批判の美学 褒めるスキル
学校では十分に教えてくれないビジネス(や人生)のスキルがある。それは、あなたにアドバイスを求めてくる人を批判したり励ましたりする方法だ。
スキルというより美学といったほうが正しい。ほかの美学と同様で、批判や賞賛の仕方にはつねに正解があるわけではない。それゆえ、必要性の肯定や改善の可能性も含む。
仕事上、あなたが定期的に評価をくださなければならない人たちがいる。直属の部下、クライアント、仕事仲間、競合相手などがそうだ。
彼らはあなたの未来に大きく貢献してくれるかもしれない。しかし一方で、あなたに敵対してくる可能性もある。それはあなたが彼らをどう扱うかにかかっているのだ。(弱くて力がなさそうだから気にする必要はないと判断してはいけない。大人しくてもあなたの未来を脅かす人物かもしれない。)
では、どのように生産的なフィードバックを与えたらいいのか?あなたが求めるスキルや能力を早く身につけてもらうには?あなたと同じ考え方をさせるには?成功に導くにはどうすればいいのだろう?
黄金ルールと呼ばれる理由がある
自分の利益は度外視することが、批判する際のもっとも重要な秘訣である。
自分の利益を考えて批判すれば、すぐに悟られ抵抗されるだろう。あなたの優位性を誇示するために批判すれば、それが伝わり拒否される。怒りを吐き出すために批判すれば、八つ当たりだと反感を買う。
相手を助けたいという気持ちで批判することが大切なのだ。それ以外の動機をすべて取り除けばうまくいくだろう。自分の利益を一切考慮しないことで、良い判断ができるようになる。
思考が利己心で曇らなければさらに良いアイディアが生まれ、彼らに何を言うべきかがわかるだろう。あなたの熱意だって伝わる。あなたが助ける人はそれに答えてくれるはずだ。
そのほかの考慮に値するいくつかのルール
信頼を示すことから始める。
あなたの意見を聞き入れてもらうには、しっかりとした信頼関係の土台が必要だ。定期的に褒めることで良い関係を築いていこう。
まず、批判したい衝動は抑えよう。彼らの第一印象が悪かったとしてもだ。率直な物言いは逆効果になることがあるので注意すること。相手の良いところや尊敬できる点を見つけて褒めてあげよう。人前で繰り返し褒めるといい。後に批判しても、崩れることのない信頼関係を築いておくのだ。
時期がきたら批判することも大切
セールスライティングの世界で、私は厳しい編集者として知られている。弟子が一生懸命書いたコピーの余白に「ゴミ箱行き」と書いたこともある。最近、PH(私が知るもっとも成功したセールスライターの1人で以前の弟子でもある)から手紙をもらった。私がある弟子のライター(私の良き友人でもある)を厳しく批判した件についてだ。
「ABへのあなたのコメントを読んで本当に懐かしく思いました。ストレートで的確でしたね。今になって、私がライターとして成功した理由に気づきましたよ。このような批判のコメントを読み、心を揺さぶられ、恥ずかしい思いをし、ライターとして成長させられたことを思い出したのです。
ABがこのようなひどいコピーを書いたのは、ある意味で良いことだったのかもしれません。そうでなければあなたが批判を書くことはなく、ABがこの率直な批判から学ぶ機会はなかったのですから。次のレターでABのセールスライターとしてのキャリアが試されるでしょう。DMと私が上達した理由が今ようやく分かりました。悪いコピーに対してあなたやほかのライターが『黙認』し、気を使っていたなら、今の私はなかったと思います」
ここで大事なのは、私が初期の段階からPHのことを生まれつき才能があるライターだと思い、何度もそう伝えてきたことだ。このおかげで、私が彼を批判するようになっても彼は耐えることができたのだと思う。
プロセスがどう機能するか
以下は、あなたとともに働く人(従業員や部下)をトレーニングするための方式だ。
*あなたが相手を信頼していることを信じてもらう
*しばらく一緒に働き、役立つアドバイスをしたり、軽い批判をする。このプロセスはあなたの権威(お互いにとって必要である)と共通の語彙(相手が混乱しないよう)を確立することだ。
*相手の進歩が止まったところで直接的な強いアドバイスを与える。意地悪な言い方ではなく率直に話すとよい。彼はショックを受けるだろうが、最初に見せる自己防衛的な反応は無視する。
彼が再び心を開いて学ぶ熱意を見せれば、お互いにとって必要な大きな進歩を遂げられる。この地点を越えれば成長のスピードは早くなるだろう。
あなたへの特典:あなたの成長にも同じことが言える。自分と指導者からの強い批判は快く引き受けよう。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ