戦略 2018/10/23

価格戦略:心の財布


From:山田光彦

今日は単刀直入に。
高額商品を売る時に使える、価格の実験をご紹介しますね。

ちょっと、想像してみてください・・・

映画に見に行くために1000円の前売りチケットを買いました。そして、いざ、映画館に入ろうとしたとき、チケットを失くしてしまったことに気づきました。
そのときあなたは、、、
もう一度、1000円を支払って映画のチケットを買いますか?


どうですか?
買うか買わないか、決めたら、もう1度だけ想像してみてください。


事前のチケットを買わずに、映画館に入ろうとしたときに、財布から1000円が失くなっていることに気づきました。そのとき、あなたは1000円で映画のチケットを買いますか?
どうでしょう?あなたはこちらのシチュエーションで、チケットを買いますか?
前のケースと後のケースなら、どちらが買う気になるでしょうか?


結果は?


結果を言ってしまうと、、、

あとで紹介した1000円を失くしたケース。こちらは、映画のチケットを買うといった人が約88%もいたのです。ですが、先に紹介した、前売りチケットを失くしたケースでは、だいたい半分の約46%の人しか買うと言わなかったんです。

「そりゃ、そうだろ」

と思うかもしれません。

でも、ものすごくドライに考えると、どちらも損失は同じ1000円。なのに、失くしたものがチケットを”買う前のお金”か”買った後のチケット”か、ということがこれだけその後の行動に大きな影響を与えたんです。ほぼ倍ですから。


心の財布


なぜこんなことになるかというと、行動経済学者のテイラー氏によると、、、

映画の前売りチケットを買った後は、自分のお金を一度映画に使っているわけです。なので、チケットを失くしてしまったら、映画に2000円使うのはイヤだな、、、と考えてしまう。

一方で、映画のチケットを買う前に1000円を失くしても、映画に使うお金はあくまで1000円。なので、映画のチケットを買うのにあまり抵抗がない、とのこと。

つまり、人は心の中でお金を使う時「これは映画代」「これはホテル代」など、何に使うのか?ということをざっくり判断しているようなのです。(こういうのをメンタアカウンティングなんて言ったりもするようです)

僕が昔、自動販売機で100円のペットボトル(500ml)の水を「安い!」と思って買った後に、コンビニで2lの水が90円ぐらいで売っているのを見て「なんで安く感じたんだろう」と疑問に思ったのも、これで説明できます。

自動販売機は120円から150円ぐらいというイメージがあるので、それに比べて100円は安いということですね。


別の心の財布に売る


この理論を応用すると、高いと思っていた価格が一瞬で安く感じるようになることがあります。

たとえば、パーソナルトレーナー。

僕は週に1回、パーソナルトレーナーの方に筋トレとかを指導してもらっているのですが、、、

「健康のために筋トレしたほうがいいよ」

と言われるとあんまりお金を出す気にはなりません。ですが、

「筋トレしたら頭の血流が良くなって仕事がはかどるよ」

と言われたら話は別。なぜなら、僕の心の財布が「健康」から「仕事への投資」に変わるからです。実際、そう思って1年ぐらい、このパーソナルトレーナーの方にお世話になっています。


顧客にデカイ財布で
買っている人いません?


こういうデカイ財布で買っている人があなたのお客さんにいるなら、、、ここにチャンスが眠っている可能性があります。

たとえば、僕のパーソナルトレーナーをやってくれている方のお客さんの中には、健康のためにやっている人やダイエットのためにやっている人もいますが、、、僕のように仕事のへの投資のためにやっている人も結構いるようなのです。そして、ホームページなどではそういう人に向けたメッセージやサービスはありません。

ですが、もし、そこにメッセージを出したり、専用のサービスを作ったりすれば、かなり高額のサービスとして売れるかもしれません。仕事への投資と思って来ている人に紹介を依頼したりすると、結構、同じようなスタイルで仕事をしている人が来たりするかもしれません(実際、別のパーソナルトレーナーの方でこういう事例がありました)

他にも、ファッション・コンサルをやっている方であれば、モテたいという顧客もいるでしょうが、、、講師やコンサルタントの仕事をしている顧客がいるかもしれません。そして、その講師やコンサルにとって、ファッションは仕事への投資・経費になるでしょう。なので、全く別のデカイ財布になるので、1回の単価を大きく上げることもできるでしょう。

それに、小さな会社をコンサルしたり、セールスレターを書いたりするのと、大きな会社にやるのとでは財布の大きさは違いますから、単価はまったく違うものになります。まあ、これは心理的な財布ではなく、物理的な財布の大きさですね。

例をあげればきりがありませんが、こういう高額商品があると、会社に残る利益は一気に大きくなります。なので、一度、あなたのお客さんの中に、デカイ財布で買っている人はいないか、チェックしてみると、大きな発見があるかもしれませんよ。


ー山田光彦


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