社長の仕事術 2017/09/27

大道芸人に学ぶ弱者のマーケティング戦術



From:北岡秀紀

ビジネスを始めたてで実績がない。
だから、売れない、金額が安くなる…と悩んでいる方が多いです。

結論から言えば、その悩みはおかしいです。
なぜならどんな大企業であっても始めは実績ゼロでした。
そこから実績を積み重ね大企業になったわけですから。

とはいえ、具体的にどうやったら実績ゼロの状態から高く売れるようになるのでしょうか?

私が先日、鹿児島で見た大道芸人が、そのヒントになると思います。

先日、鹿児島での仕事の合間にフラっと散歩をしていたところ、人だかりができていました。
30歳前半くらいの若い男性が大道芸をしていたのです。

ちょうど最後の演目でクライマックスっぽい前フリをしていたので、ちょっと立ち止まって見てみることにしました。

結果、なかなか難しい技を決め、たくさんの拍手をもらっていました。

そして、最後は、大道芸のお約束、投げ銭タイム。

通常であればサラっとお金を払わずにどこかに行ってしまう人が多いのですが、今回はほぼ全ての人がお金を出していました。
しかも、お札!
そんなに数多く大道芸を見ているわけではありませんが…私が見たパフォーマーの中でも明らかに一番の金額をもらっていました。

秘密はトークにあり!

さて、彼はなぜそれだけの金額をもらえたんでしょうか?

パフォーマンスが凄かった?
確かにすごいです。
とはいえ、過去に見たパフォーマンスと比べて、正直、飛び抜けて凄いということはありません。

見ている人が多かった?…わけでもありません。
地方都市ですから、東京や大阪の人だかりとは天と地の差があります。
だからこそ、相互監視が働き、タダ見を許さない雰囲気はあったかもしれませんが、お札が飛び交う理由にはなりません。

では、なぜなのか?
彼のトークにある、と私は分析しています。

彼は最後のパフォーマンスの前に自己紹介をしました。
多くの大道芸人は名前を言って、Facebookページの告知をして終わり。

しかし、彼は名前を言うだけでなく自分が大道芸の世界に入ったストーリーを語ったのです。
13歳の時に大道芸を見て衝撃を受けた。一度はサラリーマンをやっていたが、やっぱり大道芸をやりたいと思ってこの世界にはいった、と。

さらに…最後のパフォーマンスのティーアップをします。
「今からやるのは大会ではできない技でです。なぜならまだ練習中だから。
 たくさん練習はした。でも、本番でやらないと技は磨かれない。
 なので、本日、これを最後にやらせてください。
 うまくできたら大きな拍手、失敗しても難しい技だから暖かい拍手をください。」
ちょっとしたユーモアを交えつつトークをします。

そして、かなりの緊張感をもってパフォーマンスを開始。
見事、一発で成功しました。

その瞬間、大きな拍手が聴衆から起こりました。
明らかに、観客が前のめりになっているのがわかります。
それが投げ銭の金額になって現れた、ということです。

あなたのビジネスに置き換えると?

もうお判りでしょうか。

彼は自己開示をすることで共感をしてもらう。
しかも、まだ発展途上で難しい技をやることを宣言。
普通の大道芸パフォーマンスではありえないことです。

あなたのビジネスも同じです。

ビジネスをはじめたてのとき、実績も何もありません。
だから商品やサービスの良さを伝える手立てがない、と考えがちです。

でも、この大道芸人と同じように自己開示して自分自身を売れるのではないでしょうか?
なんで今のビジネスをやっているのか?想いや理念を表すような短いエピソードと共に伝えられないでしょうか?

そうすることで商品・サービスそのものではなく、「あなた」から買いたいとなります。

また、まだ正直に商品・サービスは発展途上であることを伝えます。
一緒に、それを磨くお手伝いをして欲しいことを伝えます。
結果、あなたを応援しようという人が現れます。

そういう新しいものを応援したい人、新しもの好きの人は一定確率います。
そんな人に買ってもらい、あなたの商品・サービスに対する率直なフィードバックをもらってください。

それがあなたの商品・サービスを磨くことになります。
しかも、売上をあげながら…

実績で勝てないならキャラクターで売る、パッションで売る、正直さで売る。
規模感や実践があるところでは絶対にできない方法です。

あなたが実績がなくて悩んでいるなら…それを武器にできる方法を考えてみてください。

-北岡秀紀





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