豊かに生きる:名作を読もう
ジェーン・オースティンの『Pride and Prejudice』(邦題『高慢と偏見』)はいつの時代も愛される名作だろう。しかし、私が10代後半で初めて読んだとき、読みづらくて取るに足らない本だと感じた。その頃の私にとっては言葉遣いや構文が古臭く感じられたし、愛や家族の駆け引きといった内容にも興味が持てなかったのだ。大人たちに名作だと勧められると、好きではないと反抗し(いつも反対のことをするのが好きなのだ)、最近になるまで再読しようと思わなかった。
しかし、「名作」を避けて通れるような年齢でもなくなってきた。『A Tale of Two Cities』(邦題『二都物語』)や『A Farewell to Arms』(邦題『武器よさらば』)が会話に上ったときに、作品の解釈本や、さらにひどいのは、作品を元にした映画を見ただけで意見するのは良くないと感じたのだ。
私は「歴代名作100選」というリストを見つけて名作を読み始めた。そして、最近読んだのがジェーン・オースティンの『Pride and Prejudice』というわけだ。読んで良かったと思った。
『Pride and Prejudice』は単なるラブストーリー(最近ではめったに書かれない)ではなく、優れた文章で書かれている傑作だ。オースティンが登場人物を愛情や皮肉を込めて生き生きと描写しており、読者に満足感を与えて物語に厚みを持たせている。彼女の文体はチョーサーの『Canterbury Tales』(邦題『カンタベリー物語』)を思い起こさせる。楽しみはそれだけではない。この作品を読めば、18世紀のイギリスの地主階級や、今ではほとんど無くなってしまった文化を垣間見ることができる。私はウィーンでモーツァルトやハプスブルク王朝のことを学んでいたので、本の後半を読んだとき、多くの繋がりを感じることができた。
しかし、今回は本の感想を伝えたいのではない。あなたにも名作を読んでもらいたいのだ。「名作」リストを手に入れ(オンラインで見つかる)、本屋へ行ってそのうちの何冊かを手に取る。5、6冊読めば、あなたの気分に合った本が1冊は見つかるはずだ。それを買って読み始めてみよう。
名作を読むことは炭水化物に似ている
成功している人が費やせる娯楽時間は限られている。だから、その時間を最大限活用しなければならない。娯楽を厳選するということだ。人生を豊かにし、長く楽しめるものを選ぶ必要がある。
炭水化物のように、娯楽には単純なものと複雑なものの2種類がある。単純な娯楽は単純糖質と同じで、簡単に楽しめてすぐに快楽が得られ、中毒性がある。長い目で見ると、単純な娯楽は悪い影響を及ぼすのだ。単純糖質には糖分とデンプンが含まれるが、単純な娯楽は単純糖質(チョコレート、ポテトチップス、クッキー)を食べることやテレビを見ること、無分別なセックスをすることなどだ。これらは簡単にできるがやめることが難しく、長い期間過度におこなうと人生を破滅させる可能性がある。
複雑な娯楽は複合糖質と同じで、すぐに簡単に楽しめるものではない。まずはやり方を学ばなくてはならない。努力が必要なので、多くの人はあえて手を出さない。やり方を学んだ人しか楽しめないので「気取っている」と見なされ、はねつけられることも多い。複合糖質はブロッコリーやカボチャ、芽キャベツから摂取できるが、複雑な娯楽は良質なワインをたしなんだり、読書をしたり、オペラを鑑賞したりすることだ。
もちろん、複雑な娯楽といっても程度はさまざまだ。読書はテレビを見るより高度だが、本によって難易度は異なる。ジョン・グリシャムの本はジェーン・オースティンの本より簡単だろう。「DCコミック」を読むのとソネット連作を読むのではレベルが違う。
簡単だからいいとは言えない。「悪銭身につかず」というのはビジネスにおいても、娯楽においても当てはまることなのだ。
ただ、私が言うことを一句一句真剣に捉える必要はない。私はあなたに本物の名作を読んでもらいたいだけなのだ。あなたの親友が勧める本や、オプラ・ウィンフリーのブッククラブで紹介されたベストセラー(良いものもあるが)ではなく、時代を超えた名作を自分で探してほしい。批評家から何十年、何世代にもわたって「素晴らしい」と評価されているものを選ぼう。
発掘したすべての本を好きにならなくても、1冊でも気に入った本に出合えばいいのだ。すぐに簡単に読めてしまう本よりも、より深くて強い影響を長期間与えてくれる読書経験が得られる。
もしあなたがすぐに読書を始めたい、でもリサーチする時間が惜しいなら、下記の5冊の名作から始めるといい。これらの本を嫌いになる人はいないはずだ。
1. 『Pride and Prejudice』(邦題『高慢と偏見』) ジェーン・オースティン
2. 『Huckleberry Finn』(邦題『ハックルベリー・フィンの冒険』) マーク・トウェイン
3. 『Moby Dick』(邦題『白鯨』) ハーマン・メルヴェル
4. 『The Great Gatsby』(邦題『グレート・ギャツビー』) スコット・フィッツジェラルド
5. 『The Sun Also Rises』(邦題『日はまた昇る』) アーネスト・ヘミングウェイ
これらが定番だということは分かっている。この5冊はどの「名作100選」リストにも入っているだろう。しかし、定番になるには理由があるのだ。今日から読み始めよう!
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ