習慣 2018/03/17

お客さんが求めている本当の価値とは?


From:藤岡将貴

先週末、休みをとって、1泊2日で夫婦で温泉に行きました。向かった先は、兵庫県の有馬温泉。泊まりで温泉に行くのは2年ぶり。お昼くらいの高速バスで梅田から有馬温泉へ。1時間ほどバスに乗って温泉街に到着。かりんとう饅頭を買って食べたり、できたてのメンチカツを頬張ったり、有馬ビールという地ビールを飲んだり。しばらく温泉街を散策。

その後、15時頃に旅館にチェックインして、さっそく温泉へ。僕が入ったのは、大浴場とは別に、ちょっと離れた所にある露天風呂の温泉。早い時間だったこともあって貸切状態。露天風呂の岩にもたれかかって、ふと見上げると、木々の隙間から夕陽がこぼれている。普段の日常では味わえない癒やしの時間。

そして、18時頃から食事。もちろん部屋食。ビールと地酒を飲みながら、懐石料理を満喫。翌日の朝も部屋で朝食。その後、もう一度、温泉へ。朝日を浴びながら、ジャクジーで腰痛の腰を労って。

そんな感じで、とても、ゆったりした時間を過ごせました。月曜でも仕事を気にせず過ごせるのは、マーケティングがお客さんを集めて、セールスレターが売ってくれる、この仕事の醍醐味。

帰りに温泉街に寄って、昨日食べて美味しかったかりんとう饅頭を自宅用に買って帰ろうと思い、11時のチェックアウトの時間までゆっくり過ごしたあと、いざ、チェックアウトしようとロビーへ。


でも、この時、ひとつ気になることがありました…


というのは、ポイントのこと。僕はある旅行会社が発行しているクレジットカードを持っていました。で、そのクレジットカードに3万6000円分のポイントが溜まっていたんです。なので、今回、この旅行会社のウェブサイトから予約をして、宿泊費から、この3万6000円分のポイントを使うつもりでいました。

でも、ネットで予約したときに、予約画面にポイント入力欄が出てこなかったんです。もしかしたら、本当は出ていたかもしれません。でも、見つけられませんでした。僕は、普段から出張時のホテルは予約サイトでとっているし、Amazonでもしょっちゅう買っているので、ネット決済画面は人並みに見慣れているはずです。でも、ポイント入力欄がどこにあるか、わかりませんでした。

だから、ポイントをどう使ったら良いかわからなかったので、ネットで予約完了後に、旅館に電話して聞いたみたんです。そしたら、「当日、現地でクレジットカードを提示すれば、その時にポイントが使えますよ。」とのこと。「そうですか、わかりました。」と電話を切ったのですが、正直、どこか不安が残っていました。そしたら、、、


まさかの嫌な予感が的中…


旅館側は、「チェックアウトの決済時にポイントは使えない」とのこと。「いやいや、僕は電話して聞いたら使えると言われたんですが…」と言うと、カウンターの男性は裏の方に下がっていきました。しばらくして、別の責任者と思われる女性が現れると、「旅行会社の人と直接電話してもらえますか?」とのこと。「わかりました」と電話に出て話すと、旅行会社は「決済時にポイント使ってないとダメ」の一点張り。

困って、旅館の責任者の女性に助けを求めても、その女性は「旅行会社が”ポイント使える”と言わない限り、値引きすることはできない。」僕が旅館に電話して確認したときに、電話に出た人に「当日ポイント使えるよ」と言われたことについては、「たぶんなにかの勘違いだと思います」と言う始末。

旅行会社の人と直接電話したり、旅館と旅行会社が電話で話してる間、待っていたりと、なんどかそんなことを繰り返していました。が、結局、旅行会社側も旅館側もどうしようもできない、という感じで、もはや僕が全額払わないと話が前に進まない、、、そんな雰囲気を感じたので、「じゃあ、払います」ということで、全額払ってその場を終わりにしました。

その時の後味の悪さは想像していただけると思います。ついさっきまで、帰りに温泉街に寄ってお土産を買って帰る予定でいましたが、すっかりそんな気分ではなくなり…結局、温泉街で買い物をすることもなく、すぐにバスに乗って大阪に帰ることにしました。


僕が求めていた言葉とは?


僕たちは、3万6000円分のポイントを使うつもりで宿泊していました。なので、それが「使えない」と当日言われたことで、「おいおい、まじかよ」と思ったのは正直な気持ちです。でも、とは言え、ちょっと嫌な予感は最初からありました。それに、今回ポイントが使えなかったからといって、このポイントがもう無効になってしまうわけではありません。ポイントの有効期限は今年いっぱいです。このポイントは旅行会社のサイトで予約する旅館や新幹線の交通費にも使えます。なので、年内に実家の静岡に帰る時にも、その旅費と宿泊費として使えるわけです。なので、今回使えないってことなら、まぁそれでも、いいっちゃいいわけです。

きっと、旅館側や旅行会社側が、たった一言、”ある言葉”を言ってくれたら…その気持を持ってくれたら…僕はその切り替えがすぐにでもできて、いい気持ちで旅館を後にできたでしょう。そして、その後も、温泉街でお土産を買う時間も楽しめたことでしょう。

僕が求めていた言葉。それは、、、

「お客さまのせっかくの温泉の旅の最後に気分を害されたことを、お詫びします。」

そんな一言です。こうは書きましたが、実のところはこんなふうに謝罪して欲しかったわけではありません。というよりも、今回の僕たちの温泉旅行という体験のことを気にかけて欲しかった、という感じです。それを気にかけてくれていることが少しでも伝われば…そんな一言があれば…僕は「いや、こちらも悪かったですから。ポイントはまた次回使えますし。それよりも料理も温泉もとても良かったので。また来たいと思います。」そんなふうに伝えて、笑顔で帰れたことでしょう。

でも、実際は、旅行会社からも旅館からも、僕たちの温泉旅行のことを気にかけてくれた言葉は1つもありませんでした。そうではなく「ポイントは使えない」「私どもはどうしようもできない」という「できない」ということ。ただ、それだけでした。


僕たちにとって、今回の温泉旅行が意味すること


最後のチェックアウトのところで起きた、今回のちょっとした一悶着。これがあってもなかったとしても、前日まで楽しんだ温泉や、部屋食の満足度が下がることはありません。そういった意味では、僕らが料金の対価として受け取った価値は同じです。でも、最後に僕たちは、旅館や旅行会社から、僕たちが一番求めていたものを提供してもらえなかった、というふうに感じてしまったんです。だから、きっと、この旅館にもう一度来ることは、たぶんないと思います。

僕たちが一番求めていたこと。僕たちにとって、今回の温泉旅行が意味すること。それは、、、実は、奥さんが現在妊娠9ヶ月目に入った僕たち夫婦にとって、これが、夫婦ふたりで行ける、最後の旅行だったんです。

もちろん、そんなことは旅館側も旅行会社側も知るよしもありません。ですが、僕たちにとっては、ただの1回の温泉旅行以上の意味があったんです。旅館側は、あくまで1人のお客として、僕たちに温泉と食事を提供してくれました。それが、自分たちが提供できる価値だと思っているはずです。それは正しいと思います。

でも、今回の僕たちにとっては、それ以上の価値というか意味がありました。だからこそ、その最後に、それまでの楽しかった気分を台無しにされてしまったことに対して、とても残念に思ってしまったんです。そして、たぶん、僕たち以外の他のお客さんにもそれぞれに、ただ食事を食べること、温泉に浸かること、それ以上の価値があるんじゃないかと思うんです。


お客さんが求めている本当の価値とは?


一人ひとりのお客さんが求めている本当の価値。それを商品やサービス提供側が認識するのは難しいのかもしれません。お客さんにとっては、その一回が意味のあるものだったとしても、商品提供側からしたら、1年365日の毎日の中のたった1回に過ぎないかもしれません。

でも、お客さんがこの一回の購入に求めている本当の価値は何か?お客さんにとって、どんな意味があるのか?どうすれば、お客さんの購買体験を最高のものにできるのか?どうすれば、買った後にいい気分になってもらえるのか?そんなふうに自分たちを省みるキッカケになりました。

じゃあ、具体的に何をすればいいのか?残念ながら、まだそこまでには至ってはいません。でも、それを考える必要はありそうだと感じました。あなたはどう感じましたか?あなたのお客さんが、あなたの商品やサービスに求めている本当の価値とは、一体なんでしょうか?それに対して、あなたは、どんなことができるでしょうか?

-藤岡将貴

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