富とお金 2019/02/22

貸し手にも借り手にもなるな




個人的な金の貸し借りをしてはいけない。借りてもいけないし、貸してもいけない。
シェイクスピアのハムレットの台詞にあるように、「金の貸し借りでは、金も友人も両方失う」からである。

友人や家族から借金することは、借りる相手にこんな弱音を吐いているのと同じだ。「私は自分のお金を管理する能力がない。あなたにできることが、私にはできない」

また、借金をすることで人間関係においてあってはならない、経済的依存という要素が生まれてしまう。最良の人間関係とは、お互いがそれぞれしっかりと独立していることなのだ。

そして、借金をすることは大きなストレスを伴う。借り手は決まった期日まで返済管理に追われるだけでなく、借金が人間関係を悪化させないように自己規律を保たなければならない。これはかなり難しいことだ。

貸すこともまたダメだ。貸し手はたとえそうしたくなくても、貸した相手を見くびるようになる。それに、もし相手が返済しなかったら、もうその相手に好意を持つことはできなくなってしまうだろう。

私はというと、このアドバイスの半分しか守れていない。私は、友人や家族から借金をしたことは一度もない。いや、正確には何度か借りたことはある。過去に映画を見に行って、財布を忘れたときに立て替えてもらったことがあった。とても情けなかったのを覚えている。しかも、今思い出したのだが、その金を返した覚えがないのだ。それに誰に借りたのかさえ忘れてしまった。ほら、金の貸し借りの怖さが分かるだろう?

また、私は友人や家族に金を貸している。それについては後悔していることもある。借金を踏み倒されたからとか、なかなか返してもらえないからではなく、返済してもらえなかったときに、これまでにないほど相手を下に見てしまう自分がいるからだ。これはとても大きな痛手だ。

さらに悪いことに、借り手は借りなければならない状況に腹を立て、感謝の気持ちを持つ代わりに苛立ちを覚えているときがある。私は借金に来た友人たちが、そのことに苛立っているのをはっきりと感じたことが何度もあるのだ。

ただ、いつもそうだとは限らない。だいたい3回に1回くらいは(大ざっぱに計算すると)、金を貸してもまったく問題はない。借り手は金の価値を理解しており、借りたことに感謝し、すぐに返済してくれる。だからこそ、金の貸し借りが問題ないように思えてしまうのだ。

しかし、人間関係について考えると、3回に1回うまくいけばいいというのは、健全な割合とはいえない。今、私が金を貸す際に決めているルールは、「金は貸さずにあげてしまえ。その方が手っ取り早く、シンプルだ。それに失う物も少なくて済む」である。

ビジネスにおいても、あなたは同じ基準を設けるべきだ。もし返済を期待するのであれば、借り手が同じように理解し、書面ではっきりとそれを示してもらうようにお願いしなければならない。それでも、後々相手には返してくれとお願いする必要が出てくることも承知で貸す必要がある。こうした返済願いをすることに気が進まないのであれば、すぐに借金の依頼は断って、無駄な時間と面倒を省いた方がお互いのためだろう。

『How to Collect Debts (and Still Keep Your Customers)』(仮邦題『債権回収をして顧客を維持する方法』の著者であるマーティン・シェールとディビッド・シェールは、債権回収についてこう説明している。「あなたが掛け売りを増やすのなら、その回収を考慮しなければならない。多くのビジネスマンは1億円の売上があったら、1億円を回収できて当然と考えている。実際は、掛け売りが増えればそうはならない。それには次の2つの理由がある。(1)支払いを一度もしない人がいるから。また、これと同様に、厄介なことに(2)多くの顧客が分割ローンなどで支払いに時間をかけるからである。

シェールは中小企業に対して、社会保障番号、銀行口座番号などの重要な財務情報や個人情報をすべて入手するために、顧客に何らかのショッピングローンを申請してもらうようにアドバイスしている。さらに、請求書を送った後すぐに顧客が満足しているかを調査し、分割ローン条件の再確認のためにフォローアップコールをかけるプロセスを取り入れるべきである。

その際は、未払い額が最も高い直近の売掛金から対処しよう。また、早く支払いをしてくれる顧客向けに、未払い額の一部を割引するオファーを検討してみるといい。粘り強い一貫した働きかけによって支払いがしっかりされるようになり、顧客はあなたのビジネスに留まってくれるだろうとシェールは言っている。

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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