富とお金 2018/10/31

多くを語るな




沈黙は会話力に欠かせない要素である。


あなたは主張しようとしていることに絶対的な自信が持てず、立証しようとするあまりに、長く話しすぎてしまう状況になったことはないだろうか?話せば話すほど、疑念という名の沼に深くはまってしまうような状態だ。

ルイ14世は話し好きな若者だったそうだ。しかし、彼は王の座に就くと、儀礼的な会話を絶対最小限に抑えた。国家の問題を決定する際には、常にすべての賛否を聞いた後で、「では、検討しよう」という言葉以外は発しないようにしていたのだ。彼はそれ以上の議論することなしに、その後の決定を一人でおこなった。このやり方で彼は議論から自由になり、ほとんど発言しないことで偉大な力を得た。彼の有名な言葉である「朕は国家なり」は、簡潔明瞭さの真髄を表している。

アンディ・ウォーホルもこの戦略を使っていた。ポップアートの王は自身の作品について、議論をなるべく避けていたのである。彼が作品について語るときは、短く謎めいたコメントのみを残した。ウォーホル自身が作品について説明するよりも、記者や美術評論家にその短いコメントを解釈させたほうが、良い結果が得られると感じていたのだ。

私の知人のBBも、簡潔であることが自身を守ってくれると考えている。多忙なときなどに彼はよく、長いEメールの議論の返信にたった一文「いいと思います」とか、謎めいた「うーん」という返信を送る。具体的な指示が欲しい人たちには苛立たしいだろうが、そうすることでBBは無意味な口論に巻き込まれることなく、従業員が自分たちで問題を解決することを促しているのだ。

私はEメールの書き方を工夫することで、簡潔にすることに努めてきた。最大でも、全体の文章を7、8行にまとめるようにしている。以来、それ以上書かなければいけないことはほとんどないと分かり驚いている

このように短いメールを書くようにしたらとても効果的だったので、私にメールを送る相手にも同じようにしてほしいと頼んだ。今のところ、うまくいっている。

書くとき、または話すときでも、多くを語らないことで、より多くを伝えることができる。時間の節約にもなるし、トラブルを避けることもできるのだ。そして、言葉に重みも増す。

ロバート・グリーンはこれについて、(著書『48 Laws of Power』(邦題『権力に翻弄されないための48の法則』)の中で)このように書いている。「権力はいろいろな意味でどう見せるかが勝負である。必要以上のことを語らなければ、あなたには実際以上の権力があるように見えるだろう」

マーク・M・フォード

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