完璧なポートフォリオ
今回は、私が投資のアドバイスで信頼を寄せているスティーブ・シュガラッド博士(ニュースレター「トゥルー・ウェルス」誌の編集者)の有益な富の構築に関する記事を掲載する。この記事では完璧なポートフォリオを組む方法が紹介されている。
*****
時計仕掛けのように毎年12%の成長が見込めて、損失を出さない完璧なポートフォリオさえ組むことができれば、人生は安泰だ。
しかし、あなたにとっての完璧なポートフォリオとは何か?今から完璧なポートフォリオを構築する最も簡単な方法とは?
それはとても簡単だ。
とはいえ、ここで年率12%のリターンが見込める完璧なポートフォリオの組み方を紹介するのは簡単ではない。誰にでも合う靴がないように、誰にとっても完璧なポートフォリオは存在しない。靴のサイズと同じように、経済状況は人それぞれ違うからだ。
若くて投資を始めたばかりの人なら、資産を増やす必要がある。たとえ投資に失敗したとしても、失った金を取り戻すのに十分な時間があるのでリスクも許容できる。しかし、年配の人は、投資に失敗した場合復職するわけにもいかないので慎重にならざるを得ないだろう。
では、大金を稼ぐためのシンプルなルールを紹介しよう。
私がこうした異なる投資ニーズに応えるために用いるシンプルなルールがある。100から自分の年齢を引いた割合を株式に投資することだ(特に「ポジションを取って放置する」タイプのポートフォリオの場合)。
あなたが30歳なら投資資金の70%を株に回し、70歳なら30%にとどめるということだ。株は他の投資よりリスクが高いので、年を取るごとに株式投資の割合を下げていく。
このルールはとても大ざっぱだが、いい加減に作られたわけではない。株式投資で得られる利益に関して、約100年分の株価チャートを分析し導かれた結果なのだ。
では次のステップに移り、私が学んだことを生かして、あなたにとって完璧なポートフォリオを考えていこう。
過去のデータから資産配分を学ぶ
下記の3種類のポートフォリオは、約100年分のデータからパフォーマンスを割り出したものだ。この中から、あなたに適しているものはどれかを考えよう。
例えば、「リターンが7%の『安全』なポートフォリオから、リスクは高くてもリターンが10%の『ハイリスク』ポートフォリオに変えるべきか?」などと検討してほしい。どのポートフォリオを選ぶかで、長期的には大きな違いが出る。しかし、どれにするのかを決めるのはあなた自身だ。
なぜなら、精神的にどのくらいのリスクに耐えられるかを知っているのはあなただけだからだ。私にできるのはポートフォリオが安全か、リスクが高いかを判断する材料を提供することくらいだ。
過去の実績例を以下に示そう:
*安全なポートフォリオ
株に20%、債券に80%投資する。過去の平均リターンは7%、最大の損失はマイナス10.1%、損益がマイナスとなった年の割合は17%。
*バランスの取れたポートフォリオ
株に50%、債券に50%投資する。過去の平均リターンは8.7%、最大の損失はマイナス22.5%、損益がマイナスとなった年の割合は22%。
*リスクの高いポートフォリオ
株に80%、債券に20%投資する。過去の平均リターンは10.0%、最大の損失はマイナス34.9%、損益がマイナスとなった年の割合は28%。
どのポートフォリオがあなたにふさわしいだろう?答えを見つけるために「リスクの高いポートフォリオにして年35%のロスに耐えられるか」、「安全なポートフォリオとリスクの高いポートフォリオの平均リターンは3%しか変わらないのにリスクを取る必要があるか」などを真剣に考えよう。
このように自問を続け、あなたに合ったポートフォリオを見つけてもらいたい。
本当の意味で分散投資する
ファイナンシャルコンサルタントで長年の友人でもあるジェフ・ウィンに教わったことがある。最小限のリスクで最大のリターンを得るには、株式、債券の中でも投資を分散させる必要があるということだ。例えば、ジェフのクライアントの多くは株と債券に分けて投資することが分散投資だと思っているが、それは本当の意味での分散投資とは言えない。株と言ってもハイテク株を保有しているだけで、異なる業種の株ではないからだ。
ジェフの同僚のC・A・グリーンは分散投資の方法をもっと具体的に教えていた。彼は米国株に30%、外国株に30%、優良企業の社債に10%、ハイイールド債(利回りが高く信用格付が低い債権)に10%、TIPS(Treasury Inflation-Protected Securities=米物価連動国債)に10%、不動産株に5%、貴金属関連株に5%を投資することを勧めているのだ。
これであなたも具体的にイメージできただろう!多くの情報を得たことで、リスクに悩まされず投資する道筋が見えてきたはずだ。もちろん、あなたの年齢やリスク許容度に応じて微調整していく必要はある。
市況を考慮する
また、市況を考慮して完璧なポートフォリオに調整を加えることも大切だ。例えば、マーケット全体が割高なら、リターンがあまり見込めないので株への投資額を減らすべきだろう。
基本を大切にする
資産配分の記事を読めば読むほど混乱するかもしれない。このトピックに関しては、まったく異なる結果を示すさまざまな「科学的」理論が存在する(10年程度のデータでは、そのとき100%投資するべきだと判断しても、思うようなリターンが得られないことがある)。資産配分についてはあらゆる知識を身につけるべきだが、以下に示す基本は忘れないでほしい。
1.「100引く年齢ルール」は株への投資割合を決めるとっかかりになる。
2.資産配分についてさまざまな見解を学んでも、私が示した数字は覚えておくこと。この数字は1929年の世界恐慌を含む約100年分のデータに基づいているので、将来を予測するのに最も参考になる。
3.C・A・グリーンが勧める株式へ60%、その他へ40%投資する方法は、リスクとリターンのバランスが取れているため、「ポジションを取って放置する」ポートフォリオに向いている。
4.C・A・グリーンとジェフ・ウィンが教えるように、アセット(資産)クラスを分散させるのと同様に、株式と債券の中でも投資を分散させ、異なるセクターの銘柄を選ぶことで最高の結果が得られる。
大事なので繰り返すが、誰にでも当てはまる「完璧なポートフォリオ」は存在しない。年齢やリスク許容度が人によって異なるからだ。しかし、上記の4つのアドバイスを守れば、あなたにとって完璧なポートフォリオを構築できるようになる。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ