富とお金 2019/05/08

継続課金システム:誰も教えてくれなかった非常に有益なビジネス戦略




セールスを感情的な側面から考えると、顧客の持つ「欲望と恐怖」が購入要因として挙げられることが多い。ところが、怠惰について触れられることはないのだ。

そこで、その「怠惰」を有益に利用する方法を話していこう(これから私が話すことは、倫理的に問題かもしれない。それについては、少なくとも自分で考えて判断してほしい)。

顧客を獲得するには、彼らが行動を起こしたくなるようなオファーをして、欲望をかき立てなければならない。

しかし、一旦顧客を得てしまえば、彼らの興味が薄れてしまっても、長期にわたってアクティブな状態を保つ方法がある。自動再注文システムや定期課金を利用すれば良いのだ。価格設定が適切な継続課金サービスであれば、顧客は「キャンセルには余計な手間がかかる」という理由で、ほぼ確実にあなたの商品やサービスを買い続ける。

継続課金システムは、本当に不満を抱いている顧客をキープすることはできない(また、そうあるべきではない)。しかし、あなたの顧客であり続けるかどうかを迷っている人には効果的なのだ。そのことは、あなたの利益に著しい違いをもたらすだろう。

では、いくつかの例を挙げてみよう。30年近く前になるが、私はジュエリーの通信販売ビジネスのために、継続課金システムを利用したオファーを導入した。顧客がキャンセルしない限り、定期的に課金されるシステムだ。ジュエリービジネスが不振に陥っても、システムに入っている顧客からは自動的に注文が入った。その売上のお陰で、会社は18ヶ月間も経営を続けることができたのだ(その後は状況が変わってしまい倒産したが)。

また、私がもっと前に設置した「毎月自動的にジュエリーが送られるプログラム」は、積極的な新商品のプロモーションをやめた5年後から会社のドル箱になった。

顧客リストの仲介業もその一例だ。何年にもわたって、私と私のパートナーが月々400万円を手にしていたビジネスである。フルフィルメント・継続課金システムを導入したおかげで、事実上まったく手がかからなかった。

普通に考えて、継続課金システムと結びつかないビジネスは数多くある。しかし、ステーキ肉の通信販売、おもちゃメーカー、法律事務関係など、すべてが継続課金システムを利用している。また、保険会社や証券会社、空手教室などもしかりだ。

顧客の怠惰心を利用した継続課金システムは、国内のビジネス全体の利益の少なくとも10~20%を占めているに違いない。これは大金である。それにもかかわらず、そのことについて誰も触れたがらない。

では、なぜ誰もあなたにこの戦略を教えてくれないのだろうか?

その理由は、継続課金システムでもうけても功績にふさわしい手柄にはならないし、注目を引くこともできないからだ。継続課金をテーマにした記事や講演もあまりない。おそらく私たちは、人の惰性を利用することにばつの悪さを感じているのだろう。最も利益の多いビジネスが、自分の数少ない顧客の怠惰心を利用しているとは認めたくないのだ。

また、継続課金システムを導入、管理するのが容易ではないことも理由の1つだ。新規顧客はもともと定期購読というシステムを信用していないので、彼らの信頼を得るのは容易ではない。その上、そういったプログラムには高いマネジメントやプログラミング能力が要求とされる。とはいえ、そのような苦労をするだけの価値はあるだろう。

あなた自身のビジネスや職業を考えてみてほしい。現在、提供している(または提供が可能な)商品またはサービスで、継続課金システムに適しているものがあるだろうか?また、それはあなたの顧客やクライアントが定期的に受け取りたいと思うものだろうか?

時間がかかるかもしれないが、あなたもきっとこの戦略を利用する方法を考え出すことができる。継続課金システムを活用して、あなたが自分の家賃や公共料金を支払えるくらいの利益を定期的に必ず出すようにするのだ。すべての顧客をその継続課金システムに取り込む必要はないし、そこから定期的に上がってくる売上が全体のごく一部であってもいい。それでも、そのシステムのおかげであなたはビジネスを長期的に健全な状態で保つことができるようになる。

あなたの商品やサービスが顧客に求められ、有益に利用されることが一番好ましいが、彼らの「怠惰」という要素が、あなたのビジネスにメリットをもたらすこともあるのだ。

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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