ビジネスを継続させる方法
ロイス:
チャック、あなたはビジネスを売却し、引退されたそうですね。
まずお聞きしたいのが、この素晴らしいキャリアを積んだ後、
なぜビジネスを売ることにしたのですか。
どのようにこの判断に至ったのでしょうか。
チャック:
マイケル・ガーバーが言っていたように
ビジネスには3通りの終わり方があります。
死なせてしまうか、、、
その時はどうしようもないですよね。
もしくは売ってしまうか、
何らかの形で継続させるかです。
昔は「ハイヤー・ザ・バイヤー」とよく言っていましたが、
例えばそのビジネスが大好きな人を雇い、
その人に譲り売るということです。
現実には、10億円以下の収益のコンサルティング会社で
特に人柄に依存している会社の需要はありません。
継続させることが難しい会社だということは、一目瞭然です。
しかし、私の仕事を任せることができる人はいます。
それはとても重要なポイントでした。
営業ができる人もいるでしょう。
でも私の子供たちも会社を継げる状況ではありませんでしたし
私もタダ働きはしたくありませんでした。
そんな時、良い値段で会社を売る話が入ってきました。
EBITDAの9倍位でした。
結局私たちのクライアントが取得し、自分のビジネスにしました。
そのおかげで売却益が手に入り
リタイアしても大丈夫な資金が手に入ったので
会社を売るのは間違いではなかったと思っています。
私はビジネスを売りました。
当時64歳でした。
デルタ航空のマイルは400万マイルも貯まりました。
忙しすぎた証拠ですよ。
ロイス:
たしかに。
さて、あなたは本当に数多くのことを達成なさってきました。
ビジネスを売った後はどうなりましたか。
チャック:
そのようなわけでクライアントに取得してもらいましたが
コンサルティング業界で仕事をする、
例えば相手の行動を変える…ということは
最終的には年に50回、60回もクビになるということです。
ロイス:
そういう見方もありますね。
チャック:
私たちのビジネスのデザインはプレミア価格に設定していました。
あなたの企業に出向きサービスを提供します、と。
でも、継続して企業の財務責任者や会計士の業務はしない
というものでした。
そのため、40年間ビジネスを経営していた内の
最後の20年間は、時給1000ドル位でした。
サービスをパッケージとして売っていたので
時給は明らかではありませんでしたが
結果が出なければお金を返すという保証もしました。
私たちは影響を与える、ということを提供していて
企業を育成するわけではありませんでした。
その会社の取得者とは3年間仕事をし
トレーニングなどを行いました。
ロイス:
つまり、クライアントがあなたの仕事の仕方を学んだわけですね。
チャック:
そうです。
しかしクライアントの会社における
社員の流出は問題でした。
色々なことがありました。
例えば優秀なチャーリーという社員に
トレーニングをしていたとしましょう。
でも、トレーニング中に、
チャーリーの可能性を見出した他の企業に取られてしまったり
チャーリーがクライアントの社内で別の部署に移されてしまったりしました。
企業のレベルを保つということはリーダーシップと
責任感が備わっていなければいけません。
会社を受け渡す契約が終わっても、電話は鳴り止みませんでした。
本の版権は私たちにあったので、本が売れる度に電話が来たりしました。
そこで会社の取得者と話し合いました。
売却した知的財産をリースバックしたいと伝えました。
つまり、新しいクライアントが入る毎に取得者に印税を払う
ということです。
健康保険業界が4000億円規模の産業だった時代です。
この7、8年で6000億円になりましたが。
取得者は会社を部分的には持続させようと努力していますが
守護神的人物がいなくなると、会社は自然と変わっていきます。
スティーブ・ジョブスは、アップル社内の様々な分野で
情熱的な従業員を見つけることができたため
アップルを持続することができたのです。
ティム・クックはスティーブ・ジョブスではありませんが
アップルをうまく持続させていると思います。
ロイス:
その時期、あなた自身はどんな状況でしたか。
3年間は彼らと関わっていましたが
その後は、あなたの作ったあなたの会社が
あなたの物ではなくなってしまったでしょう。
チャック:
重要なのは、自分の仕事が自分のアイデンティティに
なりすぎないようにすることです。
私は今でも「ゲーミフィケーションの祖父」であり
『ゲーム・オブ・ワーク』の著者です。
これからも『ゲーム・オブ・ワーク』のコンセプトと
結び付けられるでしょう。
ロイス:
でもそれは「チャック・クーンラット」という人間ではない
ということですね。
チャック:
そういうことです。
ロイス:
あなたが「したこと」であって、「あなた自身」ではない。
チャック:
そう、私が「したこと」です。
リタイアの素晴らしさは
「やらなくてはいけない」ことが全く無いということです。
「したい」ことは沢山あります。
読書や勉強をする時間もありますし
新しい趣味を始める時間もあります。
ロイス:
今はそういうことを楽しんでいるのですね。
チャック:
はい。
ロイス:
例えばどんなことをしていますか。
チャック:
スキーをしています。
ロイス:
昼休みだけでなく一日中スキーできますね。
チャック:
私のリタイアのお祝いは左膝でした。
会社で社員のための医療プランがあったのですが
超過勤務時間も随分溜まったので、会社を少し早めにリタイアして
そのプレゼントとして膝を直してもらいました。
新しい膝を手に入れてヨーロッパで1ヶ月ほど過ごしました。
ロイス:
スキーをしにですか?
チャック:
いえ、旅行です。
後は私立大学の学長をメンタリングしたり
エンジェル投資家として活動しています。
思ったほど納得がいくものではなかったのですが
勉強にはなります。