大切な事を”いつ”言うべきか?
From:ロイス・クルーガー
今日、お話しするストーリーは、ブリガムヤング大学のキャンパスで起こりました。私の家からそれほど遠くない場所です。
私はそこで監督の役目を務めていました。だいたい220人ぐらいいる集会の監督をしていたのです。大学の生徒たちのことを知ることができてすごく光栄でした。すごく楽しかったですし、キャンパスに毎週何時間かいる間に生徒達と一緒に時間を過ごしたり、精神的な生き方について教えたりしていました。
日曜日には集会があります。
ゲストスピーカーが時々やってきて、話をしてくれます。日曜日に誰かに来て話してほしいという需要がありましたし、私は、スティーブン・コヴィー博士とつながっていたので、集会で話してもらうことにしました。博士は書籍や精神的な人間関係の分野で非常に有名でしたし、素晴らしい人格を持っていたので、そのような場で話してもらうには最適な人でした。というわけで、翌月の集会で博士に話してもらうことになりました。
会場は、500人位入れる、映画も見られる劇場でした。
コヴィー博士が来てくれる日になったら、普段は220人ぐらいの聴衆だったのがその日は500人ぐらいになったんです。いろいろな友人や親戚が呼ばれてきたんです。素晴らしいことです。皆、ざわざわしていました。ぜひ、コヴィー博士の話すことが聞きたい…と。
私たちは、始まるまでずっとずっと待っていました。でも博士は、10分前になってもまだ来ない。5分前になってもまだ来ない。私はちょっと緊張してきました。もしかしたら、博士は外で誰かとしゃべっているのかな…と思いました。
そうしたら博士がばーって走ってきて、私にハグをしてくれました。なぜかその日、博士は非常に幸せそうだったんです。私は、「ああ、きっとここに来て話をすることにワクワクしているのかな」と思ったんです。
博士は私の肩に手をかけながら、廊下を歩いていきました。そうしたら、歩いている最中に、博士が急にこう言ったんです。
「ちょっと話さなきゃいけないことがあるんだ」
「え?今、話さなきゃいけないんですか? あまり時間がないんですけど… ステージももう準備されてますし。。。」
「いや、そうじゃないんだ。 今日の講演とは全く関係ないんだ。」
私が「なんですか?」と言うと、博士はこう言いました。
「ロイス、きみに会社の一部をプレゼントしたいんだ。 きみに会社のシェアを何パーセントかあげたいんだ。」
「は?え???何を言っているんですか?」
「ロイス、会社の株をあげると言っているんだよ。」
「あ、え、そうなんですか?え?」
「そうだよ。君は何年間もずっと奉仕してくれた。 ずっと尽くしてくれた。 そして私たちは株を君にあげるべきだって、 全会一致で決議したんだ。」
そんな事もあるらしい、と聞いたことがありましたが、実際にそうなるとは思っていなかったので、とてもびっくりしました。
そして、とても謙虚な気持ちになりました。
この日は、話の内容もとても精神的な内容の1日だったんですけれども、そんな日に贈りものをもらったということに感謝しました。私は実際、長い間コヴィー博士の所で働いてきて、これはすごくうれしかったです。
コヴィー博士は、私にとにかく株をあげたいと思ったんです。割合はそれほど多くはなかったですけれども、充分な株式数でした。そこから、私の生き方、生活も変わりました。お金が沢山入ってきました。私の人生の岐路になりました。私が何年もずっと欲しかったものも手に入れることができましたし、家族はそれによって恩恵を受けさせていただきました。
私のビジネス人生も変わりました。私は会社のオーナーの1人になったんです。そして、それに対するの尊敬のまなざしを得ることもありました。すごく興味深いですよね。私の役割が、一般の社員からオーナーになったことは、実に興味深いなと思いました。
コヴィー博士の話に戻りますが…
博士は、講演が終わるまで、私に伝えるのを待てなかったんです。次の日にオフィスで会うまで、待てなかったんです。廊下を歩きながらでも、言わなきゃ気が済まなかったんですね。その日に会ったのは2分ぐらいだったのに、言わなきゃ気が済まない、絶対待てない、と。
博士はその後しっかり講演を行いました。大成功しました。でも、私はその時の話をちゃんと覚えていないんです。すごく興奮していたし、驚いてもいた時ですからね。何年もたって、コヴィー博士を見ていて思ったのですが、博士はそういう人なんです。
そのときに言うことは、その時に言う。
そのときに起こることは、そのときに起きる。
こうしなきゃいけない、などということに縛られて、生産性を下げるようなことはしないんです。そうじゃなくて、どんどんどんどん自分から吐き出して、処理していくんです。そのような人でした。
コヴィー博士は、自分の周りにいる人もそうであるべきだ、と思っていました。私たち全員が主体性を持つように。7つの習慣を生きるように。こう語り、教えていました。
人を元気にさせることを行い、親切にすることを期待していました。
「人を導く」、つまりリーダーであるということは、どのように生きるか、何をするかを示すことだと思うんです。コヴィー博士は、もちろんそのような人でした。正直に言うと、博士は非常に忙しくて、1対1でランチをする機会はあんまりなかったんです。コヴィー博士と話すときは、ほぼ出張中のときが多かったです。
博士は非常に楽しい人間でした。博士の子供達のことを知るにつれ、子供達も素晴らしいことが分かりました。また、奥様のサンドラも素晴らしいことに、感銘を受けました。博士は、家族の意味を教えてくれたんです。人間関係を築くこと。素晴らしい時間を一緒に過ごし、思い出を築き上げていくこと。
あなたが廊下を歩いていても、何かが起こるかどうかは分かりません。この日は私は、予期していなかったボーナスを会社からもらったんです。コヴィー博士もすごく喜んでいました。人々が成長すること、そして人生で前に進んでいくのを見るのがコヴィー博士は大好きだったんです。
私は永遠に博士に感謝し続けるでしょう。