文章力
From:岡崎 匡史
研究室より
ブログを週1回更新することが私の課題です。
学術論文を書いてきた私にとって、ブログの執筆は難しい。
学術論文のスタイルは体得していると自負している。しかし、エッセイのように流れる文章が書けない。誰でも簡単に読める文体になるまで、長い月日を要します。頭の中にすっと入ってくる文体こそが一番難しい。
なぜなら、簡潔に、容易に書かれた文章ほど力量が問われるからです。難しい内容を、さらに難しく書いたのでは、誰も読んでくれません。一筋縄では読み解けない内容を、シンプルに解説することが問われます。
だがら、執筆するさいに、日常生活で使わないフレーズや難解な漢字を避けなければなりません。
「漢字」を使いすぎない
私は25歳のときに非常勤講師として、大学で教える機会に恵まれました。まだ大学院生でしたが、早いうちから教員として経験を積ませた方がよい、との諸先生方の判断でした。いまでも感謝しております。
教えだして気づいたことは、学生の答案や文章を読んでいると、共通するミスが見受けられたことです。
それは、文章を書くことに緊張しすぎて、漢字を多用しすぎている。パソコンで文章を書いていると漢字変換が楽なので、普段、使いもしないような漢字を使ってしまうのです。
高尚な漢字が出てくるので、文章の見た目はよいかもしれない。賢くみえるので、書き手は高揚感も得る。でも、作品の中身が全くない。稚拙な文章に、突然、難度の高い漢字が出てくる。読み手からすれば、ジェットコースターに乗っているようなもので、頭がくらくらします。
接続詞
この症状がひどくなると、接続詞まで漢字を使います。
素直に「ひらがな」で書けばよいのに、、、
「しかし」を「然し」
「もっとも」を「尤も」
「あるいは」を「或いは」
「ただし」を「但し」
適度な「ひらがな」があるからこそ、読みやすい文体が確立されていくのです。
辞書の効能
あとは、しっかり辞書を引くクセをつけること。
アメリカの大学生たちは、必ず「Thesaurus」(シソーラス・類義語辞典)を持っています。文章を推敲するときの必需品です。日本語では、『類語大辞典』や『東京堂 類語辞典』などがおすすめです。
本格的に文章を書くようになると「活用辞典」も欠かせなくなります。私は『てにをは辞典』を愛用しております。素晴らしい辞書です。書店でみかけたら、一度、手にとってみてはいかがでしょうか。
ー岡崎 匡史