母vs姉&弟の片付け大作戦


From:藤岡将貴

うちの母はとにかく物が片付けられません。先日も静岡の実家に帰ったんですが、とにかく物が多いんです。一人暮らしじゃ絶対に使わないのに捨てられない大量の食器。料理もしないのに大小さまざまのタッパー。ムダに多い布団。近くに住んでいる僕の姉は、これまでにもなんども母に「片付けろ」と言ってきました。本人は「これでも片付けてる」と言ってますが、はたから見ると何も変わっていません。ただ、右から左に移動しただけ、みたいな。

この家に引っ越してきて13年。その前にずっと住んでいた家のときから、我が家は大量のものに囲まれていました。だから、新築の家に引っ越してくるときに「最低限のものしか持ってくるな!」と僕も口を酸っぱくして言ったのですが…案の定、言うことを聞かず。僕も、母の生活にあれこれと口を出しすぎるのもどうかと思って、放っておいたのが、まずかった。すでに引っ越してきた時点で、もう散らかっている(笑)そして、そこから13年。なぜ、そんなにも部屋を狭くしたがるんだろうか…と思うくらい、物が溢れているんです。

でも、昨日今日始まったことではないので、僕はもうとっくに諦めていました。ですが、母はもう70歳。ただでさえ最近よくつまづくと言っています。このままでは、家の中でつまづいて危ない。下手をすれば骨折しかねません。僕の姉は、今度こそなんとか片付けさせたい、というか、物を減らしたい、と僕に言ってきました。


どうやったら、母に片付けさせることができるでしょうか?


でも、僕は、たぶん、直球で「片付けろ」と言ってもムダだと思いました。本人に”片付ける理由”がないとダメだと思ったんです。そこで、リサーチしてみることに。なぜ、捨てられないのか?なぜ、使わないものを捨てることができないのか?

母に話を聞いて見ると、例えば、ムダに多い布団。これは、昔は立派な布団があることがステータスだったと言うんです。昔は、例えば法事があって、遠方から親戚が集まってきたときに、今みたいにホテルがない、と。なので、自宅に泊まってもらうのが普通だった、と。そのときに、ちゃんとした布団がないとみっともない。だから、ちょっとお金に余裕があると、そこそこいい布団を買っていた、と言うんです。

食器も同じような理由のようです。家にお客さんが来てコーヒーを出す時に、そこそこいい感じのカップ&ソーサーでコーヒーを出して、もてなしたい、と。たしかに、前の家の時から、リビングにガラスの食器棚があって、普段、住んでいる自分たちが一度も使ったことのないカップとソーサーが並んでいたのを思い出しました(笑)。

いやいや、誰も泊まりになんて来ないでしょ?今はそんな時代じゃないでしょ?そう思ったんですが、昔の話とは言えど「恥」「見栄」といった感情につながっているとなると、これは手強い…感情に結びついているものを覆すのは難しい…だからこそ、セールスコピーでも感情を刺激されると反応してしまうんですが…一旦、布団と食器棚の皿はあきらめよう、と。じゃあ、どうしようか…

そこで改めて部屋を全体的に見渡すと、とにかく収納多いんです。棚やらワゴンやらが多いんです。棚があるから物を置きたくなる。ワゴンがあるから通路が狭くなる。だから、そもそも棚を減らすこと、ワゴンを減らすことが必要だと思いました。こいつらが狭さの元凶だと。じゃあ、どうしたら、こいつらを減らすことができるのか?そこで、僕は3つのアプローチをとることにしました。


僕がとった3つのアプローチとは?


1つ目は、”機能的ベネフィット”で訴えてみました。最近、母が「物がすぐに見つからない」と言うんです。だから、それは引き出しが多いから、収納が多いのが原因なんだよ、と。もし、引き出しが1つしかなかったら、迷わないでしょ?と。全部そこに入っているわけだから。そこしか入れるところがないわけだから、と。そんな機能的ベネフィットで訴えてみたんです。でも母は、「はいはい、そうでやんすね」といった感じ。これは失敗…

次に、物がなくなって、広くてスッキリした部屋で過ごすライフスタイルを想像させようと試みたんです。明るい太陽光が差し込んで、リビングで紅茶でも楽しむ老後をイメージさせようとしたんです。いわゆる”立体的なベネフィット”です。でも、こちらはまったく興味なし。そうだ、母はもともと、ちょこちょこした物に囲まれている方が好きなタイプでした。これも失敗…

最後にとったアプローチはこんな感じです。「5月に孫が生まれるよ?でも、孫が遊びにきたときに、こんな足場の狭いリビングじゃ遊ばせてあげられないよ?孫がぶつけたらどうする?転んだらどうする?危ないよ?嫌われちゃうよ?もう遊びに来たくない、て思われちゃうよ?」という感じです。これは、「いいばーばでいたい」という”ロール・パフォーマンス”に訴えてみたんです。

ロール・パフォーマンスとは、自分の役割をもっと良くこなしたい、と思う欲求のこと。これは行動を駆り立てる強い心理トリガーの1つなんですが、見落とされがちなものの1つでもあります。その結果はと言うと、、、お、ちょっと、響いた様子。可能性あるかも!?です。

今回は、なぜ、母は片付けができないのか?どうやったら母に片付けをさせられるのか?を考えて、実際に探ってみました。こうやって考えるのは、結構おもしろいです。それに、人の行動を妨げている原因は何か?どうやったら行動してもらえるか?を考えるのは、セールスコピーの企画を考える練習にもなります。

あなたもぜひ、やってみてはどうでしょうか?


-藤岡将貴

関連記事