富とお金 2019/02/15

成功する「人数」




グループ作業をうまく機能させるには適正な人数があり、それ相応の理由もある。今回はその例を紹介していこう。

ブレインストーミング:


画期的なアイディアを生み出すための適切な人数は3人だ。専門知識を持つアイディアマンの賢い人間が2人、その2人が一目置くような意見を持つ聡明な人が1人必要となる。また、3人のアイディアマンとのブレインストーミングも可能だ。重要なのは、その議論を活性化するコツを知っておくことである。

アイディアマンの2人は、常に弁証法的(お互いの意見をぶつけ合い、ひとつのアイディアを構築していく方法)な議論をするだろう。そのとき、残りの1人は聞き役となる。会話の当事者と聞き手の間にある緊張感が、3人の一番いいところを引き出し、議論を活性化させるのだ。その役割はその都度変更してもいい。もちろん、3人以上のブレインストーミングでも構わないが、成果はあまり変わらないと思う。それどころか意見がまとまらず、その場の空気は悪くなるだろう。

円卓会議:


ここでのルールは「8人未満」である。私の経験から言って、これはとてもいいルールだ。一部屋に20人以上集めて円卓会議を開いても、得られるものは少ない。各自の足を伸ばせるスペースも、意欲やクリエイティビティ、満足度も減少するだろう。したがって、自由参加型ミーティングはやめること。大人数が参加する「なあなあ」の会議は避けるべきだ。

参加型セミナー:


講演者がどれほど精力的かにもよるが、参加型セミナーの上限は25~35人だろう。一部屋に40人以上収容すれば、講師の目が行き届かなくなり統制を失ってしまう。

講義形式セミナー:


講義形式のセミナーは人数に上限がなく、講演者の力量次第であると思う。優れた講演者を何人か知っているが、彼らですら50人以上の聴衆を相手にすると調子が落ちてしまう。私は今まで、数百人規模のグループまでは対応してきた。しかし、トニー・ロビンスのような本物のプロであれば、数千人の聴衆を引き付けることができるだろう。

部署や個人ビジネス:

ベストな数は5人だ。6〜7人でも対応できるし、8人でも可能だろう。しかし、直属の部下が8人より多くなると、トラブルも増える。万事うまくいっているように見えても、想像以上に多くの問題が起きるものだ。優れたマネジメントをおこなうコツは、小規模なチームにとどめること。部署の中に別のグループを従属させたり、管理能力の低いマネージャーはクビ、もしくは降格させるといいだろう。

ワーキンググループ:


MBA(経営学修士)の人たちが何と呼んでいるかは知らないが、私は「ワーキンググループ(管理可能な人数)」という言葉を使っている。ここでの私のルールは、「部下の数を2乗する」ことだ。つまり、直属の部下の人数×その部下が抱える部下の数である。きちんと目を行き届かせるなら25人(5×5)がいいだろう。あるいは、64人(8×8)まで増やすことも可能だが、それが限界になる。あなたが注意を払える範囲や量には限りがあるからだ。

チーム:


マルコム・グラッドウェルは、著書『The Tipping Point』(邦題『ティッピング・ポイント - いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』)の中で、「ヒトが維持できる集団の数は150人程度である」という法則の歴史的、生態学的な根拠について言及している。また、その自然な集団サイズを作っている部族集団、探検隊、軍隊組織など多数のデータも例に挙げていた。なぜ150人かという理由は分からないが、うまくいく人数は自然と限られてくるというのは、本当に興味深い話だ。

グラッドウェルが指摘したように、思考の機能性には数字的な上限が存在する。情報処理や決断を下す能力に限界があるならば、私たちがうまく対応できる人の数にも限度があるのは当然なのだ。あなたもこれらの上限数を取り入れて、グループを再構築する方法を考えるといいだろう。

例えば、

・アイディアを生み出すためにブレインストーミングをしたいが、メンバーが2人しかいない場合、第三者を招待しよう。

・円卓会議をおこなうときは参加者を選ぼう。あなたの直属の部下の中から、ベストファイブを選出するとよい。

さあ、実行しよう。

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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