歪んだ妬み:ビートルズがやったこと
あなたが成功するにつれて、
あなたを知る人々は2つの方向へと変わっていく。
まず最初に、あなたのことを今よりも賢いと思うようになるだろう。
そして、彼らはあなたの幸運を不快に思うようになる。
あなたはまず自分が知的な立ち位置に置かれていることに気が付くだろう。友人たちはあなたにアドバイスを求め、それに真剣に耳を傾けるようになる。兄弟たちはあなたに助けを求めるだろう。同僚や競合は、あなたがビジネスにおいて即座に意見を述べると熟考したかのごとく頷くようになる。
常にそうではないかもしれない。しかし、このような立場になることは気分の良いものだ。
しかし、あなたの成功が原因で起こる妬みには気付かないことが多いだろう。これは残念な現実である。妬みとはありがちなものであるが、気が付くのは難しいのだ。
あなたは時々、自分の金銭的状況についてからかわれたり、「あなたにとっては大金ではないかもしれないが…」というような自虐的な比較をされるかもしれない。時にトゲのあることを言われることもあるだろう。私は自分の高価なシガーライターへの好みに対して「あなたはビックのライターなんか使えないんだろうね」と非難されたり、税率区分について「あなたのような人は税率41%でも支払えるのだからそれくらい負担すべきだ」と責められたりしたことがある。
特にあなたが私と同じように人のことを妬んだりしない場合、妬みというものがいかにありふれたものかを知るとショックを受けるかもしれない。また、あなたのパートナーや、家族、または古い友人など、あなたに近しい人間が大きな反感を持っているということが分かると、あなたは打ちのめされるだろう。
妬みとはそれを感じている本人を傷付けるが、それと同時に妬まれている人も傷つけてしまう。それは妬みそのものがそうするのではなく、妬みの結果として生まれる行動によって引き起こされるものなのだ。
反感は表に出すと醜いものであるが、 隠すことは簡単である。直接的ではない形で現れるのだ。人々はあなたのいないところであなたを非難し、好ましくない噂が飛び交う。もっと悪いことに、ある人々はあなたに危害を加えるためだけに行動を起こすのだ(重大なビジネス情報を流したり、隠したりなど)。
そのような行動を避けて通ることはできない。しかし、もしあなたが自分の成功について、自慢などせずに初めから正しい態度をとっていれば、回避することができるのだ。
どうやって「なすがままに」するのかビートルズに教えてもらおう
今、ほとんどの人は知らないが、ビートルズが最初有名になり始めたころ、彼らはあまりマスコミに好かれていなかった。彼らは軽薄で一時的な人気者だと思われていたのだ。マスコミから彼らに向けられた注意のほとんどは、彼らを晒し者にし、辱めようという思惑のものであったが、それはうまくいかなかった。実際に、それはこの素晴らしい4人組の機知によって完璧に覆されたのだ。
1964年に彼らが初めて「エド・サリヴァン・ショー」に出演した後、ビートルズは「一時的な人気」であり、彼らの人気はこの時代の「不確かさと混乱」によって引き起こされた「熱病」であると言われた。音楽歴史家であるルイ・メナンドによると、ビートルズはそれに異議を唱えなかった。「彼らはエド・サリヴァン・ショーに出演するずっと前から音楽界におり、他人の辛辣な疑念でさえも彼らの性格に影響を及ぼすことはなかった。彼らは奇妙なほどのスター性を育んでいたのだ」
1963年10月、ビートルマニアがイギリス中に旋風を巻き起こしたとき、ジョンはこのグループがどれくらい続くと思うかと質問された。「5年くらいかな」というのが彼の答えであった。そして彼は正しかった。1968年10月、彼らのグループとしての最後の作品である「ホワイト・アルバム」が作られたのだ。
それはメナンドが言ったような、「ビートルズはつつましい人たちだ。彼らは公の場でも喜んでふざけるが、少しでも愚か者だと思われることは好まず、けなされると素早くそれに気が付く(そして反論する)」という理由からではない。
彼らがアメリカへと旅立つ少し前に、BBCのインタビュアーは「フランス人はビートルズに対して賛否両論だ」とジョンに言った。「彼らについてどう思う?」と聞かれたジョンは「僕たちはビートルズが好きだよ。彼らは最高だね」と答え他のだ。
それから1ヶ月後に、彼らが飛行機から降りてすぐケネディ空港で開いた有名な記者会見は即興の離れ業であった。ビートルズをバカでお高く止まったように見せようと投げかけられた質問に対しても、彼らはひねった回答をしたのだ。
「何か歌いますか?」というのが最初の質問だった。「ノー!」と彼らは一斉に叫んだ。「まずお金をもらわないとね」とジョンは言ったのだ。
「ベートーベンについてどう思いますか?」と聞かれ、リンゴは「大好きだよ。特に彼の詩がね」と答えた。
「あなたたちの成功の鍵はなんだと思いますか?」「広報担当がいたからだよ」
ビートルズは自分たちが好かれているかどうかということにあまり興味はなかった。彼らは「決してほかの人に心配事や感謝を見せることはなかった」と、彼らのプロデューサーだったジョージ・マーティンは言った。しかし彼らは自分たちの成功は反感が回り回ったものであり、そのような反感を操る必要があるということも知っていたのだ。そして彼らの持つ、そのための最高のスキルがユーモアだったのである。
妬みを回避する戦略とはこうだ。あなたの成功に関する話題は避ける。避けられなければ、話をそらし、話を小さくし、話を変える。自分の成功を気に留めていないように振る舞えば、多少はあなたへの非難を減らすことができるのである。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ