値下げをすると、一緒に質の良くない客がついてくる


From:ダン・ケネディ

値引きは価値の破壊をもたらすものだ。その一方で、私は値引きを歓迎している。

それは、値引きがものを売るという場面において、時として非常にありがたい手段となるからだ。経営者の大半は、値引きをあまりにも簡単に、深く考えもせず、当たり前のこととして行っている。

お客をもたらしてくれるといううれしい側面だけを見て、価格破壊というマイナス面に関しては、ろくに考えもしていないのだ。

覚えておいてもらいたいのは、値下げとは、適切な価格で商品を売るためのひとつの方法であるということだ。値下げを行うということは、商品の価値に焦点をあて、その価値を正しく価格に反映し直すということだ。それ以外の何ものでもない。


逆に値上げを行い、その値段を維持しようとする場合も、商品の価値をしっかり見極められていることが前提となる。値下げを行うことは、時としてこの商品の価値を見極める能力を蝕んでしまう。

どんな値下げにも、商品の本来の価値を落とすリスクがつきものなのだ。同じ客が2度立ち止まって、商品の値段とその価値をじっくり考えることなど、まずないと思わなければならない。

さらに、研究からは、対象が何であるにせよ、値下げが販売効果を下げるという結果が出ている。つまり、値下げを行わなかったほうが、値下げを行ったときよりも最終的によい結果が得られるのだ。

「そんなはずはない」とおっしゃるだろうか。これは、一般用医薬品や医療用医薬品、化粧品、そのほかの商品を用いた値段に関する二重盲検試験できちんと証明されている。

あるリゾート物件会社が行った調査では、元値または元値に近い値段で物件を購入した顧客は質がよく、逆に大幅な値引き価格で物件を購入した顧客は質が悪いという結果が得られている。

この分析結果はつまり、値引きをすることで、企業側が望ましくない顧客が集まってくると言い換えられるかもしれない。

患者が値段の高い薬を選ぶのは、「この薬なら、ほかのものより効き目があるはず」と期待を寄せているからであり、リゾート物件の購入者が値段の高い物件を購入するのは、「この物件ならすてきな時間を過ごせるはず」と期待を寄せているからだ。つまり、高い期待から高い評価が生まれているのだ。

−ダン・ケネディ



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