富とお金 2018/05/04

大金持ちが富を築いた方法




面白い統計がある。

1970年代の最低賃金は、その後の物価上昇率を加味して比べると過去最高だった。同様の計算をすると、労働者の週平均収入も、この時期がもっとも高かったことになる。

70年代、中古住宅販売価格の平均値が初めて1,100万円をつけ、その後も急激に上昇した。現在の平均値は1,300万円以上だ。

今日、インターネット社会の到来や、アメリカの新たな億万長者たちがもてはやされているが、多くの人たちの収入は減っている。住宅価格や生活コストが上がっているにも関わらずだ。

最近、まともな生活を送るのが大変だと感じているならば、それは当然のことだろう。以前より厳しくなっているのは確かで、あなたの思い過ごしではない。

このトレンドにどう向き合うか?多くの人が貧しくなる社会で、どうしたら金持ちになれるのだろうか?

大金持ちが富を築いた方法を調べ、ヒントを探してみよう。これまでの100年を振り返り、もっとも裕福な10人を考えてみる。すべての人の純資産を調べるのは容易ではないが、公開情報を考慮すれば、1位がビル・ゲイツ、2位が彼のパートナーのポール・アレン、3位がウォーレン・バフェットといったところだろうか。

しかし、この順位には物価上昇率や現在の経済規模が反映されていない。各人の純資産を当時の国民総生産に合わせて計算し直せば、もっと正確になるだろう。そして、その時代の経済状況や彼らの影響力も理解しやすくなる。

幸いなことに、その計算はすでに済んでいる。マイケル・クレッパーとロバート・ギュンターによる『The Wealthy 100』(仮邦題『100人の金持ち』)という素晴らしい本の中で、アメリカの偉大な経営者の資産が集計されているのだ。そこの上位10人の情報から、面白い分析ができるはずだ。

(あなたはどうか知らないが、私は大金持ちについて読むだけで元気が出るのだ!)

下記は、現在の条件を織り込んで純資産が再集計されたものである。

1. ジョン・ロックフェラー(1839-1937)21兆2,000億円。スタンダード・オイルの伝説的な創始者で、一時は全国の石油ビジネスの90%を支配した。

2. アンドリュー・カーネギー(1835-1919)11兆2,000億円。無一文からアメリカ最大の鉄鋼会社を築いたスコットランド生まれの実業家。

3. ビル・ゲイツ(1955-)8兆5,000億円。ハーバード大学を中退し、マイクロソフトを創業。

4. フレデリック・ウェアーハウザー(1834-1914)4兆8,000億円。ドイツからの移民で、後に80億平方メートル以上の土地を所有する木材供給会社を創業。

5. マーシャル・フィールド(1834-1906)4兆5,000億円。オープン価格と返金制度を生み出した小売界の大物。「お客様は神様」という言葉の発案者でもある。

6. サム・ウォルトン(1918-1992)4兆2,000億円。アーカンソーの実業家で、弟のジェームスとウォルマートを創業。規模の大きさ、安定した経営、郊外への出店で成功した。

7. ポール・アレン(1953-)4兆円。ビル・ゲイツの高校時代の友人。 Honeywell(ハネウェル)を退社し、マイクロソフトの共同創業者となる。

8. ヘンリー・フォード(1863-1947)4兆円。モデルTの発案者で、フォード・モーターの創設者。1914年に自動車工場をオートメーション化し、年25万台の生産体制を築いた。

9. アンドリュー・メロン(1855-1937)3兆6,000億円。ピッツバーグを拠点とする銀行家で、弟のリチャードと資金を提供することで第二次産業革命に貢献した。

10. リチャード・メロン(1858-1933)3兆6,000億円(上記参照)。


このリストから、何か特徴がつかめただろうか?


まず1つ目に、純資産が 最低3兆6,000億円以上なければ自慢できないということだ。2つ目に、10人の中で存命中が2人しかいないことも興味深い。そして、このリストにインターネットビジネスで儲けた人は1人もいない。

3つ目に、同世代の人物が多いことにも着目したい。彼らは明らかに偉大な実業家で、鉄道、石油、自動車の普及による建設ラッシュや、消費拡大を背景に富を築いた。そして、当時は不当な課税がなかったことも追い風になっている。

ほかにも共通点がある。

彼らは新しいビジネスを成功させるには、価格を下げる必要があることを理解していたのだ。

競合より価格を安くすることの重要性は、私も何度も指摘してきたはずだ。 
ロックフェラーはガスと石油を安く提供し、 カーネギーは安価な鉄鋼を製造した。 マーシャル・フィールドと サム・ウォルトンは小売業のマーケティングにこの原則を取り込み、 ヘンリー・フォードは一般人でも買える車を初めて作り出した。

競合よりも価格を安くするだけが、市場で優位に立つ手段ではない。ただ、その方が手っ取り早いのだ。あなたにビジネスを確立できる強みがあり、高値を設定できるなら、もちろんそうしたほうがいい。そのほうがマージンや商品・サービス、カスタマーサービスなどを改良する現金も増え、長期的に見ても高い利益を確保できる。ビジネスに余裕が生まれれば追い込まれなくて済むのだ。

しかし、それは簡単なことではない。顧客はあなたに到底実現できないレベルの高い品質と、安い価格を望むものだ。よって、ビジネスを成り立たせるには、低価格で高品質であることが一目で分かるものを提供する必要がある。値段にシビアな大多数の顧客を無視してはならない。

価格で勝負できず、高値を設定することも不可能なら、ほかの業種を検討すべきだ。あらゆる業種のすべてのビジネスに儲かるチャンスがあるとは限らない。検討中のビジネスが望みどおりの結果をもたらすのかを考えることが、富を構築するためにあなたが一番始めにする仕事なのだ。

このテーマについては今後のメッセージでも触れていく。しかし、ここで金持ちになる方法を簡潔にまとめると、あなたのビジネスは下記の4つのうち3つを満たしていなければならない。


1. 売るビジネスであること(高級サンドイッチ店ではなく、安くて早いハンバーガーショップを展開することを想像してほしい)。

2. あなたが2倍働くのではなく、資金を投入することで「拡大」できるビジネスであること(あなたなしで成り立たないビジネスなら個人事業以上に拡大することはできないし、目標を達成するのに十分な規模にならない)。

3. 市場が求める商品やサービスを安い価格で提供できること。

4. 需要拡大の波に乗る(売り込む)こと。

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参考までに…

ダン・フェリスが書いたReal Asset Investor (www.realasset.com)によると、生産性を最大化することで金持ちへの道が開かれる。パターンは決まっている。テクノロジーにより生産プロセスが改善され、原材料のコストが下がる。 経済学の基礎で学ぶとおり、価格の引き下げが需要を刺激する。新たな需要が高まれば、商品の量産が必要になり、さらにコストが下がるというサイクルだ。この過程で生産手段を保有、運営し、投資している人が莫大な富を得られる。

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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