富の永続のための重要なルール
今回ご紹介するのは、スティーブ・シュガラッド博士による株式マーケットで収入を得るためには欠かせないテクニックについての寄稿である。
スティーブは株式投資において私が信頼を置く人物であり、彼とは知り合って20年以上になる。私は彼の著書を読み、彼の考え方について意見を交わしたり、私自身の株式投資についてのアドバイスを仰いだりしてきた。そして、彼は私より年下の割には非常に思慮深い人物だということが分かった。つまり、私は彼を信用しているのだ。
彼は経済学の博士号を持ち、ニュースレター「トゥルー・ウェルス」誌の編集長である。これは彼が提唱する「永続する富のための4つの法則」を基本にした発行誌である。彼は株式アナリスト、株式ブローカー、クローズドエンド型グローバルファンドの副社長として取引担当の経歴を持つ。
******
富の永続のための重要なルール:お金を失わないために
スティーブ・シュガラッド
収益性の高い投資(およびビジネス)の最も重要なルールの1つは、リスクの高い冒険からは早く手を引き、より良いチャンスを追求するために、より多くの時間とお金を費やすことだ。
ここで概説する簡単なテクニックのとおりに行動できれば、投資について悩み、眠れない夜を過ごすことはなくなるはずだ。なぜなら、たいていの投資家は知らない、投資に関する指針が持てるようになるからだ。それは、あなたが最大の収益を得るためにいつ手を引くべきか、あるいは継続するべきかという判断基準である。
より分かりやすくするために、1つ例を挙げよう。
あなたがシャツを販売するビジネスを2つ手がけているとしよう。1つはビーチでTシャツを売るもので、もう1つはあなたの地元のプロショップ(プロゴルファーがアドバイスをくれるゴルフ用品店)でゴルフ用のシャツを販売している。
ゴルフシャツの購入者はこだわりが強いので、簡単に売れるわけではない。そして、Tシャツより価格が高いにもかかわらず、その利益率はTシャツよりも低いのだ。
ビジネスを始めて1年後、あなたはゴルフシャツのビジネスが赤字であるのに対して、Tシャツの方では年間の黒字が50%以上だと気が付く。
ここでたいていの人は、ゴルフシャツのビジネスを立て直すという過ちを犯すだろう。彼らは永続する富のカギとなる法則を知らないのだ。それは損失を切り捨て、成功していることを継続するということだ。マーク・フォードのビジネスに関する考え方もこれと同じである。
これは株式マーケットにも当てはまる重要な原則になる。2つの保有株のうち1つの株価が50%上がり、もう1つが25%下落したら、多くの人は値上がりした方の株を売り、下がっている方を保持しようとする。あるいは、安くなったからという理由で買い足したりするのだ。しかし、これは大きな間違いである。
株式マーケットでは損失を出している株からは、常に手を引くべきである。「勝者を勝たせ、敗者は切り捨てる」というフレーズを覚えておくとよい。
ご存知のとおり、お金を稼ぐという意味では、株を買うことは全行程の前半部分にすぎない。ほとんどの人は最も難しい部分をよく理解していないのだ。それは売るタイミングである。
投資を成功させるためには、銘柄購入のリサーチと同様に、出口戦略についてもじっくりと計画を立てる必要がある。
私が提唱する出口戦略はとても単純だ。私は株価が上がりきるところまで運用する。しかし、下落したときに損害を被らないように、出口戦略を用意しておくことが重要なのだ。損失を出さないためにはさまざまなレベルの自衛策があるし、何らかの理由で保有している株を売らなければならない場合もある。
株が下落する前にそうした対策を講じる理由が特にない場合、トレーリングストップは私の大事な資産を守るためのセーフティネットだ。そして、これはとても有効な手段なのだ。
トレーリングストップ戦略の大事なポイントとして25%ルールがある。私は株価が最高値から25%まで落ちたところで売ることにしている。例えば、5000円で購入した株の株価が落ち始めた場合、いつ売るべきだろうか?それは5000円から25%値下がりし3750円になった場合、または最高値から25%値下がりしたときだ。つまり、5000円から1万円まで値上がりし、その後株価が下がり始めたら、最高値から25%値下がりした7500円で売却するのである。お分かりだろうか?
では、なぜ25%なのだろう?それについては、何も深く考える必要はない。この原則に従うことが重要である。大事なことは、株価が50%以上落ちてしまうまで待ってはいけないということだ。そこまで落ちてしまうと、最初に購入した株価に戻るまでに、さらに100%以上の値上がりが必要になる。このトレーリングストップ戦略を使えば、そのような最悪の事態を避けることができるのだ。
私は株価を計算する際、日中の平均株価ではなく終値を用いている。この方が株式取引をやりやすくなるので、あなたにもお勧めする。1万円まで値上がりした株価は、7500円で見切りを付けると念頭に置いておく。そして、実際に7500円まで下がってしまった場合は、翌日に売却すればいい。
実は、私自身も自分で編み出したこの原則に忠実に従って取引ができるようになるまで、3年かかったことを認めなければならない。それまでは役にも立たない株を売らず、残しておくための言い訳をいくつも並べてきたのだ。実際は、そのような株のほとんどは保有し続けずに、25%で損失を切り捨ててしまった方が得策だったのである。
そして、今では必ずトレーリングストップを使うようになった。あなたも一度その習慣を身につけてしまえば、いつも実行できるようになるだろう。簡単なことだ。
トレーリングストップには次の2つの大原則がある。(1)大きい損失を出すよりは、小さい損失を出すほうがはるかにいい。そして、(2)利益が出ているうちは、それを早期に切り捨ててしまうよりも運用を続けたほうがはるかにいい。
あなたもこのシンプルな原則に従って投資をおこなえば、すぐに劇的な成果が得られるだろう。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ