人間関係は、自分のことを優先する
FROM:ジョン・グレイ
「ベスト・パートナーになるために」 著者
愛は、現代の聖杯だ。
人はより愛を欲し、愛の欠如から苦しみ、人生をかけて愛を探し求める。
私たちの多くにとって恋愛関係が難しくなっているのはカップルの新たな形に適応しなければならないからだ。
過去には、人々は家族を作ることや安定を保証することのために結婚相手を探していた。
現在では、男性も女性も自己完結しているし、安定・生存に関してあまりお互いに依存しなくなっている。男性も子育てができるし、女性も社会で仕事ができる。結果として、男性も女性も、長きにわかって満たされてこなかった感情のニーズを充足させるためにお互いを求めているのだ。
だから、結婚の前提が変わったのである。
生存のために結婚するのではなく、親密さの満足のために結婚するのだ。
このような愛を手に入れるためには、私たちが必要とする愛について敏感になり、それを手に入れる方法、また、パートナーにどのように愛を与えるべきかも知る必要がある。こうして、より良いコミュニケーションの形が求められる。私たちやパートナーが変化してくなかで、これらのニーズを満たしていくことが重要になる。
今日、男性も女性もリスペクトを持ちながら交渉する方法を学ばなければならない。
男性は、お金を稼いでくる…
女性は、社交する…だけの責任ではもう済まなくなっている。
家族を養うために必要な収入を女性も得ているし、どのようにお金を使うかについて女性も更に意見を言えるようになっている。男性も自由な時間を欲するようになっている。恋愛関係における愛の昇華は、ロマンス的な側面も、子供への愛という側面でも、私たちのキャパシティをより大きくしてくれる。
過去には、「思いやり」 という概念は忠誠心や一緒に過ごした歴史から生まれてきた。ロマンス的な側面はさほど重要ではなかったし、それが続くことも期待されていなかった。パートナーのために自分を犠牲にすることこそが愛だと考えられてきた。
今日、自分を犠牲にしてまで一緒にいたいと考える人はいなくなっている。自分自身を犠牲にしてまで一緒にいると、自分自身とのつながりや感情を失ってしまう。私たちにとって、愛するということは、情熱、パートナーシップ、ロマンス、そしてコミュニケーションである。
感情はとてつもなく重要なものになった。愛、親密さはかつてないほどに重要になった。
私も、自分の人生を愛で満たすために、愛を生み出すための最も重要な行動を一番に優先し、それを実行している。私が結婚生活において学んだことは、小さなことが大きな違いをもたらす、ということだ。私と妻には、ちょっとした愛の儀式がある。例えば、私が妻を乗せて運転している時は、必ず黄信号では減速して止まる。
10年間結婚していても、未だに花束を買って帰る。このような小さいことが、ロマンスを殺さない秘訣だ。
子どもたちとも、邪魔の入らない楽しい時間を沢山過ごすようにしている。子どもたちにはこう言っている。たとえ私が忙しいくしている時であっても、気にかけてほしいと思った時には、私のズボンを引っ張って良い。そうしたら、私はやっていることを中断して子どもたちの話を聴く。
また、出張に行った時は必ずお土産を買って帰るようにしている。子どもたちが特別な気持ちになるような何かだ。このような小さなことが「あなたのことを気にかけているよ」という印であり、人生を愛で満たすために最も効果的なことなのだ。
自分の感情的なニーズを満たすために、私自身が楽しめる活動をする時間もしっかりとっている。妻が、私と一緒に質の高い時間を過ごす必要があると思っていたとしても、私がそういうムードでなければ、まずはひとりになるようにしている。しかし、そういう時は必ず、あとで一緒に時間を過ごそう…と妻に伝えるようにしている。
まずは自分のことを優先すると、人間関係に与えられるものも多くなる。
多くの人が、ただ優しくあればいいという幻想の結果、自分自身を犠牲にしすぎている。そうすると、愛する本当の能力をを失ってしまい、必要とする愛を受け取る能力も失ってしまうのだ。
ジョン・グレイ
「ベスト・パートナーになるために」 著者