富とお金 2018/07/25

マルディグラ(カーニバル)の山車で金持ちになる




以前、ニューオリンズに住む長男のLFを訪れた際、アルジアーズというセントチャールズ通りの川向かいにある貧しい地域にフェリーで渡り、マルディグラ・ワールドを見学しに行った。

船着場から14棟の黄色い倉庫施設が並ぶ河岸の工業地帯へと、ガタガタのガイドバスに揺られて移動した。そこには大きなマルディグラの山車や、何百もの巨大な動物、人、想像上の生物の像などが置かれていた。

奇妙で印象的な施設を回りながら、この風変わりなビジネスを始めたブレイン・カーンについて考えた。ギフトショップのパンフレットには、彼についての詳細が載っていた。

1950年代、ブレイン・カーンはマルディグラのパレードに使う像を紙粘土で作る仕事を見つけた。割の良い仕事だったが、将来も続ける仕事ではないと思っていた。彼は偉大な起業家になりたいという野望を持っていたのだ。

彼の戦略は、私が前に教えた「雇用主を超えて自分のスモールビジネスを築く」という考えに近いものだった。彼は長時間働き、山車を作る技巧を習得した。また、サプライヤーや職人仲間との関係を築き貯金もした。そして、ついにその仕事を辞め、自分の小さな工房を立ち上げ、フレンチクオーターという地区の川向いの倉庫を拠点にした

顧客を集めるため、カーンは価格を下げ、時には相場の半額で提供した(私が何度も教えている戦略だ)。また、地域のクルー(マルディグラの山車を購入する団体)の役員を接待することに時間とお金をかけた。ガイドによると、カーンは疲れ知らずで、ビジネスを始めた頃は深夜まで働いていたという。しかし、従業員だった頃より収入は減少した。

少しずつカーンは新規顧客を獲得していった。価格が安く、どんな依頼でも引き受けてくれると評判になったからだ。次第に仕事が増えると、彼は価格を上げていった。やがては相場価格と同等、あるいはそれ以上の料金を請求することもあったが、顧客は彼の仕事を評価し快く支払った。

カーンは顧客に提供できる別のサービスを思い付いた。手頃な価格で倉庫スペースを貸すことだ。近隣の不動産を買い上げ、倉庫を立てた。そして、貸し倉庫の収入が山車事業と同じくらいに拡大するのに、時間はかからなかった。

彼は貸し倉庫の利益をビジネスに再投資した。ローンを返済し、新しい不動産を購入する。そして、14棟の大きな倉庫を、工場や倉庫として使用するようになった。

マルディグラの像をリメイクし、色を塗り直すことで(繊維ガラスや発泡スチロールなど新しい素材を使って)、毎年ディスプレーを変えたいという顧客の要望に応えた。これで3つ目の収入源ができたのだ。

そして1970年代、ニューオリンズの観光客向けに「マルディグラ・ワールド」というツアーを始めた。彼が所有する数カ所の倉庫を回りながら案内動画を見るツアーだ。シーズンによって1日8〜16回おこない、それぞれ30〜50人の観光客が参加している。平均料金は900円だ。

現在、カーンは100人以上の従業員を雇っている。ツアーガイドの説明によると、カーンはマルディグラに参加する山車の80%を手がけているそうだ。それに私が聞いたカーンを知る人からの話によると、ニューオリンズには40以上のクルーがあり、それぞれの収入は5000万円を超えるらしい。それらから予測するに、彼のビジネス規模は、山車の新規作製と修復が10億〜15億円、貸し倉庫で数億円、ツアービジネスで1億円といったところだろう。

純利益?それは推測が難しいが、2〜5億円くらいとみている。

堅実な収入源があるので、会社の評価額は少なくとも15億円から50億円になるだろう。さらに5億円(以上)を不動産に投資すれば、十分なほどの一家の財産になる。そして、それはすべて一代で築いた富なのだ。

マーク・M・フォード

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