富とお金 2019/07/31

株式投資について私が学んだ最高の教訓




私はある日、オンライン教育サービス業界の人たちから、とてもわくわくするようなもうけ話をしてもらった。彼らの話には胸が躍った。何といっても、稼げる金額が驚異的なのだ。私やパートナーが大金持ちになれるような、インサイダーだけが取引できるビジネスの誘いを受けたのである。

その話を初めて聞いたとき、その場で小切手を切ろうとしたが、幸いにもその時間がなかった。柔術の練習に遅れそうだったのである(優先順位を正しく設定していたおかげだ!)

2回目に彼らとその話をしたときは、前回よりも魅力が色あせてしまい、彼らが提示した金額はちょっと信用できないような気がした。

そして、私はまだ乗り気なふりをして、「詳細を明らかにしたいから」と3回目の話し合いをしてもらうことにした。話が終わる頃には、私の取引に対する熱い思いは氷のように冷めていた。

私はその話を持ち掛けてくれた男性にこう言った。「とてもすごい話だ。ただ、申し訳ないが私の専門外だからやめておくよ」

私はこれまで投資家がうますぎる話を信じたときに、どういう結果になるかという事例を多く見てきた。

インサイダー情報は、情報元が幹部であろうと、元カレであろうと、疑ってかかるくらいが丁度良いのだ。話がうまければうまいほど、疑ってかかった方がいいだろう。

私も若い頃は6社ほどの新規上場企業に投資して、これらすべての企業の10%以上の株を保有していたが、どこも成功しなかった。

優れた営業マンになりたければ、うまい話の伝え方を学ぶべきだ。そして、抜け目のない投資家になりたいのなら、数字を読む目を養うことである。これから紹介するスティーブ・シュガラッド博士のエッセーを読めば、そのわけがよく分かるだろう。

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マーサ・スチュワートは有罪となった。

彼女の弁護士の奮闘のかいなく、「アメリカのカリスマ主婦」はインサイダー取引で有罪判決を受けた。ご存知のとおり、マーサはImClone(イムクローン、製薬)社の持ち株4000株を株価暴落の直前に売却したのだ。

この事件の発覚前まで、マーサはうまく切り抜けられると考えていたのだろう。アリバイはしっかり固めていたらしい。しかし、実際はマーサと彼女のブローカーの話に食い違いがあった。あなたも話の真相を知れば知るほど、うさん臭い話だということが分かるだろう。そして、何よりも有罪が決定的となったのは、彼女のブローカーのアシスタントが両者の話に意義を唱えたことだった。これがマーサのインサイダー取引スキャンダルの要点だ。

ImClone社のCEOだったサム・ワクサルは、マーサが株を売却したのと同時期に友人や親戚に保有株を売るように告げたとして、インサイダー取引ですでに起訴されていた。サムの証券口座を扱うブローカーは、元ImCloneの従業員だった。そのブローカーはマーサのブローカーでもあり、彼女にインサイダー取引を仕掛けたとして非難された当人だ。

また、マーサとサムは友人関係にあった。実際、サムはマーサの娘とデートをしていたのだ。これで全体の状況がつかめただろう。彼女の状況証拠は十分そろっていた。そして同時に、確かな証拠も発覚したのだ。

皆さんは「マーサ・スチュワートはバカなのか?」と思うだろう。

インサイダー取引によって、マーサは自分の評判を落とし、自分の会社を危険にさらしてしまった。そして、彼女は実刑判決まで受けたのだ。すべては600万円のために……

彼女がインサイダー取引でもうけた金額は、たったの600万円だ。私たちの世代で最も裕福なたたき上げの女性として、大人気司会者のオプラのライバルとも言われた人物にとって、(両者とも当時1000億円近い純資産を誇っていたのに)600万円にどんな意味があるというのだろう?何の意味もないはずだ!

マーサはインサイダーによる「もうけ話」に乗ってしまったが、うまい話には必ず落とし穴がある。実際はもうからないか(大損をする可能性もある)、本当にもうかるかのどちらかだが、後者の場合はインサイダー取引で有罪になるだろう。いずれにせよ、大きな痛手を負うことになるのだ。

私も金融ビジネスを始めて間もない頃に、「もうけ話」を持ちかけられたことが一度ある。

証券会社の私の担当がひそひそ話をしてきて、「明日発表される決算でIBMの暴落を見込み、私たちはみんなプットオプション買いをしているよ」と言われたのだ。私も、その話を真に受けて同じことをした。そして、もうかったお金は何に使おうかなどと淡い夢を見ていたのだ。

彼が言ったとおり、IBMの業績はひどく悪化していた。しかし、ウォール街がIBMの事業再構築計画を支援したため、IBMの株価は暴落どころか急騰したのだ。そのとき、私は人生の中で自分のお金があっという間に消えるのを初めて見ることになった。

それは私にとって素晴らしい教訓だ。私はそのとき、インサイダー情報による「もうけ話」などないことを学んだのだ。そして、その話を持ちかけたインサイダーたちも、実情はよく知らなかったのである。彼らは臆測で大げさに話をしていただけだ。そのような人たちは何度ももうけ話を信じては、お金を失っている。

その後間もなくして、何人かの同僚がインサイダー取引のトラブルに巻き込まれた。彼らは臆測ではなく、本物の情報をつかんでいたのだ(内容はマーサ・スチュワートのケースによく似ていた)!

それから、彼らがどうなったかって?とんでもないトラブルを抱えることになった。私は大した損害もなく、以下の2つの教訓を学ぶことができたのは幸いだった。

最初の教訓は、どんなにうまいもうけ話も、たいていはうまく行かないということだ。もう1つの教訓は、インサイダー情報でもうけたとしても、結局は人生を棒に振ることになるのだ。

そして最終的には、株式投資に関する最高の教訓にたどり着いた。それは「もうけ話など存在しない」ということだ。結末は、お金を失うか、刑務所に行くかのどちらかしかないのだ。もしあなたがインサイダー取引かもしれない話を持ちかけられたら、丁重にお断りしよう。絶対にその話に乗ってはいけない。

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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