一歩ずつ進んでいますか?
From: ダン・ケネディ
The Home Depot(ザ・ホーム・デポ、アメリカの住宅リフォームや建設資材の小売チェーン)は、各店舗に人事担当マネジャーを配置することを決定してから12週間以内に3000人に面接を実施、1300人を雇用、そして研修を行い各店舗に配属しました。また、成長率がピークに達した2004年には、48時間に1軒のペースで新規店舗をオープンしました。これに関してどう思いますか?
みなさんの多くは、アイアコッカ(クライスラーの会長とCEOを務めたアメリカの実業家)が新しいコンバーチブルの開発のために溶接用のブロートーチで車の屋根を取り払い、試乗運転して周囲の反応を見たという、私が大好きな話をご存知だと思います。彼の自伝の中で、クライスラーでの転向期に関する記述には、「行動スピード、大規模なパフォーマンス、それに、多くのイニシアティブを同時にとること」という3つの類似したテーマに沿った話がたくさん書かれていますよ。アイアコッカは経営危機の状態にありながらもこれらのことを実行したのです。
グレイザー・ケネディでは、たった12カ月間で地元のアドバイザープログラムを開始し、Gold+のオンライン・コミュニティを立ち上げました。また、2~5つのイベントを開催し、新しいピーク・パフォーマーズ・プログラムも開発して立ち上げましたよ。これはほんの一部で、リストにはまだたくさん記載されています。
その一方で、1年かけて新しい事業を1つ実施したことを鼻にかけている企業をよく見かけます。丸1年かけて彼らが行ったことは、カタログビジネスの開始やウェブサイトの立ち上げ、スローガン作成だけなんですよ。彼らの年次報告書を見れば一目瞭然です。これらの企業に投資はしないこと。すでに投資してしまったのなら、お金を取り戻すべきですね。
さて、成功を手にするための不愉快な事実を教えましょうか。子供が親に教えられるように、「一歩ずつ」ではダメなんですよ。
ドクターモルツが提唱したサイコサイバネティクス理論のおかげで、私が学んだことがあります。子供の頃に与えられた指示や忠告は、当時は正当で役立つものだったかもしれません。けれど、我々のような年のいった大人になってからは捨て去るべきです。足かせになりかねませんよ。起業家やプロのセールスマンになる道を選んでいるならなおさらですよ。典型的な例は「知らない人と話すな」ですね。8歳の子には必要な教えですが、28歳の大人にはマズイですよ。「一歩ずつ」も似たような忠告です。よちよち歩きの子が歩き方を学ぶには役立ちますが、起業家には大ダメージですよ。
よく「どうやってそんなに多くの仕事ができるのか?」と不思議そうに尋ねられます。でもその答えは不愉快なものですよ。私は細心の注意を払って具体的な計画を立てる前に、すべての物事に取り掛かり始めます。そこから結果を出すように努力をしていくのです。とにかく身を投じて、その後上手くやりくりし、コミットメントを守るために自分にプレッシャーをかけるのです。その結果、その仕事が完璧になるのです。始めから完璧だった訳ではありませんよ。「一度に1つの物事だけを実行する」ということはめったにありませんね。「一歩ずつ」なんてあり得ませんよ。私が見るところ、ほかのハイパフォーマーたちも私と同じような方法をとっているのですよ。
-ダン・ケネディ