「仕組み」の嘘
From:北岡秀紀
人材を育成する仕組みを作りたい。
こんな風に言う社長に「社員は何人ですか?」と聞くと「10人です。」と。
こういうときの私の答えは簡単。
「仕組みなんかいらない」
10人程度であれば仕組みを作るより社長が直接育成するのが一番早いです。
社長自身がやってみせて、次にやらせてみる。
で、フィードバックをして改善した行動を取らせる。
これで立派にスタッフは育ちます。
企業理念の浸透なんかも同様。
この規模感であれば、企業理念を唱和する必要も理念をまとめた冊子を配る必要もありません。
スタッフ一人ずつとランチに行ったり飲みに行ったりする。
で、スタッフの話を徹底的に聞き、あなたは仕事に対する想いを語る。
それで十分です。
今は仕組みの準備を!
もちろん仕組み作りそのものを否定するつもりはありません。
ただ、手を下せるうちは仕組みそのものというより仕組みの準備に力を割いたほうが良い結果が出ます。
例えば、スタッフに実際にやらせながらマニュアルを作らせます。
そして、次に入ってきた新スタッフにはこのマニュアルを使いつつやらせる。
そして、新スタッフにマニュアルをブラッシュアップさせます。
これを繰り返せば、人数が増えて本当に仕組みが必要なときにはマニュアルが完成している、というわけです。
楽したいだけじゃないの?
「仕組みを作る」
大切なことのように言われまくっていますから、なかなか誰も否定できません。
…が、その本音は「私(社長)が面倒なことをやりたくない」だけだったりします。
仕組みというのはあくまで社長の手が回らない部分を、別の形で代替することです。
あくまで代替。
だから、あなたが直接手を下せば100できることも、仕組みになったら70,80まで落ち込むわけです。
でも、100をひとりでやるより70でも2人でやれば140になる、というのが仕組みの基本原則。
だから、社長が手をかけられるうちは、手をかけるべきなんです。
「サボりたいから」なのか「会社を成長させたいから」なのか。
「仕組み化したい」という言葉の出どころの違いが、大きな差になるということです。
-北岡秀紀