富とお金 2018/03/02

価格が高くても売れる理由



知覚価値とは何か?
なぜ重要なのか?
どう利用したら粗利益を飛躍的に伸ばすことができるのか? 

まずはどのような心理が働くのか考えよう。


人は優越感に浸ることが好きである。この欲求はカトリック教では大罪とされているが、セールスに大いに生かすことができる。

見込客のプライドに訴えかけ、強欲に儲けようと思えば、適正価格より多くの額を支払うよう促すことができるのである。ときには適正価格をはるかに上回る額を要求することもできる。

腕時計を例に挙げよう。1000円出せば、丈夫で見た目も十分良く、ほかのどんな腕時計より性能も耐久性も高いデジタル腕時計を購入することができる。(20年以上前の)発売当初は、あまりに優れていて価格も安いため、アナログ式の腕時計は廃れてしまうだろうと誰もが思ったものである。

ところが、そうはならなかった。新たなテクノロジーは腕時計業界に革命をもたらし、市場は一変したものの、アナログ式の腕時計は存続し続けたのである。それどころか、そのマーケット・シェアは大きくなった。ある雑誌によると、10万円以上の腕時計の売上は1970年代と比較して2倍以上になったそうだ。

単なる価格の問題ではない


3,000円の腕時計でも遜色ないのに、なぜ人は何十万円も費やすのか。美しいから?私にはとてもそうは思えない。最近のロレックス商品をじっくり見たことはあるだろうか。大変センスが悪い。ピアジェはどうだろう。筋肉隆々の男がバレエのチュチュを着ているようだ、と形容したいほど悪趣味である。セイコーの商品には良いものもあるが、30万円も払う気にはとてもなれない。

求められているのは信頼性でもなければ、耐久性でも正確性でもない。もちろん美しさでもない。では人は何のために必要以上の額を払うのか。

一言で言うならば、ステータスを得たいからである。エベルやカルティエを身につけたら、ファッショニスタの信頼を一瞬にして得ることができる。ロレックスをはめた腕を見せれば、「ステータスを確立した」ことを周りにアピールできるのである。

皆さんに聞くまでもない。こんなに気分のいいことはないだろう。

需要と供給の関係は、心理に左右される場合もある


腕時計からトラクターまで、どの市場においても高級品が驚くべき価格で売られている。そして多くの場合、こうした商品の大きな強みは価格そのものである。

車は150万円で買えるものから2500万円以上のものまであり、スーツも1万円で買えるほど安価なものもあれば、50万円もする商品がある。宝石であれソファであれ、すべてのものについて同じことが言える。

質の度合いが価格に反映されると言われているが、じつはプライドの度合いが反映されている場合のほうが多く、経済のすべての層において、考え得るすべての商品やサービスにあらゆる価格帯が存在する。

年収が200万円なら100円のマカロニを買うだろうが、大富豪ならその10倍する手作りパスタを求めるだろう。

優越感に浸りたいという欲求が、ほぼすべての商品やサービスにおいて高価格帯を設定する機会をマーケターに与えている。

これを理解すれば、競合他社を出し抜ける

20年前、頭の切れるディベロッパーがフロリダ州ボカラトンで大きな土地の一区画を購入した。高速道路の西側にあり、当時は住むのに「望ましくない」とされていた地域だった。誰も住んでおらず、ビーチからとても遠く、付近に店やスーパーは1軒もなかった。

高速道路の東側で繰り広げられていた住宅建設ラッシュに張り合うことはせず、その抜け目ないディベロッパーは土地全体を高さ2.5メートルのセメントの壁で囲んだ。壁の周囲には低木を植え、柱やパーゴラ、アーチなどで凝ったエントランスを演出し、仕上げに守衛室を設けて制服姿の守衛を配置した。

これがボカラトンで最初に建設された「ゲーテッド・コミュニティ」である。特権を売り物にした最初の不動産開発でもあった。ほかの開発業者が質や価値を強調するなか、そのディベロッパーは「ご友人やご親戚の方々はこのエントランスを見て驚かれることでしょう。なかに入るには守衛から許可を得なければなりません」とステータスを売っていたのである。

結果はどうだっただろうか。50万円で購入した区画は200万円で売れ、一方「望ましい」とされていたエリアでは土地の購入価格がはるかに高かったのに、その半額以下でしか売れなかったそうだ。現在では50万円だった区画が2500万円する。

ステータスとなるものを提供すれば、人は喜んで商品やサービスに多くのお金をつぎ込もうとする。得られるステータスが高ければ、その分多く払おうとするのだ。

何だって、大抵は払いたいと思う額で買うことができる

結婚当初、私は中古家具を買い揃えた。なかには2,500円で買ったおんぼろソファもあった。それなりの生活ができるようになってからは5万円のソファを買い、年月が過ぎて生活が「向上」するとそれと同じようなソファに50万円かけるようになっていた。

今でも5万円台のソファが存在するのは知っているが、見かけなくなった。妻が私を連れて行くような店にはないのだ。その代わりディヴァン、チェスターフィールド、シェーズ、セッティーといった家具が、私の昔の家賃1年分くらいの価格で売られている。

ステータスは高くつく

ステータスを得たければ、それなりの金額が求められることを覚悟しておこう。得られるステータスが高ければ高いほど、金額も高くなる。プロ・バスケット・チームのマイアミ・ヒートは、新しいアリーナをオープンするときにスーパー・プレミアム・シートを8席ほどバスケット・ゴールのほぼ真下に設けた。価格はたったの500万円。発売から24時間以内に売り切れたそうだ。

どんな商品を扱っているにしろ、価格を上げる方法はある。ステータスとなるものを付加すれば良いのだ。今はまだそのときではないかもしれない。積極的に価格を落としてマーケット・シェアを大きくするほうが得策とも言える。しかしいずれはこの基本的で強力なマーケティング戦略をビジネスに導入することを検討すべきである。

人はステータスのためならもっと金をつぎ込みたいと思っている。このことを忘れないように!価格設定を高くすることで、心を満たしてあげられるのである。

知覚価値を高くするテクニックについて近々紹介したい。いかなるマーケティングにおいても、価格を上げるためには不可欠なものである。

マーク・M・フォード

                Presented by インベストメントカレッジ

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