宣伝広告において議論すべきもっとも重要なこと


Fromダン・ケネディ

アカデミー賞授賞式が開催された時、番組スポンサー企業は30秒のCMに165万~180万ドル(1億6500万円〜1億8000万円)を費やしました。

この額は莫大な出費ですが、もし経済状況が安定しているなら多額の出費もビジネス収入で賄うことができます。競合会社が躊躇してしまう、あるいは支払えないとなれば尚更ですね。

昔、私はナイチンゲール・コナント社のような数億円規模の会社を設立しようとしました。しかし、初期段階の赤字なくしては通信販売業の設立は不可能であることを、苦しい体験を通して学びました。率直に言えば、十分な財源がなかったのですよ。それ故にこの夢は叶わず、私は別の人生を歩むことになったわけですがね。

私は、絶妙たるマーケティング戦略でさえ、不景気の波には打ち勝てないとよく話します。つまり、最高品質の商品でも、市場戦略でも、不足分の資本を埋め合わせることはできないのです。

アカデミー賞受賞式期間において、賢明なマーケターたちは選び抜いたメディアを通して自社のCMを視聴者に向けて放映しました。そして、彼らの会社は多額の出費を躊躇してしまう、あるいは支払えない競合会社を脇目に一気にトップに躍り出たのです。

ペプシが数年間、冠番組のスポンサーを降りたことは記憶に新しいのではないでしょうか。一方でコカ・コーラはそのままスポンサーを続け、多額のCM料を払い続けましたね。その結果、コカ・コーラはペプシを追い抜き、コーラ飲料の第一主要製品としての地位を築いたのです。

ほとんどのビジネスは「顧客を買う、つまりお金を払って広告を出す」ことで成り立っているという事実を、多くの人が見逃してしまっていますね。最初の売上や初期の利益だけで新規顧客を獲得しようとすると、業績はなかなか伸びないでしょう。寧ろ、全く業績を伸ばせないかもしれないのです。

反対に、初期に損失を出そうが顧客獲得に意欲的にどんどん投資し、顧客評価を最高にするための効果的戦略を着々とこなすマーケターは、大いに競合に対して優位に立てます。

多くの経営者にとって、この話は受け入れがたいようです。事実、予算を決定する時、マーケティング費用は支出を減らしたい第1項目によく挙げられますからね。

理論的に説明すると、ビジネスは既存顧客だけでも維持することができます。それはライバル会社も同じです。そして、あなたがこの段階での支出を渋るなら、せっかく切り開いた市場も出費を惜しまない新鋭ライバル会社に譲ることになってしまいますよ。その結果、市場シェアまで奪われてしまうでしょう。

「どうやって出費を最小限に抑えつつ、顧客を獲得するか」なんて議論はすべきではありません。

「新規顧客を獲得するために最大どれくらい出費できるか」を議論することが最も重要なのです。

予算額がマーケティング能力を左右すると言っても過言ではありません。それがメディアやマーケティングツールを利用出来るか否かを決め、マーケティング戦略に大きく影響を及ぼすことも事実です。

最終的には、顧客の獲得にもっとも多くの額を出費出来る企業が勝ち残るのです。アメリカでは、McGraw-Hill(マグロウヒル)が1980年~1985年の不況時代の企業動向について600社を分析しました。1981年~1982年の期間に、広告宣伝を続け、顧客獲得にほかの競合会社より多くの額を費やした企業は、1985年までに256%の成長率を達成しています。

同様のケースはほかにも見られます。もし、口明けの初売り利益のみを期待するなら、その企業の成長は遅いでしょうね。競合会社より多くの広告費を支出し、最終的に顧客価値を最大にする効果的戦略を実行していくこと。それが実現できる環境をあらかじめ確保しなければいけないのです。


-ダン・ケネディ


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