不測の事態が起きたとき、私たちはどうすれば良いのでしょう
From:ダン・ケネディ
ニューオーリンズが巨大なハリケーンに見舞われた際、私は多くの対処法を取りましたが、それについて書けと言われれば、1ページどころか100ページでも書けますよ。私はすぐにいくつもの予想を立てましたが、そのほとんどは我ながら外れた方が良いのにと思うものばかりでした。
小説『Lord Of The Flies』(邦題『蠅の王』)に出てくるような、人間の残酷さについて語ることも出来ますし、このアメリカという国が多くの場所で、たくさんの意味で、後進国になりつつあることについて語ることも出来ます。
あるいは英雄的な行為や自己犠牲的な行為の話だけにフォーカスすることも出来ますよ。私の仲間、クライアント、GKICのメンバー、長年の付き合いがあり顔の利く人の多くは非常に寛大で、即決力をもって迅速に行動したことを皆さんにも知って頂きたいと思います。彼らは即座に自分の懐からお金を出して人助けをしただけではありません。様々な方法で自分の顧客やその他の人々への影響力を駆使し、あっという間に多額のお金を集め、それを施したのですよ。
ジェフ・ポールとケン・マッカーシーは、ほとんど瞬時に行動を起こしました。その他にも数え切れないほどの人が自分の時間とお金を提供し、ボランティア活動を取りまとめたり、動機付けをしたり、他の多くの人々にも寄付するよう促したりしました。私はそのような行動を起こした人全員に賞賛を送りたいと思います。
冷静にこの出来事を観察すると、改善すべき点が見えてきますよ。それは人間に関わることです。ほとんど世界中で見られる愚かな傾向ですが、不用意であること、災害は自分には起こらない他人事だと思うこと、現実を完全に否定することなどです。周知の地震断層線上や巨大な火山付近や「ハリケーンの通り道」と呼ばれる場所に住宅や高層ビルを建築・再建築し、それによって都市全体を形成しているのがそのいい例です。
もっと小さなことや、たやすく回避できるようなことにおいても、その例は無数にあります。書面化された文書もなくビジネスをすること(たとえ「友達」と行う場合でもです)、全てのデータを1台のコンピュータに保存して、双方向インターネット通信につなげていること(空のボックス以外は何もつなげておいてはいけないのにですよ)、自分の小切手帳の使用権や投資判断を他人に委ねること(そのためにスポーツ選手が最終的に保険のセールスマンにならざるを得なくなるというのは有名な話ですね)、今いる顧客からのひいきを当然のこととして受け止めることなどです(毎月ニュースレターを送ることさえ渋るのですよ)。リスクを全て回避して生きることは、誰にも出来ません。ハワード・ヒューズはそれを試みましたがね。誰にでも、どうしても得たいと強く望むものがあります。それを得ることがあまりにも魅力的なので、それを諦めるよりは、わかりきった高いリスクを取ることの方を選ぶのです。友人にとってはレーシングカー、私にとっては競走馬がそれに当たります。
あなたはもちろん危険を回避しているでしょう。あらゆるリスクを想定して、過剰に対策をしているかもしれませんね。でも起業家でそんな人はいませんよ。しかし一方で、リスクを真剣に考えなかったり、よく知ろうとしなかったり、頑固に否定したりすることで、馬鹿なしっぺ返しを受けるのは、本当に愚かで怠慢で無責任なことだと思うのです。
払えないような代償や耐えられないほどの制限を受けずとも、私たちの健康や安全、ビジネスのセキュリティを向上させるために出来ることはたくさんありますよ。それなのに私たちは皆、それをすることさえも怠っているのです。今回のような天変地異が起こると、世界全体で次のようなことを改めて考える良いきっかけになるかもしれません。自分たちがしていること、住んでいる場所、旅行先、ビジネスのやり方、予防対策、管理方法、チェック体制、そして起こり得ることに対する前もった対処法、規模の大小に関わらず、不必要に背負っているリスクなどについてです。
そのようなことを世界全体が改めて考えるきっかけとなれば、あの地域全体に及ぶ悲劇も役立つものとなるでしょうね。
-ダン・ケネディ