社長の仕事術 2019/01/26

今日で閉店する蕎麦屋から学ぶ最高の集客法


From:藤岡将貴

1ヶ月ほど前の話になりますが、去年の大晦日のこと。その日は、今年最後の夕食にと、お刺身の盛り合わせを買うために朝一でスーパーに行って。午後は今日こそ大掃除をやるしかない、と。そのために腹ごしらえ、ということで、近所の蕎麦屋に行ったんです。

やっぱり大晦日ですしね。年越し蕎麦を食べて長生きしないとね、てことで。(ちなみに、僕は年越し蕎麦の由来は「蕎麦は細く長いことから延命・長寿を願ったもの」だと聞かされていたんですが、wikipediaによると「蕎麦は他の麺類よりも切れやすいことから「今年一年の災厄を断ち切る」という意味」など、諸説あるらしいです。)

そんなわけで、蕎麦屋に到着。お座敷の席に通されて、「何にしようか?」と奥さんと2人で相談していると、、、


お店に黒づくめの男性数名が…


お店の扉が開いて、なにやら大掛かりな機材を持った黒づくめの男性が数名入ってきました。彼らが持っていたのはビデオカメラやマイク。そこには「カンテレ」と書かれていました。そうです!大阪の関西テレビが取材に来ていたんです!

なるほど、夕方のニュースで、「今日は大晦日です。年越し蕎麦を食べようと、こちらの蕎麦店にはたくさんのお客さんが訪れました」的に流すんだな、と。「これは、もしかしたら、僕らもニュースに出ちゃうかも!?」なんて、急にソワソワし始めました。

すると、しばらくして、テレビカメラが僕たちが座っている座敷の方へやってきました。「お!これは、まさか…赤ちゃんをダシに写してもらえるかな?」なんて、急にカメラ映えするように子どものポジションをちょっと変えたりして。ドキドキして待っていると、、、カメラは僕らを通りすぎて、僕らの後ろにいた家族連れの団体客の方へ行ってしまいました。「あー、やっぱり団体客の方が絵的にいいのかなー」なんて思いながら、カメラマンがその団体客と話している内容に耳を傾けていると…


なんと、驚きの事実が!


なんと、この蕎麦屋、今日で閉店するみたいなんです。蕎麦屋が閉店…そんなに珍しい話ではない気がしますよね?でも、わざわざテレビ局が取材にくるくらいだから、よほど有名なお店だったのかな?なんて思いながら周りを見渡すと、たしかに、その日は昼間からたくさんのお客さんがいました(もちろん、大晦日だから、というのもあると思いますが)。

この団体客はかなり長い常連客のようで、これまでのいろんなエピソードを話していました。そのうち、店主がその団体客の席にやってきました。「ありがとう。お世話になりました。」と声をかけて、しばらく、昔を懐かしんだり、閉店を惜しむ会話をしていました。

「最後の日にみんなで来るなんて、よほど愛されていたんだな」そんなふうに思いながら、その様子を見ていました。でも、、、


そんなお客さんは、彼らだけじゃありませんでした…


僕がそれを知ったのは、年が明けて、お店の解体も始まった1月中旬。その日、あの時の映像が夕方のニュースで放送されたんです。僕は「我が子が写っているかもしれない」という淡い期待でその番組をわざわざ録画して見たんですが…そこに写っていたのは、その蕎麦屋の閉店を惜しんで、最後に蕎麦を食べに来た、店主に会いに来た、たくさんの人たちでした。中には悲しくて泣いてる人もいました。お店で働いている店主の奥さんと抱き合いながら一緒に泣いている人もいました。帰り際に店主のほっぺにチューしている、そんな男性もいました。お店の前には夜遅くまで行列が並んでいました。

テレビの放送を見てわかったことですが、どうもその蕎麦屋はこの地で47年も続いていた老舗の蕎麦屋さんでした。企業の8割は5年で潰れる、とかいう話のなかで、47年は普通じゃないですよね?しかも、閉店するのは、お客さんが来ないからとか、売上が減ったからではなく、長年の立ち仕事で膝がもう限界だったから、ということのようなんです。後継者候補もいたらしいんですが、店主のお客さんに尽くすその働き方を受け継ぐことはできないと、断ったみたいなんです。


なぜ、このお店には、閉店を惜しむお客さんがこんなにも集まったのか?


この蕎麦屋がある場所は静かな住宅地。飲食店がたくさん立ち並んでいて、お昼時や仕事帰りに人通りが多い場所ではありません。そんな場所で、最後の日に、これだけのお客さんが来てくれるお店は、果たしてどれだけあるでしょうか?なぜ、このお店には、閉店をこれほど惜しむお客さんが、こんなにも集まって来ていたのでしょうか?

もちろん、味は美味しいです。テレビの放送の中でも「出汁が美味しい」と言っていたお客さんもいました。割烹で修行した店主も出汁にはこだわっているようでした。でも、それよりも何よりも、多くのお客さんが店主の人柄が好きで来ていた、というのは明らかでした。

先代から今の店主が受け継いだのは1992年のバブル崩壊後。「愛されるお店にしないと生き残れない」と思って、お客さんの要望に答えてメニューを増やしたり…早朝から営業したり…朝帰りの人には寝床を提供したり…常連客とテニス大会を開催したり…お客さんのことを第一にやってきた、と店主はおっしゃっていました。そんな店主の人柄がお客さんを引き寄せたんだと思います。「味」じゃなくて「人」だったんだと思います。じゃなきゃ、味が美味しいだけのお店が潰れるからって、泣くことはないですよね?お店の人と抱き合って泣いたりしませんよね?最後にチューしないですよね?

そんなふうに、売っている商品ではなく、あなた自身をお客さんが好きになる…ファンになる…信頼する…お客さんとそんな関係を作ることができたら、それこそが"最高の集客法"と言えるのかもしれませんね。

あなたはどう思いますか?


-藤岡将貴


PS.
結局、僕らはテレビに写っていたのかというと…やりました!ちょろっと写っていました。僕は背中だけでしたが、我が子はポジションを調整したおかげで、ちゃんと顔が写っていました。記念すべき我が子のテレビデビューの瞬間を写真に撮って母親に送ったのは言うまでもありません(笑)


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