぐに教えてください!」
主「わかった。じゃあ、教えてやろう」
そう言うと主人は菊次郎に、あることを仕事を任せた。
主人は菊次郎にある仕事を任せた
主「今、通り過ぎた荷物を積んだ馬がいただろう。あれが何を運んでいるか?聞いてきてくれ」
菊「わかりました。すぐに行ってきます」
そして、菊次郎は必死に走り、馬を追いかけ戻ってきてこう言いました。
菊「カツオを運んでいる、とのことです」
主「そうか。じゃあ、そのカツオをどこに運んでいるか、聞いてきてくれ」
菊次郎はまた必死に走り、戻ってきてこう主人に言いました。
菊「カツオは市場に運んでいるだそうです」
主「そうか。じゃあ、誰に頼まれて運んでいるか聞いてきてくれ」
菊次郎はまた必死に走り、戻ってきました。
菊「隣町にあるライバルの魚屋でした」
主「そうか。じゃあ、値段を聞いてきてくれ」
そんなやりとりをさらに何度か繰り返したあと、主人は菊次郎の3倍の小判をもらっている官兵衛を呼びました。
そして、官兵衛に菊次郎と同じように仕事を任せたんです。
主人は官兵衛に同じ仕事を任せた
主「さっき通りすぎた荷物を積んだ馬がいただろう。何を運んでいるか聞いてきてくれないか?」
官「はい。わかりました」
官兵衛は菊次郎と同じように、馬を追いかけ、話をして、戻ってきました。
そして、主人にこういったんです。
官「あの馬が運んでいたのはカツオでした。
もう少し話を聞いてみたら、その魚を注文したのは隣町にあるライバルの魚屋でした。
値段を聞いてみると5kgで小判1枚。
うちなら、4kgで小判1枚で買うことができる。そう伝えると向こうも乗り気でした。
なので、馬も長旅で疲れてるらしく、今、うちの倉庫で休憩してもらっています。
いつも買っている値段と同じぐらいですし、すぐに売り切れると思いますが、、、
カツオを買い取りますか?」
そして、主人は菊次郎に向かってこう言いました。
主「これで、なんでお前と官兵衛に払う小判の数が違うか、わかっただろう」
それを聞いた菊次郎は大いに反省することになりました。。。
仕事は労力ではなく価値
菊次郎はとてもまじめな青年で、いわれたことをしっかりとやっていました。
実際、菊次郎の方が何度もカツオを乗せた馬のところに走って行っていますから、頑張っているのは菊次郎の方かもしれません。
ですが、、、
仕事の価値は、本来、相手にどれだけ価値を提供できるか。ここでポイントです。
そういう意味では、主人にとって菊次郎より、官兵衛の方がありがたい存在であることは間違いありません。
それに、官兵衛はそんなに難しい技術がいることをやっているわけではありません。ちょっとしたことに気づいているか、いないのか、それだけの差です。
仕事の目的を知る
主人が荷物を運んでいる馬について調べてほしい。
そういう仕事を頼むからには、当然目的があります。そして、今回の場合は、馬が運んでいるものが自分の商売に関係があるかもしれない。ライバルの情報を知れるかもしれない。などなど、なんとなく思うところがあるわけです。
その目的を汲み取って仕事を進められるかどうか。
これが菊次郎と官兵衛に支払われる小判の差になりました。
一見、どれだけつまらない、意味がなさそうな仕事にも目的があります。
その目的を意識して仕事をできるかどうかで、仕事の価値を何倍にもできますし、やりがいにもつながります。
どんなものを運んでいるか聞きに行く仕事なんて、しょーもないですよね。
でも、なにかライバルの情報やビジネスチャンスにつながるかもしれない。それを調査しにいこう。そう思うと、この仕事にも魅力が出てきますよね。
仕事の種類は人それぞれ。
置かれている環境も人それぞれ。
もちろん、そうなのですが、、、
あなたの状況なら、この話の教訓、どう活かしますか?
ー山田光彦
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