経済 2018/05/25

ケインズ主義に基づく経済政策





 次にアメリカ経済について述べておきたいと思います。私はトランプ政権下でアメリカ経済は好転すると見ています。拙著『「国家」の逆襲』(祥伝社、2016年)で述べたように、トランプの経済政策は事実上のケインズ主義に基づくものです。


 国内のインフラ再建のために大規模な投資を行い、雇用創出と税収増加を図ることで財政均衡を図ろうとしています。また、大規模な税制簡素化や規制緩和を実現しようとしており、かつてのレーガノミクスと共通した面があります。ケインズ主義は伝統的な共和党の考え方に反するものですが、トランプの経済政策は非常に面白いと思います。


 当面は赤字を覚悟して経済政策に着手するでしょうが、成長重視という点ではいいことです。そもそもアメリカ経済は自由経済とはいいながら、実際は国家による技術開発と投資が民間経済に波及するというスピンオフ効果に支えられています。航空宇宙産業、軍需産業など、すべて国家の予算で開発されたものであり、インターネットも軍需産業から生まれたものです。スピンオフ効果がなければ、アメリカ経済の発展はあり得ませんでした。


 アメリカ経済はまだ赤字財政に耐えるだけの余力はあり、トランプが2期大統領を継続できれば、経済の面でも明るい見通しが立ってきます。


2017年9月1日発行藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』第5章 これから何が起こるのか(政治・軍事・経済)ーP189




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