ストップ安売り!
From:ダン・ケネディ
大恐慌の直後の1930年代、小さな食料雑貨店の経営者達は、巨大なA&Pチェーンと競い合うのは不可能だと考えて、訴えを起こし、最終的にロビンソン−パットマン法という法律が議会によって可決されました。この法律は今でも有効です。
この法律では、「メーカーによる数量割引の額は、大量に発注された品を納品することでメーカーが得られるコスト削減額を超えてはならない」としています。
また現在は、タイヤ店経営者160人が、この法律に基づいて、ウォルマート、サムズ・クラブ、AutoZone(オートゾーン)社、並びに、メーカー13社を相手取り、連邦裁判所に反トラスト違反の訴えを起こし、「これらのメーカーからこれらのチェーン店への卸価格が安過ぎる」と主張しています。
あなたは、「お店を経営しているなら、自分で値段を選べるし、自分の店の商品を気に入ってくれた人が、その値段で買ってくれてもいいし、買わなくてもいい」と思っていたのではないですか。
でも現実は、違うのです。私は、店の経営者が、大手ライバル店や安売り店について、特にウォルマートについては名前をはっきり挙げて、文句を言っているのをしょっちゅう耳にしています。「なんてかわいそうなボク」とでも言うかのように、「値段では勝てっこない」と弱音を吐いています。でも、彼らの言っていることは正しいのです。
価格以外で戦う
値段で彼らに勝つ事はできません。ですから、価格以外のことで競わなくてはいけないのですよ。悲しいことですが、私達は国全体で、「競争できない負け犬は、勝者を裁判に引きずり込み、お金を盗むべき」という考えを認めてしまっています。でも、そこのあなた、こういう「負け犬の考え方」に吸い込まれてはいけません。そんなことしたら、行き止まりです。
そこで、価格についてためになる話を紹介しましょう。今年のホリデーシーズンにクリーブランドで一番人気だったチケットは、フヤホガバレー観光鉄道のチケットでした。この電車には一年中載れますが、凍えるほど寒い冬の夜、景色がほとんど見えない時のチケットを1人17.5ドル、4人家族で70ドルに値上げしたところ、ほとんどのチケットを何か月も前から抽選で売ることになったのです!!!
「体験」を創る
eBayで再販されていたチケットは最高で4人分520ドルで売れました。どうしてこんなことが起きたのでしょうか。この会社は、この鉄道を、映画の「ポーラーエクスプレス」のように仕立てたのです。映画と同じコスチュームを着た車掌が登場し、本の読みきかせをし、サンタも現れるようにしました。そして、宣伝しました。「値段など関係ない」と思わせたのですね。「でも、割引店との競争に勝つこととこれと、どういう関係があるのかわからない」ですって?全部、関係ありますよ!
ここでのレッスンは、「価格競争が激しい時には、違うもの/ことを売る」です。いいえ、店の窓を板で覆ってよそに行きなさい、と言っているのではありません。そうではなくて、「新しいことを創案しなさい」と言っているのです。「体験」を創るのですよ。
誰もこんなことは望んでいない
みんな、ただ出かけて行って、普段と同じことをして、普段と同じところで買い物して、普段と同じセミナーに出席したいとは思っていません。今までは違う、新しい、ワクワクする体験をしたいと思っています。
あなたのビジネスを「ディズニー化」してください。ディズニーでは私が今書いたことを理解し、自分達に有利になるように需要と供給を調節しました。でも、これを理解することを頑なに拒んでいるマーケターが多過ぎますね。
価格を下げただけでは、安売り店と競い合えません。そんなことしたら、絶滅への道を歩き始めたのと同じです。それに、最低価格で売れないなら、もっと値下げしても有利にはなりませんよ。それなら、儲けが多くなるように高い値段を設定した方がいいと思いませんか。