助けを求める
男女が知らない町をドライブしていて、男が高速の出口を見逃した。1時間半後、彼らは馴染みのない道をさまよっている。女は車の窓を開け誰かに道を尋ねたいと思ったが、男はそうするくらいなら撃ち殺された方がましだと思った。
助けを求めることはありがちな恐怖であり、私にとっても例外ではない。
私の名前はマーク・フォード、質問恐怖症だ。
今日は人に尋ねる恐怖について、そしてなぜ恐怖に感じるかを考えていこう。このことは職場の人間関係や駆け引きにも関係することだろうし、あなたの将来にも影響を及ぼすかもしれない。
質問恐怖症を正当化するもう1つの理論
まずは明らかな特徴からみていこう。この恐怖は主に男性が抱えるものだ。私が知るほとんどの男性にこの恐怖心があり、ほとんどの女性はそれを理解すらしていない。
私が道を尋ねるのが嫌なのは、服従しているように感じるからだ。服従的な態度が不利なビジネスの世界で生きているのでそうしたくないのだ。
服従すれば権力を放棄することになる。競争が激しい階級社会において、それはもっとも重要な資産だ。
別の言い方をすると、一般的に男性は権力のために戦う。一方、女性はほかの手段を使って欲しいものを手に入れる。
男女間のコミュニケーションの違いを上手く書いている心理学者のデボラ・タネンのテーマに最適だろう。彼女の本には「私の話を聞いてくれない理由を尋ねると、その話はもう昨日聞いたからという答えが返ってきた」という見出しがある。
人に質問することに関するデボラ・タネンの見解を聞いてみたい。彼女はきっと私の考えに賛成してくれるだろう。
あなたがビジネスをしている女性なら興味深いテーマのはずだ。あなたは質問する度に権力を失っていることに気づいていないかもしれないが、質問しすぎると権力だけでなく競争力も徐々に落ちることになる。
しかし、すべての状況で当てはまるとは限らない。権力を失わない質問もあるし、それを必要としている人のために(わざと従順な)質問をしてあげることもできる。しかし、あなたが影響を考えずに質問していると、自分を無駄に弱い地位に追い込むことになる。
このテーマに関しては私もこれを書きながら模索中であり、すでにまとまった考えがあるわけではない。だから話が行き来するかもしれないが我慢してもらいたい。
相手の権力を探る 質問に力を込めて
権力の一般論、そして特に男性が権力とどのように向き合っているかを話そう。
あなたが思い込まされていることとは反対に、男性は器用な生き物である。権力の分配などに関しては特にそうだ。お山の大将のように力づくで奪い取るものではないと知っている。
男性は得られる限りの権力を求めるが、そのために権力を共有する必要があることも分かっている。たとえば、2人の男性が出会うと「探り」の会話が始まる。たわいもない会話の中でお互いのことを探っているのだ。
主に、競わずに同調しながら支配できそうな領域を探す。ボクシングの第1ラウンドのように、会話で言葉のジャブやシフトウェイト、フェイントやすかしを入れてさまざまな話を振り、どちらがより優れた (a)ビジネスマン、(b)事業家、(c)スポーツ選手、(d)知識人、(e)スピーカー、(f)コメディアンであるかを探るのだ。
質問がカジュアルすぎて(陳腐なくらいだ)、聞いている女性には意味のない会話に聞こえるだろう。
互いに品定めした後は協力へ
実際、ちょっとした(女性の基準では)表面的な会話の中から大量に重要な情報を引き出すことができ、さらに互いが権力の階段のどこに位置しているかという心理的合意が成される。
権力の階段は1つだけではない。何百とまでは言わないが何十種類にも分かれている。そして、すべての階段における相対的なポジションを即座に見出し、暗黙の合意が成されるのだ(これが重要だ)。つまりこういった具合だ。
「彼のほうが話し上手だが、私はそれを打ち負かすことができる。彼のほうが金持ちだが、私の恋人のほうが彼の妻より美人だ。彼のほうが交渉上手だが、私のほうがずる賢い」
しかし、面白いのは男性が自分自身とも会話をしていることだ。
「彼は屈強だが、口でなら打ち負かすことができる。彼のほうが綺麗な女性にモテる(なんてことだ!)が、金にものを言わせれば私もモテるはずだ」といったことだ。
認めるかどうかは別として、男性はこのような内なる格付けを常に意識し、計算している。競争の激しい階級社会で生き抜くにはそういったことが必要なのだ。男性は誰かに会ったらすぐにどちらがどの領域で優れているかを判断するだろう。
さまざまな権力の階段における相対的なポジションを査定し認めることで、すぐに協力関係が結ばれる。ビジネスで成功するには競争だけでなく協力も大切なのだ。
おおよその戦略・・・
質問することは危険だ。しかしそれは間違った人に間違った質問をした場合に限る。
質問した人は答えをもらう代償に権力を少し奪われる、という原則を心にとめておけば、それを利用してキャリアアップを図ることもできるだろう。すべてはあなたが権力の階段のどこに位置し、誰に尋ねるかにかかっている。
役に立つ戦略はこちら:
あなたの権威が明確に確立されているのなら、必要な質問はすべてしてもよい。むしろ必要以上に質問するべきだ。例えば、あなたより下位の人たちに自分のアイディアに関する意見を聞いてもいい。彼らが答えるときに議論してはいけない。そしてあなたが起業家であるほど十分に質問をしていない可能性が高い。
あなたの地位が確立されていない状況なら、注意深く質問しなければならない。信頼できる指導者に質問するといいだろう(指導者との関係は信頼できる。なぜなら指導者には権力があり、あなたは一生懸命働き忠誠を尽くす代わりにその力を少しずつ与えてもらうという認識に基づいた関係だからだ)。だから指導者には恐れずに質問しよう。
上司に質問する場合は気をつけるべきだ。気に入られることは大切だ。意思の弱い上司なら、それだけでずっと雇ってもらえるかもしれない。しかし結局のところ、尊敬ではなく気に入られているだけでは、あなたのキャリアは行き詰まるだろう。上司への質問はできる限り、あなたが賢く能力があることを示すものに限るべきだ。
同僚への質問は、(a)相手が競争相手でない、(b)相手が権力の階段の上にいても、あなたが気にしない場合以外はしてはならない。
技術系の専門家に質問するときは彼らの専門用語に臆してはいけない。ビクビクせずに落ち着いた態度を崩さず、彼らの専門知識に感心していることを相手に伝えながら質問を投げかけよう。
もし私がスピリチュアル的指導者なら、あなたの頭に浮かぶすべての質問を問いかけるように勧めるだろう。しかし、私はあなたのビジネスを指導する立場にあると感じているのでストレートに話している。質問に関しては男性のように振る舞おう。知らない町を車で走りまわることになってもだ。
マーク・フォード
Presented by インベストメントカレッジ