このオモチャがなぜ、売れる商品づくりに役立つのか?


From:藤岡 将貴

あなたはこのおもちゃを知っていますか?

これは「ハンドスピナー」というおもちゃで、海外で一大ブームを巻き起こしているみたいなんです。もともと、1993年に重症筋無力症の子ども向けに考案されたもので、自閉症の人が精神を落ち着かせるものとしても使われていたそうです。それが、学生のおもちゃとしても遊ばれるようになって、一気にブームになった、とのこと。でも、学生が夢中になりすぎて、学校の授業を聞かなくなったことが問題視されて、アメリカでは持ち込みを禁止している学校もあるとか。この「ハンドスピナー」が今、日本でもじわじわと話題になっているようなんです。

で、どうやって遊ぶのか?というと、単純に指で回転させて遊ぶ、という、ただそれだけのシンプルなおもちゃのようです。手っ取り早く、こちらの動画を見てもらえると、どんなものかがわかると思いますが、、、

要は、「一度回すと、ずっと回っている、すげー!」というもののようです。でも、動画を観ても、なにが面白いのか、僕にはさっぱりですが…

さて、なぜ、今日、この商品のことを話題にしたのかと言うと、先日、ビジネス雑誌をパラパラと見ていたら、

「ハンドスピナーのパッケージはなぜ白いのか?」


というタイトルが目を引いたからなんです。

ちなみに、この「なぜ__は__なのか?」は、記事や書籍のタイトルとして鉄板のテンプレです。「一流の人の歯は、なぜ白いのか?」「なぜ年収3000万円の男はセンスにこだわるのか?」「なぜ社長のベンツは4ドアなのか?」などなど、このテンプレのタイトルの書籍はたくさんあります。もはやベタな感じもしますが、それでも目を引いてしまうから、ずっと使われているテンプレなんですね。だから、あなたも「いやいや、みんな使いすぎやろ?」と思っても、構わずセールスレターのテンプレ、使ってくださいね。

ちょっと話が逸れましたが(笑)、「このハンドスピナーのパッケージはなぜ白いのか?」ということなんですが、記事にあったパッケージの写真がコチラです。


透明のフィルムでパッケージの外から商品の全体が見えるようになっていて、それ以外は白色の無地のパッケージ、ということですね。この写真ではわかりませんが、裏面には表示が義務付けられている内容が黒文字一色で記載されているだけのようです。それ以外の記載は何もありません。商品名やメーカー名すら書いていません。

たしかにかなりシンプルなパッケージですよね?しかも、このハンドスピナーの色は全部で6種類ほどあったんですが、すべてこの1種類のパッケージで売られていたそうです。さて、なぜ、この商品のパッケージはこんなにもシンプルにしたのでしょうか?ちょっと考えてみてください…



シンキングタイム!



正解は、、、記事を引用すると、”急速に流行した後、パタッと売れなくなると予想する、いわゆる市場を一過性のブームだと見る場合は、いかに早く商品を市場に出し、在庫管理をしながらブームが去った後で、在庫処理で大きなマイナスが出ないよう準備することに重点が置かれる。この場合は、「うちの商品こそが本物だ」などと争っているうちに市場がなくなってしまうので、早く市場に入って、撤退の準備をする。

その点、真っ白いパッケージは、どんな色のハンドスピナーでも使え、製品別の在庫調整の必要がない。デザインをしなければ、少しでも早く市場に商品を届けられるし、ブームの時は品薄だから商品さえあればパッケージがどうであれ売れていく。加えて、おもちゃブームの際の購入パターンは、お父さんがお土産で買う代理購買も多く、スピナーだとわかれば十分なケースが多い。そういう意味で、真っ白いこのパッケージは理にかなっている。

一方でこれから5年、10年と市場が成長し、安定したマーケットになると考えた場合はパッケージの作り方が変わる。市場が大きくなるにつれ、さまざまな差異化された商品が市場に投入されるはずだ。「ほかと何が違うのか、このテーマでならこのブランドは負けない」。そういったブランドプロミスを伝え、記憶してもらうための独自のデザインが重要となる。

この種のパッケージデザインには、お金も時間もかかる。しかし市場が成長し、長期的に安定するのであれば、後でしっかりと回収できる。”(*2017年11月号 販促会議より引用)

つまり、、、

この手のブームは売れるかどうかわからないし、長く続くかどうかもわからない。だから、パッケージを凝らずに、いかに早く市場に出して反応を見るかが重要。反応が良ければ先行者利益を得ることができるし、ダメだったら撤退すればいい。

また、パッケージを凝らずにリリースすれば、その開発に時間とコストをかけずに済むので、撤退した時の時間とお金のロスを最小限にできる。お金も時間もかけた凝ったパッケージは、その後、市場が成長して安定した時に作ればいい。

ということなんだと思います。


僕たちも、まさに同じようなことが少し前にありました…


ある新商品を出すことになったのですが、その商品は音声プログラムで、音声だけを耳から聞く、というものでした。そんな場合、本来だったら、スライドを作って、その上に音声を重ねるなど、より商品のクオリティを上げたいところ。でも、僕たちはそうはしませんでした。なぜか?

それは、そもそもその商品が売れるかどうかわからなかったからです。なので、そのまま音声プログラムとしてリリースしました。それで、結果、どうだったか?売れました。売れたとわかったら、じゃあここから商品改善していけばいい、ということなんです。

この話って、商品開発だけじゃないんですね。例えば企画もそうです。企画って、イメージ的にいろんなデータを集めて、反論処理も考えて、完璧に作ることが求められている、と思いますよね?


でも、僕たちマーケッターやセールスライターの場合は違います


でも、僕たちマーケッターやセールスライターが、商品のプロモーションや、新商品の企画をする場合は違います。どれだけ時間をかけて作った企画でも、上司や他の人が企画を見た瞬間「?」が浮かぶこともありますし、直感的にグッとこないこともあります。過去に同じようなことをやったことがあって、うまくいかなかった、ということもあるかもしれません。経験のある人が見たら、直感的に「たぶんうまくいかないだろう」と思うこともあるでしょう。

テレビのドラマなんかでよく、企画書をバシッと作って上司に見せたら即答で、「おー、いいじゃないか。今回の企画はこれでいこう!」なんてシーンがありますが、そんなことは経験上もほとんどありません(笑)

だから、最初から完璧に作ろうとせずに、アイデアの中心や、「なぜお客さんがこれを見たら商品が欲しくなるのか?」そういった重要なポイントだけ考えたら、さっさと見てもらう。で、全体のテーマやアイデアが良さそうな反応が得られたら、そこから細かい部分を埋めていく。とした方がいいです。そうしないと、すごく時間をかけて作ったのに一刀両断。そのあと、これにかけた時間を計算してガックリする_| ̄|◯…なんてこともよくあるからです(これは僕自身も、よくあることです^^;)。

特に職人的な人や、凝り性の人、性格的に細かい人は、完璧なものを作ってから見てもらおう、意見を聞こう、リリースしよう、と思いがち。その商品や企画への思い入れが深ければ深いほど、そうなってしまいます。その気持ちはよくわかります。

でも、ハシゴを必死こいて時間かけて登っても、そもそも掛けるところを間違えてしまえば、、、無意味ですよね?ハシゴをかけた場所が正しかったのか?を早い段階で見極めることを意識するようにしてみてください。そうすれば、時間や労力のロスを減らして、売れる商品や企画にたどり着く時間を早くすることができるはずですので。

-藤岡将貴

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