好印象を与えるには、多くを語らず聞き上手でいよう
私はデール・カーネギーの『How to Win Friends & Influence People』(邦題『人を動かす』)に書かれている言葉を引用することが多い。カーネギーは、聞き上手である方が話し上手であることより、会話上手な印象を与えると述べている。もちろん、話し過ぎは論外である。
彼は本の中で、重要な人物と会食した際にずっと「ええ、分かります」とか「ああ、そうですか」と返し続けたという、面白いエピソードを紹介している。翌日、その会食相手がカーネギーのことを利発で話し上手であると称賛していることに、彼はとても驚いたという。
「不覚にも、相手に自分のことをあれこれと話し、どうにか関心を持ってもらおうとする人がたくさんいるのだ」とカーネギーは言う。「もちろん、そんなのはうまくいくはずがない。だれもあなたに関心などないし、相手は常に自分のことにしか興味がないのだ」
あるニューヨークの電話会社が電話での会話において、どの言葉が最も使われているかという詳細な調査をおこなった。それは、「私」という人称代名詞だった。500回の会話の中で、なんと3900回も使われていたそうだ。
そして、私のエピソードもご紹介しよう。
私は英文学の博士号を取得するために(まだ進行中)、カトリック大学に通っている。エズラ・パウンドを専門とする、とても著名な文学者であるヒュー・ケナー教授の講義を聞いた後、彼の新刊にサインをもらおうと壇上に向かった。彼の本はエズラについての分厚い4〜5キロもある学術書だ。私は彼の大ファンだったので、彼に何度も心から称賛の言葉を伝えた。翌日、英文学部の部長から呼び止められ「昨日、君はケナー教授に何を言ったんだい?彼はあなたにとても感心していたよ!あなたは学術界で成功するだろうと言っていたよ」と言われたのだ。
デール・カーネギーが生まれるずっと前に、ベンジャミン・フランクリンはこんな言葉を残している。「会話のウィットとは、自分の良さをひけらかすのではなく、相手の良さを見いだすことにある。あなたと会話をすることで、自分のユーモアや創造性に気付いた相手は、またすぐにあなたのもとへ戻ってくるだろう」
好印象を残したい相手と会うことがあったら、あなたもこのことを覚えておくとよい。
マーク・M・フォード
Presented by インベストメントカレッジ