財布を忘れた・・・
From:中谷佳正
先日、三重に行った時の話です。。。
海女さんが海で取ってきた魚介類をスグに料理してくれる、貝の美味しいお店に伺ってきました。そのお店のことはグルメ雑誌かなにかで見つけて4年ぐらいは通っているお店です。
今回も、旅館に泊まったあとに、いつも通り寄ってきたんですが、僕がなぜそのお店に通うことになったのか、、、に、ちょっとしたエピソードがあります。。。
8歳の娘がめちゃ食べるサザエのつぼ焼き
そのお店、、、基本は活け〆なので鮮度も抜群によく、エビフライなんかは一尾で650円ほどします。。。でも、そのエビはものすごく大きく身がプリプリとしていて、甘くてとても美味しい。とにかく、味噌汁だろうが何だろうが出てくるものはどれも間違いない味のお店です。その証拠に、うちの8歳の娘なんかは、定食を一通り食べたにも関わらず、サザエのつぼ焼きをなんと6個も追加で頬張ってました(笑)贅沢すぎるやろとセコイことを考えてましたが、それだけ美味しいってことなんだろうなと、微笑ましく見てました。
4年前のあの日があったから
すでにお話している通り、そのお店には4年前から通っています。きっかけはグルメ雑誌に載っていた記事を読んで訪問した程度のことです。だから、もちろん味が美味しいというのは間違いないのかもしれませんが、ただそれだけでは、4年も通うことにならなかったと思います。第一、三重のその周辺には他にもたくさん似たようなお店があるわけです。そんなたくさんのお店の中から選ぶには理由があります。。。
4年前に初めてその店に行きました。僕は家族と一緒に訪問し、その時も美味しく料理をいただいて帰路につきました。三重から僕が住んでいる大阪までは、クルマをとばして約3時間ぐらいかかります。これぐらいの距離であれば近場だと思われるかもしれませんが、そこそこ気合は入れないと行こうとはしない距離です。しかも帰り道は大渋滞、結局5時間近くかかりやっと家についた時にはなかなかに疲れた状態でした。。。きっと、世のお父さん方なら、この感覚がわかってくれるはずです(笑)
と、、、そんな帰り道に、僕は気付きました。
「財布がない!?」
かなり焦りましたけど、思い当たるのは料理を食べたあの店しかない、、、ということで、電話をかけてみると案の定僕の財布は見つかりました。
ただ、流石に取りに戻るということもできないし、、、なので郵送で送っていただくことになりました。
財布は届いたのだが・・・
数日後、、、郵便物が届きました。ですが、、、なんと元払いで送られてきたのです。「財布を忘れるなんてしゃーないやつやなぁ。」ぐらいの感覚で、気を利かせてくれたのかもしれません。その時点で「おいおい」と思いました。ただ、財布が入っているにしては、箱のサイズが大きい。。。しかも、ちょっと重い感じがする。変だなと思って中を開けると・・・財布以外に、なんと土産物のノリとかアオサが。さらに、佃煮の瓶詰めが3つ4つ入ってました。「いやいや、ちょっと待って」と。財布を忘れて迷惑をかけたのは僕の方ですよね。それなのに、お店の方はそんな僕を気遣って、色々な贈りものをしてくれたのです。田舎のおばあちゃんとか、実家の母親でもないのに、そんなことをしてくれるなんて予想外過ぎます。。。
それを見た嫁さんが感動し「来年も行こうや!」と言ったのは言うまでもありません。
僕はお店にお礼の電話をして、来年に再び訪問することをお約束させていただきました。
テクニックではなくて、思いやり
この話のお店のおばちゃんは、テクニックでこんなことをしたのでしょうか?僕はたぶん違うと思います。そこにあったのは、恐らく純粋な思いやりの気持ちだったんじゃないかなと。。。計算で何かをしているわけじゃなくて、本当に良かれと思ってやってくれたこと。でも、それが僕や嫁の感情を動かし、次の年もそのまた次の年も、店に足を運ぶ動機になったわけです。そして、今僕がこうやってお話したように、あの店は良いよと口コミされる要素にもなった。。。これって素敵なことだと思うんですよね。
僕たち日本人は、テクニックで何かをやられても見透かしてしまう傾向が特にあるように思います。何かしら、裏の意図があってやってるんだろうなぁと勘ぐってしまうところもあるので、色々とひねったことを考えたりせずに、このお店のおばちゃんがやってくれたように、あなたがすでに持っているもので、相手のことを思ってもてなせば、良い結果が生まれるんじゃないかな、、、
ぜひ、テクニックだけじゃなく、心の部分でも顧客に接してみようという部分も忘れないようにしてください。
ー中谷佳正
P.S.
この店の名前が知りたい人は、僕まで連絡してきてください(笑)