戦略 2018/07/13

このビジネスは悪どい?


From:北岡秀紀

ある起業塾のお話。
この起業塾がなんで儲かっているのか?

それは…圧倒的なリピート率(笑)
これって矛盾しているのお気付きですか??

この起業塾。
第1期、第2期…と重ね現在は9期を数えています。
直近開催された9期のうち、35%が過去の期の参加者。
そして、1期、2期からの参加者もチラホラ。

そして、この1期,2期がこの場を仕切っているわけです。

講師は講義をしますが、質問が出た場合はこの先輩が教えてくれます。
そこでも答えが出ない場合だけ講師が答えます。
講義の受付も先輩です。
懇親会の店探しも会費集めも全部先輩。

なので、この主催者(先生)はほぼ講義しかしていません。

あ、ちなみにこの先輩も講義にお金を払っています。
もちろん少し割引はあるようですが、質問の回答にも受付にもギャラは発生しません。
「教えること、与えることが最も成長できる方法」なんだそうですが…彼らは未だ起業していません。
一番古い人であれば4年以上も経つのに。。

だから、彼らが後輩に対して優位性を示す方法はただひとつ。
先生と仲が良い、ということ。
みんなが緊張する先生に対して気軽に話せるオレ、みたいな先輩ヅラをすることです。

先生もそれをわかっているから先輩方をちょっとだけ立ててあげます。
ただ、あまり内輪だけで盛り上がると新しい方は入ってきづらいので…
そこのコントロールだけには気を使っている、ということです。


この事例から学ぶマーケティングの原則


さて、この起業塾のことどう思いますか?
悪どいと思いますか?

私は少なくともマーケティングの原則をよくわかっている、と思います。
その原則は「お客が本当に欲しいものを提供する」です。

もうおわかりですね。
この起業塾の参加者が本当に欲しいものは起業の実現…ではありません。
先輩ヅラできる気持ちの良いコミュニティ。
そして、「オレたちは起業のために勉強している。その時点で他の人たちとは違う」という選民思想です。

実際には、本気でやって失敗してしまうことを恐れて「成功できるかもしれない」という可能性を残し続けているだけのただのヘタレなんですけどね。

私はビジネスヘタレと付き合うのは気持ち悪いですから、こんなビジネスをしたくはありません。

が、このビジネスのやり方を選択する人を悪どいとも思いません。
催眠とか、「必ず起業させます」とオーバートークで売っているならともかく、彼らは進んで喜んでお金を払っているわけですから。

要するに、エンターテインメントを提供しているわけです。


正義・倫理を一度外して考えてみる


この事例から「お客が本当に欲しいもの」をもう一度考えてみてください。
それがあなたの正義・倫理に反するものであったとしてもです。
一度、正義・倫理を外してみると見えてくるものがきっとあります。

実際に売るかどうかは別。
まずは制限を外して考えることです。

実際、お客さんを見てみてください。

「欲しい」とお客さんが言っているものと、お客さんが実際に「欲しい」ものは違います。
お客さんと付き合っていて「成果が欲しい」と言いつつ、真逆の動きをする人いますよね。

それを改めて知り、お客さんとどう向き合うのか改めて考える機会になります。


-北岡秀紀


追伸


ちなみに「教えること」「与えること」が成長する秘訣であることは事実です。
それを教義にしてしまって、うまく使われているというところが面白い、という話です。

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