マネジメント 2017/01/18

許し、そして前に進む

FROM:ケン・シェルトン
(リーダーシップに関する出版を主な事業と30年以上して行う、エグゼクティブ・エクセレンス社の創業者 兼 編集長)

by Desmond Tutu


思い出がなければ、癒しは来ない。許しがなければ、未来は来ない。「過ぎたことは過ぎたこと」と言うだけでは充分ではない。そのように言うこと自体が、「過ぎたこと」に出来ていない証拠。

和解は簡単ではない。簡単に和解できると思ってしまうと、決して和解できない。結局は、許しなくして未来は来ないのだ。

癒しの道を見出すには、私たちが耐えてきたものを思い出す必要がある。しかし、その経験から受けた暴力を、
罰をもって、他の人にただ渡してはいけない。生まれた憎悪を長期化させることなく、苦しみに対しても正義を貫かなければならない。これが、修復的正義だ。

罰をもっては過去を変えられないことに気づきなさい。その代わり、あなたは知っている。思い出は長い間留まるものだということを。ならば、その思い出を認めることに務めなさい。修復的正義は、傷ついたり失われたりした人間性を修復するのだ。

しかし、壊れた自己を修復するのは、思い出を修復するということでもある。あなたに起こったことは、実際に起こったことだと認めること。認めることが、癒しへの第一歩となる。

「否定」は効果がない。許しにも和解にも辿りつかない。

「忘却」は解決策ではない。癒されるためには、過去に真剣に取り組むことが必要だ。

「復讐」はあなた自身や、復讐の虜になった者を破壊する。私たちは道徳的な世界に生きているのだ。

正しいことは意味を為す。

間違ったことも意味を為す。

物事を隠しておいても構わないが、消えるわけではない。
隠しておいても、その気配は雰囲気に充満するだろう。


あなたがもし常に争っているなら、少し笑顔になってみよう。笑顔はあなたを騙せない。痛みは癒されるだろう。

私たちは、許し、前に進むことを忘れてはいけない人間社会の繋がりの脆弱さに目をそらさずに。


デズモンド・ムピロ・ツツ
南アフリカの平和運動家。
1984年のノーベル平和賞を受賞。

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