社長の仕事術 2017/09/27

売上を下げるべき時?



From:小川忠洋

西宮のスタバより、、


売上は虚栄、利益は実態

 名前は忘れたけど、米国でとても有名な経営思想家がこんな言葉を残していた。ここ最近で、これほど胸に突き刺さる言葉はないね。社長や起業家ってのは、基本的に何かの価値を「生み出す」人なので、その生み出した価値の評価は、まあ売上ってのが一番わかりやすいよね。

 でも、何でぼくら社長、起業家が売上にこだわるかって言うと、究極のところは、要するに、「猿山のボス猿争い」してるようなもんだよね。

つまり、「うちの方があっちよりすごい」という比較の競争をしているわけ。年収とかもそうだよね。年収1億円より2億円の方が多いのは間違いないけど、じゃあ生活がどれだけ変わるかっていうと、大して変わらないでしょ。

 つまるところ、それは、自分自身への評価を、「他人を倒す」ことでやっているわけで、もはや、実物からかけ離れて心理戦になっているわけだよね。これってどれだけお金の金額が増えても、同じことを延々と繰り返すのが悲しい我々人間のサガ。

あっちがフェラーリならこっちはベントレーだとか、こっちがオメガならあっちはフランクミュラーだとか(個人的にはApple Watchがおすすめw)まぁ、そんなことをどれだけ金持っても一生、死ぬまでやるのが人間なのかもしれないね。

 そして、その悲しいサガは、われわれ社長の中にもしっかり活きていて、「売上」ってのはそのサガを満たす、最も手っ取り早くて最もわかりやすい数字なわけ。でも、どれだけ売上が上がっても利益が残ってないなら意味がないでしょ?

 ウチの話をすれば、一昨年くらいは、どんどん広告費をかけて新規獲得して攻めていったから、売上は以前の倍くらいになっても利益はほとんど変わらないなんて事があったわけ。

まぁ、意図してやったことだから、問題はなかったんだけど、ぶっちゃけ怖いよ。売上だけが増えていって利益の額が変わらなかったら。だって、相対的に見れば、利益率がかなり下がってるってわけでしょ。

売上が上がれば、それだけオペレーション・コストは増えるわけだし、売上が下がったりしたら、その分が一気に負担になるわけでしょ?それで、その時に十分なキャッシュがなかったら、サクッと終わっちゃうじゃん?だから怖いわけよ。

 でも、正直に告白すると、売上がどんどん上がっているから、気持ちはいいわけ。アドレナリンが出てきて快感なわけよ。今、話題の薬物みたいに。その刺激がたまらないわけよ。それで、どんどんやっていると、どんどん会社の基盤はもろくなっていってる、、、なんてことがあるわけで、、、


売上は虚栄、利益は実態

 って言葉は、まさにその通りだと、、でっかい手でビンタされたような気分だったわ。そういうわけで、今年は売上の伸びが少し緩くなっても利益を伸ばしたいなぁ〜と思う今日この頃だけど、、あの刺激を我慢できるかどうかが心配(笑)

利益を上げる最重要事項

利益が重要だってのは、もちろん言うまでもない話だと思う。じゃあ、その利益を出すにはどうすればいいか?って話を少ししたいけど、その前に一言、じゃあ売上はどうでもいいか?って思うかもしれないけど、そんなことはない。

昔、ある経営コンサルタントのセミナーに参加した時に、同じような話があって、売上の数字はどうでもいい、意味ない、利益ゼロなら価値がゼロだってことだって話を聞いたことがあるけど、それには賛同できなかったな。

 というのも売上が高いってのはそれだけ多くの人に影響を与えている、価値を与えているってことだから。商品が良い商品であるなら、多くの人の生活を改善したり、問題を解決したりしてるわけでしょ。売上が低いと、少数の人にしか影響を与えてないってことになるじゃない?だから、売上は売上で意味があるでしょ。

 利益が出るか出ないかってのは「経営」の問題で、そもそも売上がなかったら利益も出ないしね。だから売上が高くて利益がないってのは価値がないわけじゃなく、経営がダメってこと。

 じゃあ、話は戻って利益を出すにはどうすればいいか?

 もちろん、そんな処方箋が簡単にあるわけないんだけど、どの事業でも言えることは、、利益を出すために、最も重要な要素は、

「顧客選び」

 これは、ほぼどの事業でも同じように言える。つまり、良い顧客を選んでいれば、利益は出やすくなるし、悪い顧客まで選ばずに顧客にしていたら、利益は出にくくなる。(良い悪いってのは、あなたの事業にとってね)

 良い顧客も悪い顧客も、顧客となったからには、サービスを提供しなきゃいけない。そのサービスコストは、断然、良い顧客の方が低い。言葉は悪いけど、質の低い顧客ほど、要求が多く、金払いが悪いんよね。なのでサービスコストは高くなる。

 で、ここからが問題なんだけど、「売上拡大」を目指していると、それだけを見ていると、顧客の選別とかしなくなるわけ。どんな見込み客でも、手当たり次第、顧客化してしまうわけ。その結果どうなるかって言うと、売上は上がる。でも利益は上がりづらい、、ってことが起きちゃう。

 売上ばかりを追うと絶対にできないけど、あなたの見込み客の中には、あなたの商品、サービスを、売ってはいけない人がいるってこと。その人たちは、丁重にお断りするか、他の適正な商品サービスをお勧めするのが良いね。

 うちのある事業を分析しても、去年の売上が4億7000万円で、顧客数が約5万人だったんだけど、売上のうち約2億円は、5万人の中の2,000人の顧客からもたらされていた。つまり、

4%の顧客が42%の売上をもたらした

 ことになる。残りの96%の顧客が残りの売上に貢献してくれた。計算してみるとわかるけど、その差は約18倍にもなるのよ。(ってか今、自分でも計算してビビった)そうすると、この4%の人たちのために仕事をするのは、18倍効果的ってことでしょ?

 当然ながら利益も全部、この人たちから出てるよね。もし、去年この事業で、この4%の人たちだけとしか、ビジネスをしなかったら、どうなったか?売上は、半分以下になってるよね。だけども、おそらく利益は、5倍10倍とか言うレベルになってるんじゃないかな?

 それだけ、利益と売上って似てるようで、違うもんだってこと。

 あなたも是非、考えてみたらいいよ。自分にとって良い顧客とは誰か?売上にこだわって、本来、売るべきではない顧客にまで売ってないか?もし、顧客を選別したらどうなるか?ってね。


売上は虚栄、利益は実態

ーおがわ




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