富とお金 2019/01/23

長期的かつ全体像を捉える視点を持つ




先日、DKと話をする機会があった。彼は1000億円規模の食品流通企業の社長兼CEOであり、お互いにNBAチーム、マイアミ・ヒートのシーズンチケットを持っている仲間でもある。DKは高級住宅地ボカラトンの基準から見ても成功者であるが、とてもおおらかで控えめな男だ。そのため、彼は人気者ではあるが、周囲の積極的なタイプの人たちの間では浮いた存在なのだ。

私たちは一緒に投資している建設プロジェクトの視察のため、マイアミまでドライブをした。私たちの共通の友人であり、開発プロジェクトのゼネラルパートナーであるEPから進捗状況を聞くためだ。現場視察や主要な営業担当者とのミーティングで、DKはとても好意的で礼儀正しかった。そんな彼の態度は、彼をだまされやすいお人よしな人にも見せた。

もちろん、ただのお人よしが1000億円規模の薄利多売ビジネスの経営者になれるわけがない。しかし、彼は会議で提議された楽観的な取り組み案にもまったく異議を唱えようとしないので、私がフォローしなければならなかった。

そして、私は最終的に確信した。彼がこの取引を、長期的かつ全体像を捉える視点で見ているのだと。私と同様に、彼もEPの手腕と誠実さを買ってこのプロジェクトに投資している。DKは根本的な信頼に基づいて投資しているのだから、細かいことに食ってかかってもしょうがないと思っているのだろう。

このような大きなプロジェクトではいずれ必ず問題が生じるし、それらの問題には一つ一つその場で対応していくしかない。その対応次第で、最終的な収益が変わってくるかもしれないし、変わらないかもしれない。しかし、DKは収益がどうであれ、開発途中の仮定や決定事項にいちいち疑問を投げかけたところで、良い結果がもたらされるわけではないと分かっていたのだ。

私は彼のやり方が正しいとは思わず、もっとEPに口うるさくした方がいいのではないかと思っていた。もちろん、それを楽しむわけではないが、今は問題がなさそうでも、あらかじめ指摘しておけば、実際に問題が起きたときに迅速で積極的な対応ができるからだ。

とはいっても、長期的なビジネス関係を築くためには、広い視野で全体像を捉えるような視点が必要になる。私たちが現場視察でしたように、機会があればその都度疑問を呈することは構わない。でも、それがあなたの専門職でない限りは、ミクロの視点で仕事を管理すべきではないのだ。

一般的に次の例外を除いて、あなたがコントロールできないビジネスに多額の投資をするべきではない。例外の1つめは、あなたがそのビジネスにとても詳しく、知識が豊富でリスクが低いと確信できる場合。2つめは、ゼネラルパートナーと長きにわたる協力関係があり、彼を心底信頼できると思う場合だ

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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