経済
2018/05/11
スペインとイタリアで異なる国内事情 -後編-
昨年、イギリスが国民投票の結果、EU離脱を決定したことをドイツが激しく非難しました。そのドイツと一緒にイギリス・バッシングをしているのがスペインです。
スペインの現与党である国民党はEU残留派です。EUを離脱した場合、スペイン各地の独立運動が高まるからです。このため、イタリアと異なり、スペインの現政権はドイツとスタンスを合わせて、イギリスを叩いているわけです。
現在、イタリアには地中海経由でシリアその他の難民が流入しており、最も難民問題で深刻な負担に直面しています。
イタリアで最も有力な野党は「五つ星運動」です。ポピュリズム政党であり、次の総選挙で多数議席を獲得した場合、イタリアは「決められない政治」に移行するおそれがあります。
いずれにせよ、イタリアは陰にいるベルルスコーニ元首相しか国をまとめることはできないと思います。
なお、保守的な政党として北部同盟があり、これがファシスト党よりしっかりした保守です。国防問題のエキスパートが揃った政党であり、これが「五つ星運動」やベルルスコーニのフォルツァ・イタリアと提携すれば(そしてベルルスコーニが黒幕になれば)、イタリアの政局はバランスのとれた状態になります。
2017(平成29)年6月に行われたイタリアの地方選挙では「五つ星」が惨敗する一方、フォルツァ・イタリアと北部同盟が躍進しました。
私は仮にイタリアがEUを離脱することになったとしても、一国としてうまくやっていけるのではないかと希望的観測を抱いています。
2017年9月1日発行藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』第4章 世界の大変貌 中国、EU、ロシア、そして極東ーP168