マネジメント 2017/10/31

めっちゃ怒られてるやん


From:寺本隆裕

昨日、昼食に入った定食屋での話。

そこはカウンターから奥の厨房が見える小さな店で、中で働いている店員の姿がよく見えます。端末を手に、注文を取りに来てくれたのは若い東南アジア系の男性。おぼつかない日本語で、

「ゴチュウモン、ドウゾ」

「すき焼き定食と…生卵ください。」

「?ナマタマゴ、ダケデ、ヨロシイデスカ?」

「いや(生卵だけってシルベスタ・スタローンかよ!)、すき焼き定食と、生卵ください。それと漬物盛り合わせも追加で」

「・・・ショーショ、オマチクダサイ」

端末をぎこちなく操作しながら、彼はそのまま奥に入っていきます。大丈夫かなぁと思っていると奥から(奥っていうか、すぐそこなんですが…)上司っぽい人から怒られているのが聞こえてきます。

「これはセットメニューがあるから、バラバラでオーダー入れたらダメ!」「何回言ったらわかるの!」「こうやるの、こう!わかる?!」

どうやら僕が注文した3品は、セットメニューがあるらしく。バラバラにオーダーを通したことで怒られているようです。料理が出来上がって配膳するときも、また別の上司っぽい人から「違う!味噌汁はこっち!」などと怒られて…。「ハイ、スミマセン」と返事をし、そのまま僕のところに「オマタセシマシタ」と持ってきます。

ありがとう、と伝えるも、なんか、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。。。

こういう経験ってたまにありますよね。

お客さんの前でめっちゃ怒られてる従業員。明らかに楽しくなさそうな従業員。そんな状況に遭遇すると、僕はいつもこう思います。

「かわいそう。」
「自分やったらこの店(この会社)で働きたくないな…。」

彼が日本に来てどれくらいか、わかりませんし、彼の仕事ぶりが本当にひどいのか実際のところはわかりません。今回の彼はたまたま外国人でしたが、これ日本人の従業員でも似たようなシーンに遭遇すると僕はいつもそう思ってしまいます。


会社経営において、僕はいつも指針にしている考えがあります。それが「自分なら自分の会社で従業員として働きたいか?」ということ。

お子さんがいらっしゃれば、「自分の子供を自分の会社の従業員として働かせたいか?」という風に考えてみてもいいかもしれません。ビジョナリー・カンパニーか何かの本で、「その人材を昇進させるかどうかを判断するときに、あなたの息子をその人物の部下にしたいか?を考えてみる」と言ったような内容があり、僕はそれはとてもわかりやすい表現だなと思いました。

「自分なら自分の会社で従業員として働きたいか?」「子供を働かせたいか?」はその応用編で、いい会社って何やろう?いいコミュニケーションって何やろう?を考えるときにとても参考になります。

この定食屋の店員のことについては、正直この短時間でのやりとりでしかわかりません。

でも、彼は今日、仕事が終わって家に帰る時、どんな気持ちなんだろうか…。明日、朝起きて出勤するとき、どんな気持ちなんだろうか…。仕事に行くのが楽しくてワクワクするんだろうか?彼の人生の大部分を占める仕事。それがこれでいいんだろうか?それを考えると辛くなります。

さて、あなたが従業員だとして、働きたい会社ってどんな会社でしょうか?

ちゃんとした教育が受けられるか?
公平にチャンスが与えられるか?
高い収入が得られるすべはあるか?

あるいは…

成長できるか?
活躍できるか?
成功できるか?

朝、仕事に行くのが楽しくてワクワクする会社。それはどんな会社でしょうか?あなたの会社をもっといい会社にするには、どうすればいいでしょうか?


寺本隆裕


PS
イチ日本人として、この定食屋の彼にはせっかく夢を抱いてやってきてくれた日本に対して、そして日本人に対して、いい印象を持ってもらいたいな。そして彼を雇っている経営者やその店の店長、教育している店員さんには、日本人代表の立場として彼に接して欲しいなと、勝手ながら願っています。



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