成功者の持つ2つ目の共通点
FROM:ダン・ケネディ
以前、成功している人物に共通している特性について説明してきました。
まず、ドミノ・ピザのフランチャイズの例を用いて「革新的である」という共通点があることについてお伝えしました。
では、これから、成功している人物が共通して持っている2つ目の特性についてお話していきましょう。これは私の気に入っている特性の1つです。
その2つ目の特性とは、「素晴らしいマーケティングの能力を持っている」ということです。彼らはマーケティングについて熱心に学習し、実に深くマーケティングに関わっています。
スモールビジネスの現状
なぜそんなにこの特性が大切かというと、まず1つには、今日、個人がビジネスを立ち上げ構築していく際に、巨大化した組織を持つ企業と競争をしていかなくてはならないということがあります。
フランチャイズ・ビジネスが、その良い例でしょう。フランチャイズ・ビジネスは、本来、個人が開業する際に、ビジネスに必要なシステム構築のコストを押さえて開始することを目的としています。
しかし、ほとんどのフランチャイザーは、フランチャイズ権を大手企業やグループ会社に多額の費用で売却しているのが現状です。
かつては100万円だったフランチャイズ権に、今日では1億円の資本が必要となり、5千万円のキャッシュを備えないとハンバーガー店を手にできないとしたらどうでしょうか。当初とは全て変わってしまったのです。
大企業がスモールビジネスにも進出しています。このために、個人を含めてスモールビジネスに携わる全ての人は、豊富な資金源を持ちあらゆる面で最高かつ最良の事業が可能な巨大組織と、一対一で競争をしていかなくてはならないのです。
効果的に競争力を高めていく唯一の手段
そのような環境の中で、効果的に競争力を高めていく唯一の手段は、自分がよりよいマーケッターになることなのです。そのためには、宣伝や販売促進において自らのメッセージを伝達するより優れた方法を身につけなくてはならないのです。
私のビジネス・パートナーであるビル・グレーザーは、家族経営の紳士服店の経営をしていた経歴を持っています。
少し前のことですが、この業界は、過去15年間に80%以上の紳士服店の個人経営者が店をたたむという事態に追い込まれていた時期がありました。全国的に展開する巨大小売企業との競争に勝ち残れなかったのです。
しかし、その中でも彼の店は存続し続けただけでなく、成功を収めることができました。彼はいったいどんな競争力を持っていたのでしょうか。
彼の競争力とは、設備の強化ではありません。巨大な小売企業ならば、売り場を構築するための莫大な資金を投資家から集めることができますが、彼のような個人経営者には困難です。ですから、設備で競争しても無意味です。
では、どうやって競争していったのでしょう。
全国的なテレビ放送を通じて競争したのでしょうか。大きなスポーツイベントが行われるテレビのゴールデンタイムに広告を打つお金があったでしょうか?いいえ、ありませんでした。
では、どうやって競争したのでしょう。
いかにして家族経営の紳士服店が
巨大企業との競争に勝ち残ったのか
彼は、マーケティングを駆使して競争したのです。賢い方法を使ったのです。私が気に入ってる例を1つ挙げてみましょう。
彼の店の販売員に、店を訪れた全ての顧客に必ず連絡先情報(氏名、住所、電話番号、Eメールアドレス、その他)を聞くように徹底させたのです。
次に、顧客の購入金額に応じて頻繁に連絡を取り続けました。彼の得意客は年間に、
- 手紙18通
- 販売員からの電話4回
- 音声案内4回
- 毎週送られるEメール52通
を受け取りました。
マーケティングでは、これを「マーケットプレース・ドミナンス(市場支配)」と呼んでいます。
巨大小売企業がどれだけ高額な費用を費やしてTVコマーシャルを放映しようと関係ありません。彼らは、ビルの店と競うことも、ビルが顧客に行ったほどのインパクトを残すこともできません。
ところで、ビルは全世界の何千もの小売業者達に、自らのマーケティング知識を教えました。
彼と他の人々との違いは何なのでしょうか?それは、彼がマーケティングの大切さを理解しているということでしょう。
あなたは、どのようにすれば彼の業界で通用したマーケティングのアイデアを自分のビジネスに当てはめることができるだろうか、あるいは、自分の業界においてはまだ試されたことがないけど、彼のアイデアをどのように適用していくべきだろうか、と気になりだしたのではありませんか?
さて、今回私達は、成功者が行っていることを発見しました。彼らは、優れた新しいマーケティングのアイデアを追求し、実践していたのです。
ダン・ケネディ